とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

オリエント急行よ、止まれ

135冊目
誘拐殺人と一億円消失

現在フリーライターの印南はライターとしてこれといった大きな仕事はもらってないですが、編集側から、あるいは読者からはなかなか好評なノンフィクションライターでした。
彼はもともと推理小説家を目指しており、文章力は多少は磨いてきたのです。しかし小説家としては、いいところまで行ったのに夢破れたままきっぱりと書くのをやめてしまいました。

ある日のこと、以前自伝を代理執筆してからお世話になっている、代理士の牧岡から「知り合いの女性の相談に乗ってほしい」と頼まれるのです。
印南はその知り合いの女性である織江に会ってみることにします。織江は以前記事を書いた相手であって、初対面ではありません。織江は印南が書いた記事の感謝をしたものの、話半ばで「ある男を調べてほしい」と言い出します。印南は不審に思いながら「なぜです」と聞き返すも「言わない代わりに資金面で援助する」と頑なです。
印南はこの奇妙な依頼に少し悩んだのですが、調べるだけなのならいいかと仕事を受け入れることにするのでした。


※この作品には『オリエント急行殺人事件』のネタバレがあるので注意してください。

---(ネタバレあり)---

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共喰い

134冊目
いつかの芥川賞作品

この作品はタイトルの『共喰い』の他に『第三紀層の魚』が収録されています。

共喰い
篠垣遠馬は複雑な感情を持ちながら日々を過ごしていました。理由は父の性癖のようなものである、性行為中に女性を殴る癖が息子の自分にもあるのではないか、とずっと考えていたからです。
遠馬には千種という彼女がいました。彼女と何度も性行為などしてきたものの、その父の血とやらを感じたことはなく、いや、感じないようにしてきただけなのでは……と、溝が深まって深く千種に近づくことができないのです。
それでも日々は続き、父と同棲している琴子とともに混濁した生活が続くのです。

第三紀層の魚
信道は幼くして父親を亡くし、母親が仕事に行っているので自然と祖母の家によく行くようになっていました。
この日も友達の勝を誘って趣味の魚釣りをし、その帰りに釣った魚を持って祖母の家に向かうのでした。
祖母の家には曽祖父がいます。曽祖父は認知症はないものの、もうすでに動けない状態になっており、祖母がつきっきりで介護しています。祖母には息子がいましたが失っていて、夫もいません。そんな祖母が血のつながってない曽祖父の介護をしているのですが、子どもの信道は疑問もなにもよくわかってないのでした。


----(ネタバレあり)----

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なれる!SE2 基礎から学ぶ? 運用構築

133冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

スルガシステムに入社した桜坂工兵は様々なトラブルに見舞われながらも、なんとか1ヶ月を過ぎようかとしていました。

そんな4月の終わり頃、室見は「飲み会の幹事を任せたいんだけど」と言ってきます。工兵はそんなこともするのかと思いながらも、次いで発せられた室見の「あんたの歓迎会」という言葉に驚きます。
驚いて流石に自分の歓迎会は……と反論しますが、上司でもあり教育係の室見が「これも社会経験よ」と言い、やがては言い包められ工兵はしぶしぶ引き受けることにしました。

初めて仕事での飲み会、初めての幹事、など不安要素がある工兵でしたが、同僚の力を借りるなどしてなんとか幹事をやり遂げます。しかしそれでも、当日になって「歓迎会の人数が増える(しかも増えたのが社長)」など予想外のトラブルがあったりしたものの、なんとかかんとか歓迎会の形はこなすことができたようです。

とりあえず一安心……と言いたいところでしたが、飲み会も和気あいあいと温まった頃、店にて経験の浅い新人バイトが食器を運ぼうとするも、その不安定な食器がついに欠落をし、あろうことか歓迎会最中ノートパソコン開いて仕事をしていた室見のもとに襲いかかります。
すかさず工兵はそれを防ごうと身を挺します。間一髪、なんとか食器の脅威から室見を守ることができましたが、工兵のスーツは汚れます。

スーツはいったん水洗いするために工兵はトイレに向かいます。やれやれとトイレで歓迎会を思い浮かべながらスーツを洗い終わると、出口付近に女性がうずくまっているのに工兵は気がつきます。よく見ると女性は泥酔しているようでした。
工兵は面倒を押さえて、その女性に声をかけます。妙な絡まれ方をしたものの、なんとか助けて歓迎会に戻って行くのでした。

ある日のこと、会社に到着した工兵は受付の前でおろおろしている女性を見つけます。
さてはカードキーを忘れたのだな、と工兵は思いながら女性に声をかけてみると、いつか泥酔していたあの女性だったのです。



---(ネタバレあり)---

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本のジャンルとカテゴリのはなし。

久しぶりの雑記です。
雑記が書きたい気持ちと、更新の前日なのに「なんか本読む気持ち湧いてこない」など理由で雑記です。今回は「本のジャンル」についてです。
だらだら書いていこうと思います。

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水底の光

132冊目
しっとりとした恋愛小説

この本には『パレ・ロワイヤルの火』『水底の光』『闇に瞬く』『愛人生活』『冬の観覧車』『ミーシャ』の計6編が収録されています。

それぞれの粗筋を書いてみると、
『パレ・ロワイヤルの火』:パリへ向かう飛行機に乗りながら、当時関係を持っていた男性の記憶を思い返す話
『水底の光』:突然にも東京タワーを見たくなり、仲の良い」男友達と適当な嘘をついて東京のホテルに泊まる話
『夜に瞬く』:最愛の彼氏と別れ憂鬱な毎日を過ごしていたところ、兄の妻に誘われて少し遠くに出かける話
『愛人生活』:だいたいの親族を亡くし失意に襲われていた中で、偶然にも金持ちの年上男性に拾われる話
『冬の観覧車』:夫を失いひとり社長秘書として働いていたら、その社長が難病に侵されていると知る話
『ミーシャ』:長年連れ添っていた猫が危篤状態になったと知らせが入り急いで家に帰るまでの話

上に書いてますが、しっとりとした恋愛小説でした。

---(ネタバレあり)----

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トコトンやさしい プラスティック材料の本

131冊目
プラスチックの材料の本です。

タイトルのように、プラスチックの「材料」の本であり、材料とだけあって、話している内容もどちらかと言えばマニアックなものになっていると思います。

内容は「プラスチックとはなんなのか」から始まり、「(プラスチックの主な原料とその)原料の特徴について」「プラスチックの使用例」「プラスチックのこれから」とかでしょうか。あとはコラムがちょくちょくあります。
読んだ限り、上にある「プラスチックの原料の話」がとても詳しく書いてあったように感じました。むしろ辞書かな? ってなぐらい詳細な特徴も書かれてあって、プラスチックに関して自信がないプラスチック製品を作っている会社の社員さんとか読んだらいいんじゃないかなとか思いました。

個人的にプラスチックについて明るくなく、専門用語ばかりで混乱したりしましたが、「プラスチック」そのものは暮らしの中で大きな役割をしているのは知っているので、なんとなくあのことを言ってるのか…ぐらいはわかりました。
そんな感じで感想も書いていこうと思います。


※ネタバレありとありますが、今回は気になったところを上げていこうと思います。

---(ネタバレあり)----

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