とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

黒冷水

100冊目
兄弟喧嘩兄弟喧嘩アンド兄弟喧嘩

弟の修作はある趣味を持っていました。
それは兄が外出した時を見計らって、兄の部屋に行き、兄のプライベート空間を漁るというものです。
漁るのは兄の秘密であり、あるいはエロ本でもあります。
この日もミッションコンプリートとばかりに満点のあさりを完璧にこなしたのでした。

一方兄の正気は弟のあさり癖を早くから見抜いていました。
今回もトラップ(戸棚を開けたらバレる仕組み)が作動しており、「またやったのか」と陰険な気持ちになります。
その陰険な気持ちはある種、皮肉げな心配となり、吐き気のある怒りになります。それらが募って積み重なっていて、正気は修作のことが嫌いで嫌いで仕方ありませんでした。

修作も(劣等感などで)正気のことを嫌いに思っています。ただそんな二人は互い憎みあいながらも正面からぶつかることはなく、ある意味で冷戦状態が続いていました。

----(ネタバレあり)----

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