とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

テルミー2 きみをおもうきもち

8冊目
テルミー二作品目になります。
あらすじは前巻踏まえたものになるので、一巻から見てくれたらと思います。

灰吹清隆と鬼塚輝美は幸運にも修学旅行のバス事故に巻き込まれることなく、月之浦高校二年三組ただ二人の生存者となります。
そんな二人は変わらずとも、残りの最後の意思を叶えようと奮闘していました。
最後の願いを叶えようにも時間が迫っており、一秒でも無駄にできない中で清隆は早朝から呼び出しがあります。
清隆は言われてた場所に行くと、輝美の中の人格の一人、クラスメイトの西川武夫がいました。
西川は植物学者の卵といった人で、早朝から園芸部の花壇、土いじりに没頭していました。
先に土いじりをしている西川に遅れてきた清隆は「なにを手伝えばいい?」と聞くのですが、武夫は「べつに実質的にはなにもしなくていい」と答えます。
清隆はならなんで呼んだのかと疑問に思っていると、武夫は近くにあった花壇を指さし、「去年から育てているバラなんだけど、どっちがより良い?」と聞いてきました。
花にそれほど詳しくない清隆はどっちがいいかと悩んでいると、遠くから女子生徒が声をかけてきました。
一人は知的で芯の強そうな三隅理沙、もう一人は頭は良さそうではないが活発そうな矢内奈美子という女性です。
話を聞くと二人は園芸部といい、武夫が大切にしていたバラから離れろと注意したのです。
武夫ではありますが、輝美でもあるので清隆と輝美は注意を受けて離れてみるのですが、武夫は理沙を見ると同時に挙動がおかしくなり、終始知的だったあの姿が全くありません。
清隆はそれを見てなんとなく気が付きながらも、理沙と奈美子が去った後、武夫の最後の願いに耳を傾けます。



------(ネタバレあり)--------



プロローグについて
あらすじには書いてませんが、プロローグに登場した柘植忠明くんの話はとても涙腺にきましたね。
なにもいうことなく悲しくも温かみのあるいい話にうっかり立ち読みしたものなら、そのまま涙腺崩壊した人もいたんじゃないでしょうか。
これ言ったら作者さんには不名誉かもしれませんが、いろいろ人助けしたエピソードがあるなかで一番好きかもしれません。

三隅一家
理沙も武夫のことを好印象だと思っているらしく、告白してすぐ終わりとか思ってたのですが、まさかの二転三転と話が続いて霊媒師まで出てきました。
きっといい家族だったでしょうに、きっかけはちょっとしたこととはいえ偶然が重なることによって、不幸に突っ走って一家崩壊しかけているところは痛々しく見るに耐えないものでした。父親の勝一は優秀だからこそ責任感が強く、泥沼にはまっていたのもまた心苦しいものがありましたね。
どきどきと行く末を見てましたが、三隅一家にとって最悪なことにならなくて本当に良かったと思います。
個人的に三隅一家があの後どうなったのか気になります。まずはお墓参りをして、一件の反省をしているのでしょうか。あ、児島医師と勝一さんの会話も興味がありますね。

悪霊
沙織ではなく勝一が悪霊とり憑かれていたなんて思ったのですが、とり憑かれたと信じさせていた奴が悪霊でした。
霊媒師と聞いた時、またあのクソお代官が出るのかとうずうずしてたものの、出てきたのは白い身体の気持ち悪いやつでした。(名前は忘れた)そいつ初めて見たとき気持ち悪すぎて、夢に出てくるんじゃないかって思ったほどですよ。
しかしなんでしょうねこいつに関する気持ち悪さって、描写ももちろんあるのですが、わりとこの気持ち悪いやつの言ってることは悪いことばかりではないと思うのです。なのに受け付けないなにか……得体の知れないものだというのに、不純なことを考えてることが感じとれるからでしょうか。

奇術師周防舞
第一章はこの女性の大活躍でしたね。メンタリズムで追い詰めて行き、マジックでとどめといった感じで、気持ち悪いやつと争ったときは「これがプライドと心を折るということか」というほど叩きのめしていました。それでかつ輝美の消える対象ではないというのが強いです。また出番がありそうですね。
ところで奇術師と聞いてもう、とあるゲームのあるまじき記憶を思い出しながら眺めていました。洞察力もあるらしく、金色のリングを腕につけて「そこだ!」と人の動揺を見抜いているのかごとくです。実際、焦っている一勝や悪霊を見る会話は脳内でスローモーション映像とBGMが流れて……すみません、話題が全然違いますね。
あと、作中さらっと周防の母の過去話があり、周防の母は悪いやつにダマされないようにと教えたのが始まりだと周防は言っていました。この時、僕もダマされないように「奇術学ばないと」と漠然と思いました。現実でも気持ち悪いやつと立ちあうという機会はほぼないでしょうけど、人の仕草などしっかり見ればわりと役立ちそうです。あ、悪用はしませんよ!

映画部部長の山崎康雅
放心するのも無理がない境遇に、ただ時間を費やすだけの日々を送っていたようです。
新人部員歓迎に短編映画を見せた結果でしょう、映画に魅了された新人部員がやって来ようとも、その部員をあしらうようなことをしていますね。
いい人なのですが、といえば一言で済みますが、映画にそれほど熱い人なのだと感じました。部員の夏来と渡瀬が生きていた頃には、広多が言うようにきらきらと楽しそうにしていたのでしょう。
後半、思いを吐き出すシーンがあります。そこで「俺が死ねばよかった」というのは、感情が凝縮されたような一言でした。そしてその後に、輝美が言った「会わなかったらよかったと思っているの?」というのが作中のベストシーンでした。よかったです。
高校生活最後の映画はばっちりと撮って欲しいですね。

康雅と広多
広多の毒舌(というよりほぼ暴言)が出た時は「なんだこいつ」と思ってました。
それらも康雅のことを思ってのことで、広多は康雅のことを好きだと知って改めて見れば微笑ましい光景に見えるのだから面白いです。
個人的に

「誰がちびっ子ですか。あなた日本に生まれてよかったですね。もしここがアメリカなら次に会うのは法廷でしたよ」

という言い回しが好きでした。
これ言わなくてもわかると思いますが、広多がかわいいから許されているですよ。この記事みてる女子高生は間違えてもこんな毒舌吐かないように。
やがて康雅が自分の否を謝るシーンがあるんですが、そのシーンにてこの二人の他に佐藤とかいう部員が一緒にいるんですよ。
康雅が土下座をして、その康雅に「キスしてください」と言う広多を前に、こいつ気まずくないのかなって思ってました。ただまぁ、この人も康雅が謝ってない部員の一人ですし、いなかったらいなかったで広多が暴走していたかもしれないので今思えば居てよかったのだと思います。君の言うヘタレかわいい、僕もわかる。

クラスメイトの保科楓
清隆を想うクラスメイトです。好きという感情がありながら、理性で保ちつつ、しかし顔に表情が出るという恋する乙女まんまの人物でした。
結果として恋は実ることなく、あえなく散ったわけで、強く生きろと言いたいです。まぁ、輝美と友達になれたから結果オーライとしていいでしょう。
そんな状態の楓は今後クラスメイトとして、どんな顔で清隆会うのかってのは気になります。
ところで、楓は清隆に好意を持ちながら詰め寄っていくのですが、清隆の映画でのデート? の気まずさは僕の記憶をフラッシュバックさせて胃が痛かったです。

テルミー二作品目です。
いろいろなキャラクターが出ながらも、前のことを受け継ぎつつ、キャラクターはぞれぞれさらに成長をしてゆきました。
それに恋愛が話の中心にあり、主軸の恋愛に、サブストーリーの楓の失恋もあり、甘酸っぱい青春作品となっています。
ときに前回の検事の息子やら、孤高の天才やら加えて、植物学者の卵やら、オカルト好きな奇術師やら、未熟ながら映画脚本家やら、目標が高い女優志望やら、あのクラスにはいろんな人がいますね。僕の高校生クラスを思い返しました。そんな将来有望才能人居たのでしょうかと言われれば、わかりません。
この作中に「これ全員分、最後の願いを叶えるのできるのだろうかと」思ってましたが案の定、残り一五人ほど残しての作品終了となります。
実は途中ながらこの次の巻はまだ発売しておらず、見ると、2011年7月27日初版とあり、四年は新刊が出ていないということになりますね。
作者さんにはぜひ全員分の思いを叶えてほしいものです。

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orbital period

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