とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

人類は衰退しました2

17冊目
人類は衰退しましたシリーズの二巻目です。
特に記述することがないので、そのまま感想を書いてゆきます。

人類は衰退しました2 (ガガガ文庫)

人類は衰退しました2 (ガガガ文庫)

今作は中編二部に別れています。
一つは『人間さんの、じゃくにくきょうしょく』もう一つは『妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ』です。

人類という枠組みは妖精さんに明け渡してしまった世界、人は旧人類としてゆるやかに生活しています。
高度に発達した科学も今や昔の産物であり、しばしばくるキャラバンと自給自足の生活をしていました。
主人公のわたしは調停官として、現人類である妖精さんと接触をしていきます。

人間さんの、じゃくにくきょうしょく
主人公のわたしは、調停官としての仕事をだらだらとこなしていました。自堕落な生活リズムを持っているわたしは朝出勤にもかかわらず、午後三時に仕事場に到着するという落ちっぷりです。
そんなわたしに上司の祖父は、投函された「このような奇妙なモノが出回っている。調べてくれないか」という投書と不思議な長靴を見せてきます。
不思議な長靴とは履いて歩くと、長靴の中に水が溜まっているというもの。わたしはすぐに、妖精さんのしわざだと気がつきます。
祖父はそんなわたしに、「(この長靴など)妖精さんが作った道具を見て回れ」と命令します。わたしはしぶしぶフィールドワークに出かけることになります。

妖精さんたちの、じかんかつようじゅつ
わたしは祖父から前々から言われていた助手が、ついにやってくると聞かされます。
そこで祖父はわたしに「助手の出迎えを頼む」と頼むのですが、わたしは気が進みません。しかし祖父は上司、わたしはしぶしぶ命令を聞くことになりました。
現在11時頃、迎えの集合時間は13時、時間があるようなので、わたしは妖精さん達へおみやげを渡してから迎えに行くことに決めました。
妖精さん達と戯れるまでは良かったのですが、わたしはここで自分の時計が壊れていることに気が付きます。
慌てて帰ると時刻は12時半、助手がいる場所に向かうのに時計がないのも困るので、わたしは祖父に向かって「時計を貸してください」と言えば出てきたのは腕に巻く形の日時計でした。
わたしは祖父に「なんでこんなもの」とぶつぶつ言うと、珍しく祖父はしどろもどろになります。
わたしは祖父の初いエピソードをちょっと聞きた後、助手のところに向かうことになりました。


-----(ネタバレあり)-----



人間さんの、じゃくにくきょうしょく

謎の計量スプー
よくわからない計量スプーンでわたしは小さくなっていました。妖精サイズになったと思われるその大きさは、知能と関係していたようですね。
たしかわたしの知能の数字は320で、祖父の数字は1275でした。比較がないのでわかりませんけど、わたしも学舎を主席で卒業しただけあって高く思えます。それにさすが祖父、この物語後半で幼少期が出てくるですけど、飛び級で合格しているだけの知能です。すごい高いです。
ところで、ここを読んだ読者はおそらく「自分の知能は数字化したらいくらなのか」と思ったことでしょう。僕もちょっと考えたのですが、「自分は270ぐらいかな」とか思ったりしました。
根拠としては、この世の中にはIQというものさしがありまして、あれは平均100としています。
わたしの数値320を仮に割る3したら平均よりちょっと高いIQ(106.6666666666667)が出てきます。この時、わたしのIQはそのぐらいが妥当かとざっくりと思ったわけです。※個人の感想です
そこから(想像で)自分の数値を導き出されるような式を考えてみました。
計量スプーンの数値≒自分のIQ×3
僕もちょっと前に測ったIQを3倍にした答えが270というわけです。ゆえに僕の数値はだいたい270ということですね。(正確なIQは忘れました)
もしその式で計算したならば、祖父のIQはおよそ400という凄まじい数値なるのですが、まぁ天才なのでそれぐらいあっていいと思います。(そこらへん投げます、スプーンだけに)

ちいさなわたし
小さいわたしはかなり大冒険をしていましたね。小さくなることによって回避率が上がるのかと思えば、またしても小動物にいじめられていました。向こうはネズミで、こちらはイタチでしたね。
しかも恐ろしいことに、妖精サイズに小さくなると思考も妖精に染まってしまうということです。「口では嫌がってても体は正直だなぁ!」ってやつです恐ろしいですね。
スケール的な意味で、あの冒険感をちょっと味わってみたい気もするのですが、最悪のな場合を考えると……やっぱいいです。
ラスト辺り自我が消えてしまいそうなわたしは、走馬灯や思考回路を要いて1と0のぎりぎりを攻防してました、あそこらへん熱かったです。走馬灯20倍速なんて並々できることじゃないですし、できても学習まではできないですよ。やはり才女ですかね、前にIQ106ぐらいだと言ってすみません。IQ115は十分にあると思います。

ハムスター達
あのハムスターたちなんというか、嫌味なキャラだと思えば、憎めないキャラになっていました。
あれだけ粋がっていて、オーパーツを見せてきて、人間を知らないのに地球で一番知能があるのだと言ったりしてましたね。そこまでは良かったのですが、メスが居ないなんて展開はちょっと笑ってしまいました。いや笑えない。全滅の危機です。
物語が進むに連れて、何人かお亡くなりになったんですが、イマイチ何匹亡くなったのか覚えてませんね。最後辺りに助けに来たけっこうかっこいい名前のハムスターがいたのは覚えてますけど。(なお名前は忘れてる模様)
物語が最後にはわたしからの粋な計らいによって、メスと合流させてもらえて良かったです。これで全滅は防げました。
どうでもいい話題ですが、『マンガで分かる心療内科』という作品の原作をやってる「ゆうきゆう」という先生がいるのですが、その人の自画像? というか「ゆうネズミ」というキャラが居るんですよ。それが頭に入っているからか、僕の脳内ではハムスター達の外見はゆうネズミで固定されてました。


妖精さん達の、じかんかつようじゅつ

子供祖父
ワルガキというか、マセガキというか、エロガキというか、天才というか、好奇心旺盛というか、女たらしというか、いろいろな表現がついて回ってそうなクセのある人でした。まさか祖父の過去なんてーなどは日時計に興味をもつ前からうすうす感じていましたが、いざそう見えてくると、この出会いはまた違った感じに見えてきます。
日時計をわたしに渡す時の祖父の様子からして、曖昧な記憶だとはいえ、日時計には思い入れのあったような雰囲気を感じます。もしかしたらずっと思っていて、いつか日時計を返そうなんて思っていた時期があったのかもしれません。
ところで、子供祖父はけっこう女たらし的な発言をしてますけど、個人的には頷けるところがちらほらありました。どこだというと、具体的には挙げませんけどね。

通称竈の林
わたし達が集まっていた林です。いろいろな要因があってこその現象、優しい空間でした。これからあの場所はわたしの秘密の花園となるでしょう。物語最後の様子からして、バナナを食べるとその優しい空間に行けるらしいので、今後の展開によってバナナを食べるシーンが訪れるかもしれません。
そういえば未来の自分と会うCMありましたよね。10代~60代の自分と会議するみたいな奴。感覚でいえば、あれを優しい空間では大規模でやったような感じなのでしょうか。

人類は衰退しましたの二巻目です。
前半は体が小さくなって冒険する冒険もの、後半はタイムリープするSFものと両方とも完全僕の好みのストーリーでした。
前半の冒険ものはわたしの自我や本能と闘いながら、かついろんなスケールの大きな風景を見せてくれておもしろかったです。ちょくちょく入っているブラックユーモアもいいっすねぇ。ブラックユーモアはけっこう好みの分類に入るので。
後半のタイムリープものは『玩具修理者』という作品にある『酔歩する男』を連想させました。あの作品と比べたら、かわいいメルヘンチックなタイムリープなのですが、それが絵本読んでるみたいでまた良いんですよね。
今回も感想を書くのに難儀しました。じかんかつようじゅつの助手なども感想に書こうとしたんですけど、考えがまとまらなかったです。
この作品特有の読後感なんでだろうね。とてもおもしろいのに、いざ感想を書こうと思ったら何も思いつかないんですよ。
とりあえずは読んでみてください。と言いたいところですけど、ここまで読んだらかなりネタバレしてるんですよね。
ならば同情してくれるはずです。この作品は感想を書くのが難しい作品なんだと。

玩具修理者 (角川ホラー文庫)

玩具修理者 (角川ホラー文庫)