人類は衰退しました6
39冊目
寒くなってきましたね。このブログ書く手がかじかんでいます。
さて、本作品を手にとった時、収録されている『妖精さんたちの、さぶかる』についてはアニメ化してた記憶があります。実際はどうだか、ちょっとやんわりとした記憶なのでどうだかは定かではないですが。
- 作者: 田中ロミオ
- 出版社/メーカー: 小学館
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旧人類まで落ちぶれた「人間」は「妖精さん」に人類という枠組みを与えてしまっています。それほどまでに衰退している世の中では、科学や文化などほとんどのものがロストテクノロジーとなっていました。
主人公わたしは調停官という職業に就いており、その現人類である妖精さんと交流する仕事をしています。そして職業柄、わたしは妖精さんに振り回されることが多くなるのです。
本作には『妖精さんたち、すかいはい』と『妖精さんと、さぶかる』の二作品が収録されています。
『妖精さんたち、すかいはい』
鳥人間コンテスト(想像するままにそのままです)に(祖父の巻き込みで)参加することになったわたしは、久しぶりの祭りの雰囲気に「なにも問題がなければいいのですが」と不安げに眺めていました。
念入りにわたしは、面倒事を避けるようできるだけ目立たないようにします。しかし、例のVIP局長に見つかり、鳥人間コンテストの安全対策係という仕事を押し付けられます。
いやいやにも仕事をすることになったわたしは、一応視察をするのですが、想像を絶するほどに安全とは程遠い鳥人間コンテストの裏側を見ることになります。問題は山積みでした。
『妖精さんと、さぶかる』
わたしの悪友のYと久しく会います。Yはいつか中断しそのままだったはずの「ヒト・モニュメント計画」について、この里に駆け出されていました。わたしはYの愚痴を聞くことになるのですが、聞くことによると、もう終わったものだと思っていた計画はなおを続いているらしく、その無計画ぷりにはYとわたしは互いに呆れ返らせるほどでした。
調停官であるわたしは、その計画の調査をしているYを必要があればサポートすることという、決まりにしたがってYの手伝いをすることになりました。意気込むわたしですが、それでもYはまるでバカンスをするかのごとくダラけた目で「適当でいいよ」とぼやきます。
そんな中で、元貴族として有名だった家の遺産(業務用コピー機)が見つかります。コピー機なぞロストテクノロジーの塊と言っていいほどで、しかもデータが残り使えるとなれば、価値はすごいものになります。
これを見つけたYは興味津々で「ちょっと使ってみよう」と言い出します。わたしはそれを不安げに見守ることになります。
----(ネタバレあり)----
『妖精さんと、すかいはい』
無計画参加者達
平和ボケって怖いですね。喜々として浪漫を説明している参加者に、「なんでそれで飛べると思っているんだ」という意味を踏まえた「は?」という反応を僕でもしてしまいそうです。それほどまでにバッドエンドに突っ込んでゆく鳥人間が多かったですよね。
あれですよね、正常性バイアスでしたっけ、あの世界は「自分だけは大丈夫だろ」が過剰にある世界なのだと思いました。いや、ただ参加者がチャレンジ精神旺盛で、その傾向が強いだけかもしれませんけど。
まぁ、彼らをあざ笑って終わるより、明日も我が身という危機感持って日々を過ごしたいものです。この話を幅広く考えてみれば、まんま今の日h……正常性バイアスは本人も気がつかないってことも多いらしいですからね。
妖精さんぱわー
あんなんもうチートやんっていう改造が多々ありました。某青狸のように(それ以上に)有能っぷり(時には暴走)をしでかしてる姿はもう圧巻の一言です。魔法といえる技術もそうですけど、「俺自体が歯車になることだ」と言わんばかりのチート歯車補佐もすごかったですねぇ。もう「なんでもありじゃねーか!」ってなりましたよ。あ、これは批判ではなくて、そのめちゃくちゃっぷりがこの作品のいいところなんですよね。「いいぞもっとやれ」みたいな。
いろいろひみつ道具ありましたけど、個人的には問題点が可視化できるメガネが一番ほしいです。
安全対策係わたし
VIP局長から仕事(強引に押し付けられた形)を請け負ったものの、妖精さんというチートを使いながら、ちゃんとこなしているというのがすごいですよね。いやぁ、無理難題に対してすごい働きっぷりですよ。彼女もある種、妖精さん並の歯車っぷりをみせてました。(チート歯車的な、縁の下のチート持ちみたいな)
この『妖精さんたち、すかいはい』は文字数的に少ないですけど、その働きっぷりは「ヒト・モニュメント計画」ほどと言ってもいいんじゃないでしょうか。だって無茶苦茶な仕事を無事完遂し、人の命を救って、(自分の過失が原因ですけど)人の命を助けたのですからね。すごいです。
あと言えることは、わたしが怪盗の格好して「解☆決!!(横ピース)」やってる画像もっとほしいということです。
『妖精さんたちの、さぶかる』
腐女子たち
Yとは罪深い人で、世の女子たちを腐敗をさせていたようです。腐女子の好きだというBL系統はあまり詳しくなく、魅力を表現できませんけど、とりあえずなにか目覚めさせたというイメージはなんとか想像できました。
そんな腐女子たちは、俗にいうクラスタになったり、買い手になったりと忙しそうでした。作品の内容がどんな不純であれ、好きな性癖を好きだと言えて、目を輝かせイキイキとするのはいいことだと僕は思いますよ。それでも周りの人は迷惑していることもあるので、節度は守るようにして欲しいです。これは現代も同じですね。
文化の衝突
なんとか派、なんとか派といくつも出てきました。まんま文壇ですよね。あのなんとか派の中に、作者や批評家なんかいると思うと、ごちゃごちゃした混沌の派閥争いが想像できます。
それでもこの作品の派閥は、どろどろしながらも切磋琢磨していて、戦友(ライバル)としていい関係を持っているように見えました。これには今あるコミケとかもそんな感じなのかなと、思いを馳せたりしましたね。
しかし、まず先に文化を先取りした人物が現れて、それに次いで次々と後が出てくる。やがて独占状況から競争状況に変化するというのは、スマートフォンの流れを見ているようでした。この現象は科学も文化も、どこでも見られるようです。
妖精さんが作る漫画の世界
あれおもしろかったですよね。害がなかれば入ってみたいものです。書いたものを現実化できるし、実体験みたいなこともできる。更にはランキングまで完備しているとは、もう時間つぶしにもってこいなんじゃないでしょうか。問題は対価、お金などはなく自己満足で終わってしまうということかな。「それでもいいよ」って思えるほどあれはおもしろそうでした。
ときに、漫画の世界に入っていたYやわたしや助手さんと会話シーンにて、ちょくちょくブラックユーモアや漫画家界の風刺がありましたよね。個人的に眺めているぶんにはおもしろかったですけど、漫画家目指す人にはぶっ刺さってるような気がしてなりません。
世知辛い世の中です。もしこの記事を見ている漫画家志望がいるようなら、そんな世の中吹き飛ばすぐらいのエネルギーで頑張ってください。
【まとめ】
いままでの重厚感と比べてしまうと、ライトノベル感が否めません。僕は今巻を、いわゆる日常回として受け止めました。
ライトノベルと表現しましたが、内容は相変わらずおもしろかったです。どちらかと言えば『妖精さんたちの、さぶかる』が個人的に好みでした。
その『妖精さんたちの、さぶかる』について思うことは、やはりオタクのエネルギーというものは計り知れないということです。オタクはぜひ、そのエネルギーの赴くまま人に迷惑かけない程度で爆発させてくださいな。
ところで最後、わたしも本を作ったとかなんとかありました。内容は「古典文学の抄訳集」でしたっけ。僕は萌絵やBLよりそっちのほうが気になりました。一つください。
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