とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

人類は衰退しました7

51冊目
人類は衰退しました7冊目ですね。ラッキーセブンです。

人類はゆるやかに衰退しているこの現地球、人々は「旧人類」という称号に落ちぶれていました。現在人類をしているのは「妖精さん」という方たちであり、彼らが今の人類といえます。
その妖精さんとは概念のような存在です。そのうえ魔法みたいな超技術を持っていて、子供のような好奇心の赴くまま動くので、時にとんでもないことをしでかします。
主人公のわたしは調停官という職につき、彼ら妖精さんと対話する仕事についていました。
ただ相手が相手、わたしは妖精さんとどんなに対話しようが、とんでもないことが多くなります。

本作品は『妖精さんたちの、ちいさながっこう』『人類流の、さえたやりかた』の二作品が収録されています。

妖精さんたちの、ちいさながっこう
里のどこかのママさんが「子供には勉強が必要でなくって?」と言い始めました。その意見は少子化により、最後の学舎(最後の学校)が廃校になった今、夢物語に近い意見でもあります。
しかし、そんな夢物語にクスノキの里にいる小さい子供を持つ母親は次々と賛同し、広がりがとどまることなく里のクレーム担当になってしまっている調停官に届けられます。
抗議の対応をしたのは祖父ですが、不思議な事にわたしが三人の子供の教員役として教壇立つことになるのでした。

人類流の、さえたやりかた
目を覚ましたわたしは、しばらくの記憶を失っていることに気が付きます。
そして荒廃したあたりを見渡して、「自分はなにをするべきだったのだろうか」と思い返そうとしますが、なにも思い出せません。
夜、見慣れない場所、あとは伸びをして気がついた手枷、それ以外は全くわからないという状況にわたしは多少恐くもなりますが、行動しなくてはなにも変わらないと動き始めます。


----(ネタバレあり)------



妖精さんたちの、ちいさながっこう

恐るべき子供たち
個人的にですが、あの人類が衰退した世界は子供達にとって「悪くない」世界と思っていました。なにせ自然がたくさんあり、スローライフであり、捜せば(危険だが)色んな物がありふれている、という世界なのですから、遊ぶには困らない世界だと思っていました。
けれどもそれは親や大切なもの、そういった基本的な環境があってこそだと言えるのでしょう。登場する三人の子供たちはどれも、ほんの少しだけ不便な人間関係のために、少し歪んてしまっていました。
親がいないから、甘えられる相手がいないから、寂しさでそうなっていると考えると、あの世界も考えものです。
ただ、それらの子供たちを受けることになった(半ば強制的に)わたしのことを考えると、子供達は恐ろしい脅威(本当に脅威なのは親なんですが)にほかならないようでした。
学級崩壊的な怖さと言うんでしょうか、我を通す子供の素直な表現(PTA推奨の表現置き換えをしました)には深く考え(PTA推奨の表現置き換えするべきと判断しました)させられます。まったく、元気ハツラツな子供達による、スキンシップ(すでにPTA推奨の言葉に変更済)は微笑ましい(事前にPTA推奨の言葉に置き変えました)ものがありますね。
全国にいる健全な教員は強く生きて欲しいです。

理解しようとしない大人たち
よくわからないものを「知らない」「わからない」知っているものを「知らない」「わからない」という大人がいます。もっといえば真実を知りたくなくて、目を背けて、本当に大切なもの(今回は子供)から目をそらしながら都合のいいことばかり言っている輩も登場しましたね。個人的にはそういう奴が大嫌いなので、見ててただただ憤りを覚えました。いやもう、先生は強く生きて欲しいです。(2回目)
ところで、作中そんなモンスターペアレントから無謀なことを言われ、わたしはしぶしぶ従う事になります。最終的に彼らはわたしに一本取られてしまうのですが、彼らはそれを「プライドが傷ついた」など思ってそうなのがまたあれですよね。(イメージによる熱い偏見)
彼らに言いたいのは、見るべきものをちゃんと見ようとしないから君らのくだらない傷つきより、子供の方がよっぽど傷ついているんだ。といいた……いや、言ったら面倒になりそうなので黙っておきます。

あの子供たちのその後
最後辺りになると、A(活発な子)B(メガネの子)C(ぬいぐるみの女の子)はそれぞれ、無事に学ぶ姿勢を覚えつつあるようでした。
いろいろありましたけど、彼らの成長は見てて微笑ましいものを感じさせました。それぞれが望むように生きるようになってほしいものです。思えばそれが自立、あるいは発達というものかもしれません。
彼らはそのうちばらばらと別れることでしょう。それぞれ恋心があるようでそれが叶う叶わないにしても、この衰退している世界では、一度別れたらもう会えないという世界であるので。別れの時を考えると、ちょっと胸が苦しくなりました。


人類流の、さえたやりかた

ヒト・モニュメント計画再び
ヒト・モニュメントの計画がなお続いていたみたいです。相変わらずのガバガバ計画と、慢心が重なりあった結果、下請けの情報伝達不足が顕になっている様子は呆れてしまうようで、あの世界らしいとも思いました。
そのヒト・モニュメント計画ですけど、結果的に二回ともわたしによってぶっ壊されています。両方とも仕方ないとはいえ、わたしというものは罪深い人間でもあるなと思いました。すごいのは両方共なんだかんだ、丸く収まっていることですよ。わたしは有能なんですね。


人工知能「I」は、自我を持った瞬間暴走をしてしまったようです。暴走というより感情を持っているのだから癇癪と呼んでもいいかもしれません。
そしてその自我とは、わたしの思考のままのコピーアンドペースト(多少は違う)ようです。だから壊したはずのクスノキの里に戻り、さらには壊れたクスノキの里に絶望もしてました。記憶に無いのだからしょうがないとはいえ、その様子はちょっとシュールであってSFっぽく個人的思いました。
とはいえ、そんなのんきなこと言ってられなく、災害はものすごいことなっていることでしょう。ちょっした癇癪で街が全壊したとなれば、あれですよ、災害レベル鬼か竜あたりのレベルですよ。先生(わたし)がすぐ行動に移してなきゃ……と考えたら被害が街一つで良かったといえます。いや、わたしに謝る最後の頭を垂れるとこで街一つ破壊してそう。(わなわな)
あと物語の最後、Iに大岩が飛んで来た時、たまたま助手さんと居合わせてとっさに守ろうとするんですよ。あれ終わってみれば人工知能がとっさに考えて判断したことですよね。わたしのコピーなんだから納得かもですけど、あの判断は感慨深いです。

物語の巧妙さ
この作品はおおきなミスリードによって成り立っています。僕はまんまとそれに騙されて、再び読み返すことになりました。
読み返してみれば膝を打つシーンがたくさんあって、いやはや巧妙な作品だと感心しました。人工知能の「I」も「わたし」から来ているだろうなとか、ちょくちょく「I」が見た世界の違和感も「そういうことだったのか」と気がついたりだとか、展開を戻してみれば納得がいくことが多かったです。
それがいたるところに細かいんですよね。妖精さんだと思わせる(I自体は妖精さんだと思っている、読者も思っている)から実はそれは機械だった、なんてだれが想像できますか……もうすごいです。すごいですよ! ギャルゲー作ってる脚本家さん! ロミオさんすごいですよ!

【まとめ】
妖精さんに巻き込まれるというより、今巻は周りのもの(人間関係と機械)に巻き込まるパターンでした。両方共ここぞというところは、妖精さんの力を借りているところは変わらないものの、妖精関与(妖関)が少ない巻なんだと個人的に思いました。
そして相変わらずのふんわりとした世界でのどぎついブラックユーモア(挙げるのもおこがましいほどに)が炸裂してて、もう、いいですよ最高です。
なんだろう、もうおもしろいです。個人的好みドストライクです。次の巻を読むのが楽しみです。

ワンパンマン 01 (ジャンプコミックス)

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