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とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

人類は衰退しました 平常運転

田中ロミオ 人類は衰退しました ライトノベル

64冊目
人類は衰退しましたシリーズの最新刊であり短編集です。1巻~9巻終わったあとの話も収録されていますよ。

人類が発展を手放してはや数百年、人類はゆるやかに衰退をしています。
もはや人類は「人類」という枠組みかはずされ、「旧人類」と呼ばれていたりします。そこまで衰退すれば戦争や暴動など過去の産物となって、人類は自給自足のスローライフをしていました。
現人類はと言うと、「妖精さん」という別種族が君臨しています。つまり妖精さんが地球を制していたりするのです。
主人公のわたしは調停官という職に就き、この妖精さんと積極的に交流を深める仕事をしていました。基本人懐っこい妖精さんでも、好奇心旺盛の子供のように歯止めがかからないこともありまして、わたしはいつも苦労をするのでした。

この巻は短編集です。前提として「1巻~9巻までを読んでいる人が読むように(あとがきの意訳)」とあるように、全巻をすべて読んでから読むべき短編も収録されています。だから読みきってから読むことを僕もお勧めしますが、アニメDVDやBDに収録されていた作品もあるのでなんとも強くいえませんけど。

この作品、短編が12もあるんですよ。さすがに一言あらすじは難しいので、裏表紙を見てください。それがあらすじです(投げやり)。

----(ネタバレあり)-----


この本書、短編が12もありまして……ひとつずつ感想を、書いていこうと思います!

はたらく妖精さんたちの、べんちゃーびじねす
ひましていた妖精さんたちが超絶ブラックベンチャーを立ち上げてコインチョコを入手しようとする話でした。
後日談を期待したしょっぱなからこれですよ(ほめ言葉)。ゆるゆるだるだる世界観に、そこらへんのお仕事系ドラマよりブラックブラックしているあれが、もう、いい感じによかったですよね(いい表現が思い浮かばない)。
個人的に思うところひとつあげるなら、首根っこつるされて飛ぶ道具が気になりました。
首根っこつるされてだるんてした状態で空飛ぶとか怖いです。ついでに飛んでる姿も首ブランコみたいで怖そうです。なのにまぁ流行るのだから便利なんでしょうね。あの状態で井戸端会議なんてシュールでおもしろかったです。

はたらく妖精さんたちの、食品玩具
三人の子供達のもとに魔法の玩具が渡される話でした。
久々にABCの三人が登場しました。あれ昔は妖精さんを見えていたらしい(魔法を使っていた)と言うのに、今回はまったく妖精さんに気がつかないんですよね。成長したのかなんとやら、成熟したんでしょう。
気になったのは、フリーマーケットであの三人がデラックスビックベンキャラメルを売っているときに注意した女性居ましたよね? あれ助手さんがお世話になった女医者さんじゃないかと僕は想像したのですけど、どうなんでしょう。
まぁあとは、「楽しそうでなによりです」と言うことぐらいですかね。楽しそうですよね。

過去からのメッセージ
タイムカプセルとドタバタ女子会の話でした。
しょっぱなから老害だと思われる骨董品(タイムカプセル)が見つかります。これにわたしが「祖父が生きていたら」と言うのですが、それにYが目頭を熱くするんですよね。そして「飲みにいくか?」と聞くのですよ。実際に本心(しばらくあとで登場する本心がわかるゼリーにて裏表ないと分かる)から言っているんですよね。一気にいいやつになりましたしたよY、いや腐ってますけど。
あとは奉仕婦人会の女子がまったくあれでした。あれですよ、あれ、会議のときとかあれですよね。手のひら返しとかあれですよ。まったくあれですよね?
ところで最後、わたしが誰かに話しかけているんですよ。最後に「あなた、そう思わない?」と締めるんですが、あの「あなた」って誰ですか。読者ですかね、あるいは……どちらにせよ唐突にくるものだからびっくりです。

妖精さんの、ないしょどうぐ『食器伝承』
妖精さんが煉瓦オーブンをのっとって武器(食器)を作るからそれを助手さんが集めていく話でした。
助手さん視点(三人称ですが)という珍しい作品となってましたね。個人的には助手さんが見る景色がちょっと見えた気がしておもしろかったです。収集癖があるとか、「聖剣とか、すきですな」などロマン派が垣間見えたり、(おそらくわたしが作った)スモークチキンを「まずい(意訳)」と言ってたり、いろいろ思うこともあるようですな。冒険している感あってたまらんですな。
妖精さんがつくる武器はおもしろいことに、過去の武器をかたどっているようでした。ついでに効果が付属していてあれが僕ポイント高かったりします。強いて言えば『ぐんぐにる』がほしいですね。肉なんでもオッケーならいろいろ使えそうです。

おふたりさまで、業務活動記録
わたしと助手さんがデー……業務活動に精を出すという話でした。
なんだこれ、なんだこれ! ですよ。そのね、初々しいと言うかなんというか、最後に絵がありますよね。あれもう二人ともおめかししてましてね、わたしもふわふわでかわいくて、助手さんうらやm……ではなくてね、なんでしょうねあのザマは。なんでしょうね、この僕の感情は。
まぁそういうの置いておいて、実際見つからずに弁当食べるミッションなら、外に出ないほうが見つかりにくいだろうなとは思いました。妖精道具がある物置とか、おじさん(たぶん今は助手さんのもの)のコレクションルームとか、そういうところのほうがいいと思います。弁当食べるだけのミッションならね。
まぁおそらく次、助手さんがわたしの手を引くでしょう。そこで、あるはまたいつか、いい場所が見つかると思いますよ。

妖精さんの、ないしょどうぐ
1.むしけらきゃっぷ
ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』にて存在感が石ころになる仮面があった気がします。それ思い出しました(名前は忘れました)。今回のこれはかぶると虫けら(虫けらと同格のなにか)に見られる帽子らしいです。
虫ぐらいの存在感ならいいかなと思いましたけど、想像の斜め上をいっていたようです。虫だけあって、無視されないな……え?
2.あちこちほーる
「どこでもドア 怖い話」で検索してありそうな一種の思考実験が話の中心でした。僕としてはこういうの好きな部類で、「自分ならどうしようかな」とか考えましたよ。
君ならどうします? しない? やっぱ、ワープした先に同じデータ送って今の自分は死んでくれなんていわれたら、「いやだ」と言いますよね。けど考えてごらん。たとえば、センター試験に遅れているとする。さてどうするかな? ……そういうの考えるの好きです。
ちなみにわたしは遭難しているのに使いませんでした。遭難なんて命にかかわるピンチだというのに、お得意のサバイバルスキルで乗り切ったようです。つよい。
3.ほんやくばたけ
食べると本音が聞き出せるゼリーですね。どこかのこんにゃくを連想しましたが、たぶん無関係でしょう。
僕としては本音を聞きたいところであるので(たしか5分程度でしたよね)好奇心に負けて食べちゃうと思います。そして本音を聞いて、顔に出してしまって、人間不信まで容易に想像できます。
ところで、ここでさらっと祖父さんが出てくるんですよね。シチューがまずいとかなんとか、なに気ないワンシーンなんですけど、エピソードを眺めている気持ちで胸が少し締め付けられる感じがありました。まぁ、孫に向って本音ぶつけてるだけなんですけど。

三つの村における需要と供給とそれ以外の何か
引きこもり村(インドア村)、運搬村(カーゴ村)、創作村(ジャングル村)、の三つの村が登場する話でした。
それぞれ特殊すぎる生活しているのですが、三村での需要と供給がぴったりと重なっていて普通に共存していました。ただ思惑はそれぞれ違うようで、(これは図を見たほうが分かりやすいと思います)危なっかしさをあるように思えるのですけど、様子を見るなり層でもないような気がします。システムとしては完璧ですね。
気になったのは引きこもり村の住人はどうやって子孫繁栄させているのかというところです。あれじゃ、本当にあと十数年でシステム崩壊してしまいますよ。まぁ、人類は衰退していますしね。そういうこともあります。

民族の再発見にまつわる不都合な真実
原始生活詐欺をしている村とそこに住む狼と踊る女(以下女戦士と表記します)の話でした。
ひどい村ですけどそこにいる女戦士さんは見た目は美しいながら心は戦士でした。「狩り」となれば血が騒ぐとまではいかなくとも、憧れを持っていたようです。結果、「狩りなんてしてないじゃないですか、やだー!」ってな感じになってましたけど。
あとこの村でわたしはビキニアーマーを装着することになります。(戸部淑さん絵ありがとうございます)すごいのは「いけるける」「いけないけない」と繰り返しているにもかかわらず、(押されて)ちゃんと着ている、そして晩餐会に出席するというところです。すごいっすよね、いや、もうすごい。土壇場アドリブ強すぎですよわたしさん。加えていいこともしちゃって、さすわたな話でした。

村起こし成功の影に潜むさして意外でもない真相
すっごいアトラクションがある村にわたしが行く話でした。
すっごいアトラクションがありました。すごくインパしてました。僕としては「遊園地なんて子供みたいなところ(アトラクション苦手)」とか言うタイプ(普通に人ごみ苦手)なのでわたしがなんかいろいろ乗っている様は「むちゃしやがって……」ってな思いで見てました。
その遊園地とは、妖精さんがいてなんとか形になっていたようですね。加えて不正(人口調整)をしていたらしく、わたしが(休暇なのに)それを暴き出します。いや、わたしさん有能すぎません? 遊びに着たのに仕事の血が騒いで、ついでに不正暴くなんて、すごすぎません? きみ、出来る限り穏便がいいとか言ってましたのに。
そんな不正を暴かれてテンションだだ下がりした彼らですけど、新しく出来た遊具(わけが分からない)を見て歓喜していたので結果オーライです。

フルーツ、だめ、ぜったい?
フルーツがたくさん実る村でドリアン改良の女性が出てくる話でした。
人類とはすごいもので、試行錯誤をもって土地に果物(なんでも)育つようにしたらしいです。おかげでくだものしあわせ村が成り立っているわけで、人々は人類遺産の恩恵を受けているようです。あそこ糖尿病多そうです(小声)。
その村でカリスマフルーツクリエイターを目指す女性が登場します。若いらしい野心に燃えていて、すごいドリアンを作るぞ! と意気込んでいたようですけど、においがいいドリアンしか作れてないようでした。でもですよ。においがいいドリアンってすごくないですかね? あ、いやフルーツ日持ちしないでしょうから、やっぱいいです。
最後、気持ちよくなる(意味深)フルーツが流失してしまってました。うっかりが原因の回収不可能って、天皇陛下ブルーギル思い出しましたよ。

君主制度に果たす菓子類の役割
たまたま訪れた村で失態を起こしたかと思ったら女王様になってしまったわたしが北の女王と戦う話でした。
お菓子つくりの上手さが「強さ」の世界でした。思えば現人類の妖精さんはお菓子すきなのだから、お菓子作り好きな人が世界を制すなんてことも普通にありそうですよね。北の女王様はそのタイプでした。
女王様は意外にも妖精使いのセンスがあるようで、なんかすごいキッチンを作ったりしていました。前日ということもありますし、わたし側はもうだめかと思いましたけど、妖精をよく使っている(酷使)わたしの手にかかれば一晩の準備だけで圧勝してました。さすわた。
ただ最後に女王様が「のみこんじゃって!(泣)」と言う言葉合図に混乱し、最後は村と村の代理戦争があってカオスになっていました。あの町並み想像できないんですけど、絵とか写真とかで見てみたい気がします。で、夢に出てきそうです。

旅の手土産に最適なもの
ある学校(らしい)建物にわたしが入学してしばらく学生達と同じ時間を過ごす話でした。
一見、手土産に最適なもの(物)としてとらえていたものですから、読み終わって「物?」となりました。ここでの回答は「子供達」ということでしょう。(なんなら「者」とか)
この学校ではわたしが最長年として(制服あったの不思議ですよね)なんかいろいろ巻き込まれていました。子供からすれば必死とも見えますけど、そういったの百戦錬磨なわたしはむしろほほえましいものを見るようにひょいと子供達を手玉に取ります。後に僕はこの時のことをこう語ります。「子供達を脅してるところ見て、この女を敵に回したくないと思った。楽しそうに脅してるのがなおさら怖かった」
そんな子供達もわたしの手によってこの支配から卒業(ということでいいのだろうか)しました。あのあとクスノキの里に行くんですね。妖精さんの加護というチートスペックを持って。

【まとめ】
おもしろかったです。今までのシリアスなのは対照的にのほほーんとした雰囲気でブラック(変わらない)がとてもよかったです。
途中出てきたわたしの旅行記なんですが、あれの時系列で言うとプチモニの災害あとで、祖父さんの手紙が来る前のことだと僕は思います。あのあと帰って復興に着手したころに、9巻みたいな。たぶん。
そしてこの巻の初めに戻って、デー……業務活動記録で活動記録はいったん終わると、そんな感じだと思います。
その活動記録のことですけど、文章みたいなタイトルでしたよね。あれ『氷菓』の影響なのかな、と一人思ったりしました。「わたし気になります」の流れとか、あのあたり古典部シリーズが話題になった頃合と一致しているような気がするのですが(名推理)。
あと僕、巻数ごと(記事ごと)にちゃんとあらすじ書いてきたんですけど、あれですよ、ひみつどうぐの冒頭ですよ。覚えてます?

むかしむかしあるところ(地球)に、人類が繁栄していました。そして衰退しました。
えーこ☆せーすい♪
人類の変わりに地球を支配しているのは、キュートな妖精さんたちです。

と、あるんですよね。「もう全部これでいいじゃん」とか思いました。

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