とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

「先延ばし」にしない技術

74冊目
先延ばし? ……うっ、頭が。

久しぶりの自己啓発書です。今回は先延ばしにしない技術について書かれてある本ですね。(前回も先延ばしだった気が……)
著者の言い分を一言でいえば「先延ばしは技術で克服できる!」というところでしょうか。
なにも「先延ばし」する理由は、ちょっとした気持ちの問題、あるいは本人が思う目的達成までの認識の甘さ、など、そういう観点から心理学者である著者が一つ一つ痛い言葉を言いつつ考えを改めてもらうような本になります。
この本をおススメしたいのは、決意を何度もするような意志の弱い人でしょう。あとは僕みたいにだらだらしてしまうような人ですね。
まぁ何にせよ、「先延ばしは技術でなんとかなる!」という言葉にときめいた人は読んでみてもいいかもしれません。

(ネタバレありとありますが、今回も個人的に気になった点を挙げていこうかと思います)

※引用の枠で囲まれてないところは意訳しています。

----ネタバレあり----


問題は直視するべき
本編の章が終わったあとにコラムがあるんですが、そこにておもしろい話を見つけました。
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ムラ・ナスルディン(イスラムの寓話に登場する間抜けで幸せな聖職者)は街灯の下でなにかを探していました。
通行人の一人が「なにをしているのですか?」と聞きます。ナスルディンは「鍵をなくしまして」と答えると、優しい通行人は鍵探しを手伝い始めました。
しかし、小一時間探してみても鍵は見つかりません。
ついに通行人は「本当にここでなくしたのですか?」と聞きます。
ナルスディンは「いいえ、あちらの暗い場所でなくしました」と答えました。
通行人は腹を立て、「なぜこの街灯の下で鍵を探しているんですか?」と聞きます。
するとナスティンはこう答えました「ここが明るいからです」。
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HAHAHAHA……は? というような話です。
しかし、笑っていられるのも寓話だからこそだといえます。なにせ、思い返してみればテスト勉強をしようとして部屋を片付けだす……なんてこともナスルディンと同じようなことをしてましたから。どちらも似たようなものですよね。
この話の教訓は作中にあるように、「(問題を直視して)きちんと本当の問題に手をつけるべき」というところでしょう。僕もそういう本来の目的忘れて部屋を片付けだす、ネットサーフィンし始める、ということはしばしばあるので気をつけたいところです。
とはいえ、こう本人は必死で問題解決しようとしているのに、客観的に見れば見当外れな行動をしている時ってこんな滑稽なんだ……と一人思う次第でありました。
パンチャタントラ物語―古代インドの説話集

ついでに問題解決のステップ(作中引用というか抜粋)もここに書いておくことにします。
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●問題を認識する――まず問題があるという事実をきちんと認識しよう。
●問題を把握する――問題があることを認めたら、問題の本質を正確に把握しよう。
●解決策を探る――可能な限り幅広く解決策を探る。次に、長期的な観点から最善の解決策を選択する。
●計画し、実行に移す――最終的な期限を含めた実行可能な計画を立て、ただちに実行に移す。
●結果を検討する――結果を綿密に検討し、効果が無ければただちに問題を再定義して解決策を修正、補足する。
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どれも重要ですが、おそらく「計画し、実行に移す」という部分がもっとも重要だろうなと個人的に思いました。
理由は短い文章ながら「最終的な期限を含めた計画を立て」「(それは)実行可能な計画であって」「直ちに実行に移す」という三つの条件が盛り込まれていますから。
もちろんこの条件に立つころには、その前の項目もきちんとこなしてるでしょうし、いよいよ実行するのだから、本格的にこなしていればこの段階で問題は半分解決したようなものでしょう。
NHK 考えるカラス―「もしかして?」からはじまる楽しい科学の考え方

理由は時間がありすぎるせい
著者は「人は時間があるから仕事をするのではなく、締め切りに合わせて仕事を始めるのだ」と述べているように、どうしても人間は時間がありすぎると無駄なことをし始めるようです。

一般的に言うと、人間は時間に余裕があると無駄に仕事を膨らませて、与えられた時間を残らず使い、ぎりぎりになって仕事を終えるという傾向がある。

(※「パーキンソンの法則」というらしいです。)
耳が痛い話ですよね。とにもかくにも、時間がありすぎると逆に作業量が低くなるらしいです。「ちょっと時間があるからついでにあれやろう」というそれが、下手な時間を使ってしまう要因でもあるわけですよねぇ……。
ただ「ついでにやるのが全部悪い!」とは個人的に思わないので、やはりすべて臨機応変に締め切りを作るべきなんですよね……。

パーキンソンの法則が教えるひとつの教訓は、計画を立てる際には目的達成までに必要な時間を十分とるよりも、多少短めにとるほうがより効果的だということだ。多くの人が、結果を挙げたければ時間をより多く投資するべきだと考える。ところが、時間がないから成果を挙げられないのではなく、時間がありすぎるから成果を出せないことのほうがずっと多いのだ。

あれだけ時間があったのになぜこう追い込まれているのか、という理由がここにあるかもしれません。耳が痛すぎて中耳炎になるレベルですよ。
話がそれますが、時間がありすぎるのにできない……といえば小説家さんとかダイレクトに刺さりそうですね(名推理)。
パーキンソンの法則 (至誠堂選書)
パーキンソンの第2法則かねは入っただけ出る (1965年) (至誠堂新書)

ところで、締め切りを設けるにおいて三つの方法が挙げられていました。

第1に、小さなことからひとつずつ練習しよう。あまり大きな計画を立てるより、小さなことから始めるといい。「また今度会おう」ではなく、「来週の月曜日に連絡するよ」と言う。「部屋の片づけでもしようか」と考えずに、「30分以内に片づけを終わらせよう」と決心する。長電話のせいで重要な仕事ができないなら、電話する前に「10分以内に話を終わらせよう」と締め切りを決める。

「30分以内に片づけを終わらせよう」はよさげですよね。たとえばテスト期間なのに掃除に夢中になっている時だって30分で終わらせるなら、逆に言えば「30分」しか時間が使われないですから、部屋綺麗になって精神的にもリフレッシュにもなって一石二鳥ですよ。

第2に、はっきりと定義しよう。終了デットラインと開始デットラインを決めるときは、具体的な時間と場所の設定が欠かせない。指導学生のひとりが「論文のテーマを決めて、来週ぐらいにお邪魔します」と言った。もうひとりの学生はこう言った。「先生、今週の金曜日午後6時に研究室にお邪魔してもいいですか?」ふたりの学生のうち、どちらが決心を実行する可能性が高いだろうか。答えは言うまでもない。

前者の学生も悪くないんですけど、後者の学生のほうが明らかに意識高いですよね。加えてそういう時間を指定してくれるなら教授側も予定の調整がしやすそうです。

※印唐突に出てきた「終了デットライン」と「開始デットライン」についてですが、
・終了デッドライン:自ら決めた締め切り
・開始デットライン:物事に手を着け始める、「始まりだす」締め切り
と理解してください。

第3に、重要な仕事をするときは締め切りを公開しよう。エジソンはしばしば、何をいつまでに発明する、と締め切りを公開した。心の中で決心したときよりも公開宣言をした方が、決心を撤回するのが難しいという事実を、早くから心得ていたからだ。公開の対象が対面を守らねばならない人であったり、その数が多ければ多いほど、公開宣言の効果は高い。

僕のサイトでいう「目標は200冊」ってやつがこれでしょうかね? 個人的に無意識で行っていましたし、べつに「破ってもいいや」ぐらいの気持ちで始めたつもりですが、なんとまぁ理想的な発言だったわけですね! やったぜ。

死ぬほど働いても楽にならない人へ
著者は「効率」と「効果」は別物だ。という主張をしています。
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〈効率と効果の違い〉
効率:投資した努力と結果の比率、つまり仕事をどれだけ多く、どれだけ早くできるかで測定される。効率と結果は別次元の問題なので、効率が高いからといって、必ずしも結果が保証されているわけではない。
効果:現実の成果や寄与度に直結する中心的な役割の仕事をどれだけよくやったかと言う尺度。効果が高い仕事をするということは、成果を出せる仕事や寄与度が高いほ仕事をよくやったかということだ。
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まぁつまり、効果(お金、名声)がほしいのに効率(仕事の速さ、難易度)を高めるのは少し違うよ、ということです。
いわば「こんながんばっているのに成果がでない!」というときは効率はいいが効果に繋がる行動をしていないというわけで、効率と効果を考えて自問自答してみましょうという話です。
いずれにせよ、効率よくしなければ仕事をこなしても成果が出ないということがあります。なのでどうやって働いていきたいか、そういう目的が明確化してるなら自分なりに効率効果のバランスを持って向っていくのが理想ってことですよね。(理想)

ところで「付加価値の低い仕事に踊らされてはいけない!」という主張がこの近くにあるんですよ。

重要でないことに大切なエネルギーを注ぐのはやめよう。意味のないことに利用価値の高い時間を使うほど愚かなことはない。自分が時間とエネルギーを主に使うべき仕事は何か。簡単で慣れているなら、それほど努力しなくてもできる仕事なのか、あるいは、いまは難しいけれども将来的にに大きな結果が挙がる仕事なのか、見極めなくてはならない。

意味としては、「簡単な仕事ばかりしてないで、もっと次に繋がる難しい仕事をしなさいよ」というわけなのですけど、この「重要でないことに大切なエネルギーを注ぐのはやめよう。意味無いことに利用価値の高い時間を使うほど愚かなことはない」という一文、どこかで身に覚えのあるような……。
4時間ぐらい(この記事は3+2で5時間近い)かけて記事書いているのに1日閲覧数平均20~30人でアフィエイトやってるのに付加価値低すぎるブログ……あっ、察し。
読んでて「いっそこの時間を使って英単語覚えたほうがはるかに有意義じゃね?」とか気がついt、思ってしまいました。
ドラゴン・イングリッシュ基本英文100

【まとめ】
仕事できる人の頭の中ってこんな感じになってるのかーってな感じです。たとえば「仕事できる人はメールの返信がはやい」にしても僕相当メールの返信遅いですから「はえー」と思いましたし、「目標を友達に宣言すれば達成できる確立がぐんと上がる!」とあっても僕は目標は人前では言わずしこしこやって行きたい派なので「へぇー」と思いました。たぶんこれが外交的と内向的の違いなんでしょう。
あとは僕自身が変わっているため比較的、「こうなんだ!」と提示されても「普通だね?」と思うことがしばしばありました。だから多分この本を読む人は、社会によって異常になってしまった普通の人なのかなとか思ってみたり。
僕が言えるのは、メールは急いで返信するよう心がけてきたいですということです(できるとは言ってない)。