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とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日

78冊目
100年に1度の転換期に直面してるらしいです。

アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日

アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日

車の機能がマンネリ化してきている今、これからの車のありかたを担う「次世代の車」が必要になってきています。
その「次世代の車」とはなんでしょうか? ……という考察を「テレマティクス」という単語を軸につらつら書かれてある本になります。
考察の中にはもちろん自動車大国ある日本のことも書かれてあって、日本自動車産業の将来なんかも書かれてありましたよ。

内容をちょっと紹介すると、「次世代の車」の鍵はスマートフォンだという主張が続いています。スマートフォンが普及する過程で、必要なくなる機能、必要になってくる機能、それらを踏まえた新たな存在(次世代の車)を自動車会社は早く作らなければ時代に取り残されるぞ……などでしょうか。
とはいうもの、スマートフォンと車を兼ね備えた「次世代の車」作りにIT大手(グーグル、アップル)などが着手し始めているということです。それを見かねた企業は続々と「次世代の車」作り始めている様子が書かれてますかね。

個人的に車を作っている(開発、部品、すべて含む)人に読んでもらいたいです。あとは整備など車に触れている人、それとこういったら大きいかもしれませんが、官僚など政治家なども読んだらいいんじゃないでしょうか。
この官僚など政治家を挙げた理由は「日本の収入源である車についての将来」を考えてほしいからであります。まぁそういう情報を公表しないで、水面下でいろいろ奮闘しているかもしれませんが。


(今回も気になったところを挙げていこうと思います)

----(ネタバレあり)----

大転換を目前にして
最新の車といえば、「なんかタッチパネル搭載のすごいエコカー」みたいなイメージだったので、「自動運転はもう試験運転中」という状態には驚きました。グーグルをはじめとするIT企業がITを駆使したすごい車を作る、そしてそれは革新的で「車のありかた」を根本的に変えてしまうかもしれないなんて、いやはや時代はITですね。
グーグルは想定内として、個人的にアップルが自動車事業に参入する(「iOS in the car」です)ところが興味深かったです。以前、某掲示板のまとめで「アップルが車作ったときにありがちなこと」みたいな記事を読んだ覚えがありますが、まさか本当に作ってしまうなんて……とか思いました。きっとしゅっとしたシャレオツな車になるんだろうなー(予想)。
そんな大転換を前にして僕らが恩恵を受ける行動といえば、投資ぐらいになるんじゃないかな。僕もここに(車事業の大転換)大きな力があるように感じ、それこそ革新的ななにか起こりそうな気がしてなりません。
やっぱりこういう「近未来的な」雰囲気出しているものはわくわくしますよね。2019年が楽しみです。
URL:米アップルが電気自動車開発に本腰、2019年の出荷目指す=WSJ | ロイター
URL:アップルマークのついた自動車が4年後に街を走る?Appleが自動車業界参入か?! - ようこそ!こちらガジェット研究会!
(この記事1年近く前になるんですね)

次世代の車とテレマティクス
次世代の車のキーワードとなる「自動運転」と、聞きなれない単語(テレマティクス)が紹介されていました。どうやら自動運転以上に注目されている言葉らしいです。

これは、テレコミュニケーション(情報通信)とインフォマティクス(情報工学)の融合を指す造語だ。自動車分野では、カーナビなどの車載器とスマートフォンなどの通信端末を連携させて、リアルタイムに様々な情報やサービス提供するシステム全般を指す。

つまりインターネットと車つないで便利にしましょうねーであって、「車まるまるスマートフォン化(作中の表現)」といえます。
このまるまるスマートフォン化というのは、たとえばラジオ、天気予報、ニュースを見る、地図を見る、……そういうスマートフォンでできるようなことを「車でやっちゃおう」というごくありふれた発想になるのですが、少し考えてみたらあのパカパカケータイからスマホが登場した「あれ」みたいなことが車業界でも起こるってことですよね。それ、すごいことだと思いますよ。
著者が予想したように、車がスマートフォンになることによって、いっそなんかいろいろ(街のシステムや法律なんかも)変わりそうです。そこにはいろいろなビジネスチャンスもあるわけで(不安も増えますけど)楽しみですね。
そのうち走るパソコンみたいになるんでしょうな。

一方の日本では
そんなIT車作りが加熱するなか日本はと言うと、お世辞にも開発が進んでいるようには(読んだ範囲で)見えなかったのが残念でした。
僕けっこうこういう「近未来的な」アイテム見るのが好きなのですが、日本は毎回といっていいほどこういう変化に多少遅れているの悲しいんですよ。車でもそういう傾向なんだと知るなり、仮にも自動車大国なんて言ってるのだから自動車分野はがんばってほしいよ! とか思いました。
まぁ、言うが易しという言葉もありますし、この本に書かれてある日本の現実を見るなり難しいのかなぁとか思いましたね。

そういえば日本とアメリカの「自動運転の目標」がそれぞれ違ってて、まるで国柄表しているようでした。

日本の「オートパイロット」は、高速道路を鉄軌道に見立たような“逸脱しにくいルート”という安全策だ。技術開発についても、ADAS(先進国運転支援システム)と呼ばれる領域でのレーンキープアシストなどの既存技術の正常進化を想定している。

対するアメリカは、一般道路を含めた“自立走行”に重きがある。そこには国防予算をつぎ込み、次世代の防衛および戦闘を念頭にしたDARPA(防衛高等研究計画局)の賞金レースに見られるような軍需への対応が大きく影響している。

アメリカの軍用に使う前提で作るのが強いですし、国防予算がつぎ込まれているのもまた強い。日本だとできないアメリカっぽい強みを感じます。
けれども日本もまた上手いように目的決めてコンテストでもすればいいのにな(それを国の予算で支払うとか)、そうすればもっと活発になるのにな、とかろくに世間も知らないのに僕は思いました。

ていうか、そもそも日本は方向性がはっきりしてないようです。

アメリカは軍需という明確な実需があることで、ヒューマノイド技術開発力は短期集中的に向上していく。彼らが目指しているのは、戦場や被災地で自立的に活動するロボット兵士である。一方、日本社会にはヒューマノイドの実需がはっきりせず、せっかく高い技術力があっても、結果的にその一部を切り取るかたちで介護医療分野に転用されているに過ぎないのが実情だ。

やっぱ、戦争パワーって強いんですかねぇ。日本も日本って災害が多いから「災害に使えるロボット」という共通目的でも作ればいいのに、とか思いました。(僕が知らないだけでもうあるかもしれません)
技術力があるのに、情報伝達や資金不足、無茶振りなどで自ら縛っているのがなんとも切ないです。
国をあげての方向性定まってないし、企業は若者と上の意思疎通ができてないようですし、プリウスハッキングされてるし(参考:クルマの運転操作をハッキングしてみた:動画|WIRED.jp)、自動車関連の問題は山済みのようです。企業さん国さんがんばってください(応援)。

日本版シリコンバレーを作ろう
ところで作中にある「日本版シリコンバレーを作れ!」という意見、僕も大いに納得しました。
いいように頭脳と投資があつまる「場」ができたら、いいように出資できるシステムがあれば……などそんな「もし」を想像すらしてしましたよ。

(前略)それは「どうして日本では、シリコンバレーのような頭脳と投資が融合して、ビジネスをスピード感を持って楽しく行える街がないのか?」。

シリコンバレーを崇拝し、その日本版を作ることが日本の進むべき正しい道だとは、著者は思っていない。だが、次世代テレマティクスに代表される新しいビジネス領域を日本で開拓していくためには、研究開発に携わる人々が集まる街が必要だ。(後略)

この引用にあるように「シリコンバレーを日本で再現するべき」という意味で言ってるわけではないです。日本らしい、日本っぽいシリコンバレーを独自で作りあげればなぁということです。そういう街ができれば、熱い思いを持った人が集まり、お金を持った人が投資して……そういう場所から革新的ななにかが生み出される気がします。

ちなみにこの後に続くのは「ヘリテージ」という単語になります。(意味:先代から残るもの、受け継がれている遺産)
著者はヘリテージは場所に宿ると見て、たとえヘリテージがない場所で日本版シリコンバレーをつくろうとも上手くいかないとしていました。つまりなんていうか、日本の経済成長を技術面で支えた場所ってあるじゃないですか? そういうところにヘリテージ(受け継がれる情熱みたいなもの)があるから、そういう場所に日本版シリコンバレー作ったらいいんじゃないかな? という話です。
これ日本の考えっぽくて僕は好きです。場所に情熱が宿るなんて、なんかいいですよね?

(前略)先人たちの発想で生まれた建物や製品がすでに消え去っていたとしても、街の雰囲気のなかに「先人たちが目指した信念」が脈々と流れ続けているものだ。つまり、「本物」ということだ。最先端機器や先進的なデザインの建物は所詮、街を流行のファッションで着飾っているに過ぎない。そうした街には、「本物」は集まってこない。

【まとめ】
自動車の未来は明るいなーと思う一方で、そこに日本が食い込めているかと言われれば怪しいところだということが分かりました。
悲しいことに、日本の悪いところが(いいところもありますが)、足を引っ張って変化に対応しきれてないようです。
いろいろ書きましたが「まったく日本は……」というわけではなく、むしろすごい技術持っているのになんでだよーという、歯がゆい思いで本を読んでいましたよ。
僕は声援を送ります。やはり日本は自動車大国でありつづけてほしいですから。

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