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とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

トコトンやさしい ねじの本

103冊目
ねじの種類から力学まで

ねじの基本的な種類から、力の加わり方の考察まで実に多様な方面から見たねじの本になります。

注意すべきは、トコトンやさしいとあるものの、レベル的には中級者向けに感じたところでしょうか。ただ、それでも僕みたいな素人でも読めるぐらいにはわかると思います。(僕が中級者だと言っているわけではありません)
とはいうもの、本の内容がとても多方面から見られたものでして、ただ「ねじの存在理由と種類を説明しただけ」ではなかったんですよね。力学から規格の話とかも含まれています。

多少内容は難しいですが、理解できればねじについて広範囲に理解できる本だと思いました。

※今回もネタバレありとありますが、個人的に気になったところをあげていこうと思います。



-----(ネタバレあり)-----

ねじの経済
初めあたりのページで、ねじの市場について話題がありました。そこにはねじ1年で生産量320万8819トン、生産金額8980億37万円(2009年)と書かれてあり、ねじ市場の大規模さを感じることになります。
あらためて当然のことですが、機械には(建物もですが)ねじが必要不可欠の存在です。だからなにしてもねじが必要なわけで、なにをしてでも「ねじ」は売れるわけなんですよね。本にも書いてある通り、ねじ業界は景気の影響変動を大きく受けることなく、安定成長(むしろ安定しなきゃならない)を続けているいるといいます。たしかに、です。
あと最近、プラスチックのねじから「アルミニウムのねじ」、「チタンのねじ」など新時代のねじが続々登場しているらしいです。この本は2010年のものですから僕が読んだ以上に今進んでいるんでしょうね。

ねじの規格変動
JIS*1という規格があります。これが日本のねじの基準となっていて、この本でも頻繁に登場していました。
彼らが定めたねじを「JISねじ」と呼ぶとかありますが、僕が気になったのはもっと別の話です。

1946年6月1日に工業基準化法が公布され、日本工業規格(JIS)が制定されましたが*2、戦後はアメリカの影響を受けていたこともあり、JISの中にはメートル*3、ウイット*4、ユニファイ*5の3規格が混在していました。(後略)

いろいろ不安定な状況もあってか、日本は国内の海軍と陸軍のねじの規格すらばらばらだったと言います。
そんななかでの「日本のねじを決めよう」もっと言えば「世界の規格ねじ*6と統一していこう」という流れもありました。
流れがあるとはいえ、(詳しく書きませんが)それぞれの分野(産業)がそれぞれのねじ規格のまま成長してしまい、ISOでは表せれないねじが誕生したまま放置され続けていたわけです。

JISねじはIOSねじに一致させようとしていますが、両者の一致が難しいようなねじの場合、古くから慣習的に使用されてきた寸法のJISねじが突然なくなると困ってしまいます。先に述べたように、日本ではIOSに規定されているM1.6よりも、古くからJISに規定されているM1.7の方が市場性があることなどが知られています。(中略)IOSねじの規格にそぐわないJISねじは何年か後に廃止するとして、附属書という形で暫定的に残しておく方法がとられています。

もし本気でJISからISOに変えるなら、今使っているJISねじをできるだけ使わないようにしなくてはなりません。そうしても数年ぐらいかかる問題です。一方で一気に「今日からこっちね」とねじを変えたならば、それこそ混乱を免れませんよね。よって上のようにあくまで(JISねじを)附属書として扱っていく苦肉の策をしていたらしいです。

さて、この附属書が廃止なる時が近くありました。
それは2009年12月31日です。この時期にすべて廃止、としたかったわけですが、

(前略)附属書から除外されるということは、このねじが国際規格として認定されなくなるということだけでなく、輸出入の際に貿易問題になることなども懸念されていました。(後略)

附属書が廃止されたときの影響も考えられ、結局のところ廃止案を5年先まで延長、つまり先送りされることになりました。

ちなみにその5年後(2014年12月31日)はもう過ぎています。作中はここで終わっていますが、ちょっと気になり個人的に調べてみました。

【調べ物】
以下のサイトを読みました。
ねじの研究所:ねじの研究室|ねじの専門商社サンワ・アイ(大阪)
金属産業新聞社:ねじ研、六角ボルト・ナットJIS附属書の存続を報告|ねじニュース|ねじ・ばねの業界専門紙|金属産業新聞社|neji-bane.jp

正直、ねじの研究所にあるPDFファイルを読めばわかることですが、PDFファイルによると、

◯改正前

なお,この附属書1 は,2014 年12 月31 日限り
で廃止する。
備考 この附属書1で鋼ボルト,ステンレスボル
ト及び非鉄金属ボルトを総称する場合は,単に
“ボルト”という。

◯改正後

この附属書で,鋼ボルト,ステンレスボルト及び非鉄
金属ボルトを総称する場合は,単に“ボルト”という。
この附属書は,将来廃止するので,新規設計の機器,
部位などには使用しないのがよい。
なお,この附属書で規定する等級,機械的性質,形状・
寸法,ねじ,仕上げ程度及び材料以外の要求事項があ
る場合には,受渡当事者間の協定による。

※ここでは六角ボルトを例に挙げています。というか各自見てくれた方が確実です。

というように、表現が変わっています。
「2014年に廃止する」という強い表現から「将来廃止になるから、使用しないほうがいい」というやんわりなものになっていますね。
そのままずるずると使っていくのか、附属書ねじがなくなっていきそうなのか……どちらにせよ、「廃止!」からの「やめたほうがいいよ」となっているわけで、これから混ざった状態が続くなか規格の識別する人が大変ですよね。その上、たとえば「ねじを作った人がこれを知らなかった場合」とかも面倒なことになりそうです。金属産業新聞社でも同じようなこと言ってます。どうなるんでしょうか。

便利道具は常に進化している
ねじは個性を出すことができない製造(JISが厳密に決めているため。てか、そもそも個性を出したら逆に困ります)である一方でねじを使う方、具体的にはドライバーなどは日々進化しているようでした。
余談ですが以前、家に来たエアコン取り付けとかしてくれた人のドライバー見て、ドライバーの先が磁石になっていて、それはそれはかなり驚きましたよ。触らせてもらいました。
そんな感じで僕が知らないところで便利な道具が発売しているのだから、僕の知らないところでもっと便利道具があるのだと思うと気になります。フレックソケットスパナ、ソケットレンチ、ラチェットハンドル、シグナル式トルクレンチ、デジタル式トルクレンチ……と、この本の中だけでも便利そうなアイテムありましたし。
大きなホームセンターに行ってみたいと思いましたね。「ホームセンターに行ったら何時間でもいられる」という人をテレビで見ましたが、僕もそんな感じになりそうです。

ねじの素材とか
基本ねじの素材は鋼鉄だといいますが、上に書いたように今やプラスチックやアルミニウム、チタンなど様々な種類のねじができているそうです。
ちなみにプラスチックねじは耐摩耗性、耐衝撃性、耐食性、電気絶縁性など、場合によっては耐薬品性とか必要に応じて分けて使っているそうです。思えばプラステックのねじはしばしば目にしますよね。具体的にはと言われたら難しいですが……家具とか。
僕はねじと言えば「鉄(鋼)」というイメージが強いようで、多少時代遅れなのかもしれません。
最近はアルミニウム(軽い、電気伝導性や熱伝導性に優れている、加工しやすい)とチタン(耐食性、耐熱性を持つ)などのねじが作られているそうです。この二つはそれぞれ鉄に比べて軽く、アルミニウムは航空機や医療関係で使われ、チタンは航空宇宙関係や原子力、海洋開発、マリンスポーツなどで使われているといいます。
思えばねじひとつの重さは微々たるものかもしれませんが、旅客機なんかねじ300万本使っているらしい(車は3000本)ので、ねじひとつの重さの違いでもちりも積もれば山となる重さになってそうです。
これからのねじはどうなるんでしょうか。チタンのねじなんか加工が難しく高価なそうですが、いつしかホームセンターで並ぶこともあるかもしれませんね。

【まとめ】
ねじ一つにしても、そのねじはおねじなのかめねじなのか、あるいはJISのものなのか……と、いろいろ事細かく分類されているそうです。
なにげにあるねじも、最適化に最適化を重ねた結晶とも言えるようで、それはそれは考えられてあるものなのだとあらためて思いましたね。
言えることは大きなホームセンターに行きたい、ということです。

*1:日本工業規格。Japanese Industrial Standards の略

*2:ちなみにこれが理由で6月1日はねじの日

*3:1894年にフランスで考案された、ねじ山の角度が60度で長さをメートルで表したねじ

*4:1860年にイギリスで標準化された、ねじ山が55度でインチの当たりの山数で表したねじ

*5:1948年にアメリカ、イギリス、カナダの3国間で制定された、ねじ山の角度が60度のインチねじ

*6:ISO。ISOとは、1947年に設立した「国際標準化機構」のことで、「International Organization of Standardization」の略

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