とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

法令用語・契約用語の見方・読み方・使い方

109冊目
知らないことばかり

タイトルのように、あの気難しい法令用語やら契約用語についてわかりやすく書かれてある本になります。
ざっと(代表的なものを)全体的に書かれてある本なので、何もわからな人でも読めると思います。

内容といえば、はじめに「法とは…条とは…」など法律の説明から始まって、分からない単語はコラムのように一つ一つ丁寧に紹介されています。加えて例文(と言うのだろうか)、実際の条文など例に出てくるので「実際はこんな風に書かれてあるんだ」と思うことができます。
そして最後の方には、実際の(とはいっても著者が作ったサンプルですが)契約書を眺めながら、振り返るように用語が書かれてあるのでわからない人でも読み解くことができると思います。
直ちに・速やかに・遅滞なく・当分の間や悪意と善意の違いがわからない人は読んだほうがいいかもしれません(説明は本書にあります)。

※今回もネタバレありと書きますが個人的に気になったところを挙げていこうと思います


-----(ネタバレあり)-----


法令という存在
なんとか法、なん条などそういったものはニュースでもよく見ます(本でもたまに見ます)。そういうのが出るとたまに条文の原文をググったりするのですが、僕自身なにがなにやら(なんか大切そうなことを言っているなぐらいはわかる)わからなかったのですが、いざこうした法律なんかの本を読むと「(法令とは)意外と身近なものではないか」と思ったりしました。
例えば物語でいうタイトルが「法」であって、目次でありながら内容をざっと説明するのが「条」。条の下にあるのが項*1、次に号*2だといいます。
僕らレベルの話をすると「○ページの○行目」なんか言ったりしますが、弁護士なんかも「○○法の○条、○項目の……」みたいに言い合っていると思うとやはり身近に感じます。そんな感じる以外にも、あの膨大な法律やらどうやって扱っているのだろうと思ったものです。やはりこうした適切な引用(言葉を聞けばだれでも条文の何項目か分かる仕組み)があるんだなとざっくり思いましたね。

法の名前が長くなっている話
昔の法律は単純な呼び方だったのに、今の法は中身を説明するために長くなっているらしいです。
昔の法律の例であげると「民法」「刑法」「商法」とかでして、一方最近のは「個人情報の保護に関する法律」や「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」などと、とても長いものになっています。ひと目でざっくり内容がつかめる言えば後者ですが、個人的には短いほうが好みですかね……と、この傾向を見てなにか感じませんか? そうですよライトノベルです! 僕この傾向についての説明を見た時「ラノベかよ!」って思いました。とはいえラノベと法律の関係性は薄いですが。
ところで、これだけ詳しく説明したということは逆に言えば通称として短く短縮して口にだすはずです(これもラノベと同じじゃないか…)。上の「私的独占の禁止及び公正取引に関する法律」なんかは「独禁法」や「独占禁止法」などと呼ばれてるらしいです。
短くするということは短くすることでうまく伝わらないこともありえます。「個人情報保護法」と言われたら上の「個人情報の保護に関する法律」だと一見思いがちですが、実は「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」だったなんてこともあり得るわけです。
「文脈をみてなにを言っているのか柔軟に理解すること」と作中ちょくちょく注意書されていて、法律の難しさ(言葉の意味範囲というのでしょうか)そういうものに敏感ではないとダメみたいですね。

特有の法令用語
あらすじのところに触れた善意と悪意、この2つの違いですが、一言で言えば「(善意はある事実・事情を)知らなかったか」「(悪意はある事実・事情を)知っていたか」になるそうです。僕らが考えるような「悪意をもって行動する」の悪意のように、なにか悪いことを考えてやらかしたことすべてが全て「悪意」ではないってところが、法律特有の言葉って感じしますよね。てか書類に善意悪意なんて言われて(書かれてあって)これ初見で理解できるわけありませんよ。
似たような言葉として「過失」もありました。過失といわれたら「業務上過失致死」なんて言葉が思いかびますが、これでなんとなくわかってもいざ説明しようとしてもなんともいえません。
過失は「善意と悪意」セットのように「故意と過失」というふうに言われるらしいです。

民法等における「故意」とは、「自分の行為から一定の結果が生じることを知りながら、あえてその行為をすること」を意味する。また、「過失」とは、「一定の事実を認識できたにもかかわらず、不注意でそれを認識しないこと」あるいは「注意義務に違反すること」を意味する。

と、わかりやすい説明があります。なんか「故意」が僕らの中にある「悪意」の意味っぽいですよね。
これ法律とかになると超超基本的な話なんでしょう。でも言われてみればわからないってことばかりなのだから、いざってときのために用語だけでも知っておかないと行けない気がします。

契約書はわりと自由度が高い
契約書ってまじまじと(読んでますが)読んでないので、全部似たり寄ったりかと思えばそうではないらしいです。そりゃ契約の種類だってありますし、何を契約するかで話だって全く変わってくるというのはわかります。けどやっぱ、こう、(インターネットで登録することが多い人はわかるでしょう)大体同じだっていうことわかってくれると思います。
興味深いことに、この本には契約書の作り方が書かれてありました。すべてが全てざっと説明してられないのでざっと書くと、契約書ごとにテンプレがあって、そのテンプレを抑えながら特例を追加しつつ、全体を調整をして、間違いがないかチェックする……ってな感じでした。実際僕は契約書を作ったことないのでわからないんですけど、記事を書くのに(加えて創作にも)通ずる手順だなと思いました。
あと、契約と言うだけあって、甲乙ともに対等にやりあえ(やりあえないこともあります)ます。どちらだろうが契約書のミスを見つけたら修正を求めることだってできますし、紛争を念頭に置いて正しい表現にしてもらう(証拠をすでに手元に持っておく)ってこともできるわけですよねまぁ小さい登録ならここまで手厳しくしなくていいかもしれませんが、家を買うとか、その会社で働くとか、特許とかそういう契約ならばしっかり見ておきたいところです。
自由度が高いという部分で書くと、自由度が高いからこそ自分に対して不利なようにか書かれることだってあるわけですからね。

余談
そういえば本の冒頭に本書の情報を補ったりするサイトを開設したとかありました。そのURLを貼っておきます。
URL:実務に活かす法律と契約書の知識

【まとめ】
個人的には法令用語の確認と、敷金礼金あたり(土地賃貸借契約書)、著作権のあたり(著作権譲渡契約書)が勉強になりました。内容も分かりやすかったのでなんとか飲み込むことができたと思います(まだ定着はしてない)。
一方で債権あたりは難しく、まだちょっと理解できてません。似たようなことを金融の本で見たような……気がするようなしないような。ここらへんまた調べていきたいですね。
しかしすべて日本語でかかれてあるのに、一瞬意味わからなくて「ん?」ってなるのが不思議でした。

*1:条の説明が長いとき「~○項の」という風に使われる。最近はわかりやすく数字がついていたりする

*2:箇条書きで書かれている部分(でわかると思います)