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とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

散歩で見かける落ち葉の呼び名事典

亀田龍吉 番外編

番外編
ちいさい秋を見つけてみよう

一言で言うと、落ち葉の写真集みたいなものです。中をぱらぱらと開いたらわかるように、紅葉した葉っぱの写真とともにちょっとした紹介が書かれてあります。
個人的にその木の語源が記されているのがいいと思いました。カエデの意味とかそういったのも知ることができ、読んでておもしろいです。

公園とかでなにげなく見ることがある落ち葉ですけれども、あの赤色黄色にもいろんな種類があることがわかります。

時期が少しずれてしまいましたが、感想を書いていきます。

※今回もネタバレありとありますが個人的に気になったことを書いていこうと思います。


-----(ネタバレあり)------


単に赤色に染まっているわけではない
紅葉といえばこう遠くから見た光景を想像するように、紅葉こそ「きれいな赤色(あるいは黄色)」といった姿が思い出されます。そして紅葉の紅葉さ(見頃と言われる頃)はどうしても、その色が濃い時期だというイメージも強いですよね。
でも紅葉の良さはその色合い強さだけではなく、なんというか、モミジがばーっと広がる姿も圧巻ですけど、冬も近づいて寂しい木から垣間見える小さな紅ってのも、紅一点っていうんでしょうかね、そういうのも紅葉の良さみたいなんですよ。
この本に登場するのは葉っぱ一つ一つなんですが、その葉っぱ単品で見ても、モミジやイチョウみたいなはっきり色が変わっているのもあれば、ナンキンハゼやアキニレみたいな妙な色合いを残すものもいて、それもまた味があっていいものでした。

紅葉に完全さを求めすぎてたかもしれない
子供の頃、そりゃ紅葉狩りとかしたものですけど、その紅葉狩りをしていたモミジこそきれいなモミジだったような気がします。とはいうもの、完全なきれいなモミジばかり集めていたような記憶があって、それはたとえ紅葉狩りでなかろうとも葉っぱを探すときは決まってきれいな葉っぱとかだったような記憶があるんですよね。
でもこの本に出てくる葉っぱは(そりゃきれいなものが多いですが)紅葉しきってなかったり、枯れてたり、虫食いもあったりして。それがまたいい感じを出しているわけですよ。だから今思えば僕は葉っぱに完全さを求めすぎてたのかもなぁと思い返します。
あの虫食いや、穴や、色合いという不完全さ……というか、自然らしさもいいなと思えるとまた一層山歩きも楽しくなりそうです。
でも季節になったらきれいに色が変わってゆくっての、全然不完全に思えないんですよね。むしろ自然で完璧なような気がしてきています。そう考えると紅葉なんて不思議ですよね。

個人的に好みな葉っぱ
いろいろ登場ましたけど、個人的に好きな葉っぱをいくつか上げます。

・アカシデ
The葉っぱって感じが良い。色合いも、葉っぱのつき方も好み。
(シデとは垂というのが語源らしいです。垂とは神社のしめ縄に付いているあの紙です)

・カキノキ
実に気を取られて気が付かなかったけど、葉っぱも渋くてとてもいい。
(成熟した実を見て「赤き実のなる木」から来てるそうです)

・アサダ
変わるまでのグラデーションがきれい。黄金色なった様も好み。
(おもしろいことに日本原産にも関わらず語源が不明らしいです)

・ヤマブキ
こちらも変わるまでの様子がいいかんじ。あと、紅葉してないのと紅葉している葉っぱの対比がきれい。
(山振りがいい変わったもの。風に揺れ動く枝を「山振り」といい、この木はそれに例えられた)

個人的に気になった話
やっぱあれですよ。カツラの落ち葉からいい匂いがするってやつですよ。

地上に落ちた葉は1~2日で茶色くなって甘い香りを漂わせます。『街路樹の呼び名事典』で砂糖醤油せんべいの香りと表現しましたが、砂糖を使った菓子に共通でキャラメルの香りにもあるマルトールという成分によるそうです。

枯れ葉から甘い匂いがするって、花の蜜があるならまだわかりますけど、枯れ葉から来るなんて驚きですよね。
街路樹の呼び名事典 葉と実でわかる

あとカエデの語源についてですか。
ちょくちょく書かれてのを読んでみると、カエデの語源は「カエルの手(カエルの手に似ているということから)」だと繰り返し書いているのだから驚きました。
こう「楓」という漢字を書くように、なんかこう日本の風土のある美しい語源があるのかと思えばカエルの手ってw とかひとりおかしく思ったり、それもまた風土あるかなとか思ったりしています。もしこれを読んでる誰かが紅葉デートにでも行っているときに、「楓ってのはカエルの手から来てるんだって」なんか言っちゃえば「えーほんとー?」みたいになっておもしろそうですね(もちろんこの情報を鵜呑みにしないで、各自ソースを取ってください。責任は負いません)

最後にムラサキシキブです。
このムラサキシキブってのは植物の名前です。驚いたことに作者の名前がそのまま使われている植物となります。
ググってくれたらわかるように、植物の実が紫で「ムラサキシキミ」など京で呼ばれていたところから、紫式部が連想されてそういう名前になったと書いてありました。作者の名前がそのまま植物になっているところが面白いですよね。まぁ星の名前とか、新しい発見の現象とか、洗剤とか、もっとも力学とか記号の読み方だって人の名前あるだろと言われたらそうなんですけど。

【まとめ】
公園とか歩いていて、落ち葉を拾ってみたくなる本でした。
子供の頃は色々触ってたりしていたものの、いまでこそもう公園すらあまり寄らなくなっています。そもそもぱっと思いつく公園に豊かな緑があるかと思えばそうでなかったり、そんなことを考えたりします。
そして紅葉狩りという行動、あれ僕「なんでするのかな(失礼)」とか魅力あんまりわからなかったんですけど、あれはきれいな紅葉探しながらこういった、いろいろな自然に触れるためにやっているんだと1人納得しました。
カツラの甘い香りなんてかいでみたいですよね。

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