とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

鉱物の不思議がわかる本

117冊目
いしすき

鉱物について書かれた本になります。本の中は第三章ぐらいに分かれていて、第一章は「鉱物の不思議について」、第二章は「鉱物の仕組み」、第三章のページ大多数を占めるのが「鉱物の図鑑」となります。

カラーの写真付きの紹介がされているので、図鑑のように読めて、知識本のように鉱石について知ることができますね。

個人的に石(特に鉱石系統)が好きで、それのせいか読むのがおもしろかったです。好きとはいえ鉱石に関して素人の僕でも読めるようになっているので、本を開けば多分誰でも読めると思います。
図鑑も主要な石をピックアップされていますがその数はわりと多く、図鑑としても利用できるんじゃないかなって思うぐらい詳しかったです。

※ネタバレありと書きますが、個人的に気になったところを書いていこうと思います。



-----(ネタバレあり)-----


誕生石の誕生秘話
誕生石というものをきいたことがありますが、この本の初っ端にはその発端について書かれてありました。
誕生石の考えが初めて紹介されたのはかなり昔である、『旧約聖書』より「出エジプト記」にてユダヤ教の高僧が身につけていたという胸飾り。その胸飾りは黄道十二門をかたどる12種類の宝石が縫い付けられていたとかなんとかでした。
ここからおもしろいのですが、この話を商売に使えると思った宝石商が広めたのが誕生石だそうなんです。

誕生石を身につける習慣が初めて広まったのは18世紀のポーランドである。ポーランドに移住してきたユダヤ人の宝石商が広めたものといわれている。そして、生まれ月の星座の宝石を身につけると病気や不幸を避け、幸福を招くという占星術の信仰とともに、ヨーロッパで一般化していくのである。

今の誕生石についても宝石商が宝石の色と月などを考慮して考えているらしいです。はじめは『旧約聖書』だとはいえ、こうビジネスチャンスだと見てからこうして広がった後、今もなおビジネスチャンスっぽい扱いが個人的におもしろかったです。

人口で宝石を作ろう
機械とか触っていると「◯◯のコーテングはダイヤモンド!」みたいなものを見て「小さいとはいえあんな高価なもん使っていいんだろうか」とか思っていたのですが、そのダイヤモンドこそ「人口で作られた」と知ったのだから驚きました。
今でこそ(まぁ僕が知らなかっただけですが)ダイヤモンドの他にもルビーやサファイア、その他いろいろの「鉱石」を人間の手で作っているらしいのだから驚きです。
しかしその人工ダイヤモンドというの気になりますね……、ダイヤモンドが使われてるということは「硬さ」がいい感じに利用できるからでしょうが、ダイヤモンドという名前だけ会って人工だろうが光り輝いているのでしょうか。

石が薬になる
漢方と言ってイメージするのは、草、葉っぱ、実、根っこぐらいのものでした。しかし本を読んでみると「石(鉱石)」も医療に使うとかあってびっくりです。
ちょっと引用してみると、「滑石:胃炎、腸炎、腎炎に効果がある」「代赭石(赤鉄鋼):補血のほか、収斂剤として止血に効果がある。鎮痛剤、鎮嘔剤として用いる」……など。
どんな鉱石かというのは各自ググってもらうとして、それを見るともう完全に「石」なんですよね。それを粉にして飲む? あるいは水に溶かして飲む? など使い方わかりませんけど……いや飲んで、それが効果があるとか想像できません。どうなるんでしょ(心配)。

ときにこの鉱物薬(鉱石の薬)はなんと古代メソポタミアの頃から使われていたらしいです。
いまほど医療が発達していないわけなのだから、本にかかれてあるように、それほど石の神秘性というべき信仰心が強かったと伺えますね。
古代の話でもうひとつ気になったのは、古代ギリシャやローマで薬として使われていた鉱石の話題です。

古代ギリシャではヒポクラテスによって医療が発達した。それを受けて古代ローマではディオスコリデスがヨーロッパ初の薬学書『マテリア・メディカ』を著し、薬用植物、動物、鉱物約600種を取り上げて、その効能など解説した。

解説されている鉱物の中にはラピスラズリアメジストなどが含まれているそうです。
ここでいいたいのは、ラピスラズリアメジストが薬ってなんかファンタジーぽいね。って話です。

雷によってできる鉱物
雷管石という鉱石があり、それは落雷によって地面の(石英質の)砂が溶かされ固まった鉱石だといいます。
なんでここにそれを書いたかというと、名前といい雷によって作られたといい、なんかすごくカッコいいと思ったからです。こう中二病的なものがウズウズとしてしまうほどに、僕は雷管石とやらに興味を持っています。
雷管石と言うもの、写真を見たところ、たとえばポケモンかみなりのいしみたいにきれいなものではないです。(そりゃ、雷によって溶かされて固まっているだけですからね)でも実際に雷で土が溶けて固まってできたってだけで興味が出て見てみたい気もしますよね。
ただ雷管石生成に必要な落雷エネルギーは6億ボルトと言われ、一方の日本の雷は200万~1億ボルトという風土的にも日本で雷管石を見るのは難しいようです。でも1968年に北海道岩見沢市にて雷管石が見つかったそうです。

ちなみに雷でできた石は雷管石の他にも、雷水晶、天然磁石(自責鉄鋼)などいくつかあるらしいです。

現代の錬金術について
水銀(Hg)と金(Au)は元素番号が一つしか違わなく、それはつまり「水銀の中の陽子を弾き返すことによって金になる」ってわけなんです。
じゃ水銀になにか光線的なものをぶつけて続けたら金を生成できるわけで……と言いたいところですが、この陽子にγ線で弾き飛ばすという理論ができても、現実的にはかなり大きなエネルギーが必要になります。よって費用が相当掛かるらしいです。

重さ1.34トンの水銀に50MeVのガンマ線を70日間当て続けると、およそ74kgの金と副産物の白銀180kgができると考えられている。しかし、ガンマ線を作り出す電気代だけでも150億円も必要になると考えられている。

78kgの金! と驚いたのもつかの間、まさかの150億円必要だとかなんとかありました。
「むっちゃ高いな」と思う一方で、個人的にふと気になって東京オリンピックの費用見てみましたがあれ「約2兆円とか(今はわからない)」とかかるらしくて、もっと気になって東京都知事選挙の費用を調べてみたら「約50億円」とかありました。ここで「わりと不可能ではないのでは?」とか思っている僕がいます。
ただまぁ、こういう知的好奇心にお金かけるひとはそう多くはないので、それを踏まえる150億円はとても高いと感じますね……。

【まとめ】
感想のほとんどが、ほんの始めあたりの「鉱石の基本知識」的な部分で終わってしまいました。
それほどまでに鉱石の知識はとても興味深かったとも言えるわけですけれども、一方で辞書的なことがかかれてある後ろの方(個人的にはとても興味深かったです)のことを書いてもだれも気にしないだろうなとも思ったのも確かです。
ところで、こういう鉱石ってどこで買うんでしょうかね。石英(水晶)なんかほしいと思っているんですけど、さすがにネットで買うのは怖いですから現物見たい気もして、展覧会的なものがあるんでしょうか。はたまたオークション的な?
花とはちがって想像ができませんね……。