とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

トコトンやさしい プラスティック材料の本

131冊目
プラスチックの材料の本です。

タイトルのように、プラスチックの「材料」の本であり、材料とだけあって、話している内容もどちらかと言えばマニアックなものになっていると思います。

内容は「プラスチックとはなんなのか」から始まり、「(プラスチックの主な原料とその)原料の特徴について」「プラスチックの使用例」「プラスチックのこれから」とかでしょうか。あとはコラムがちょくちょくあります。
読んだ限り、上にある「プラスチックの原料の話」がとても詳しく書いてあったように感じました。むしろ辞書かな? ってなぐらい詳細な特徴も書かれてあって、プラスチックに関して自信がないプラスチック製品を作っている会社の社員さんとか読んだらいいんじゃないかなとか思いました。

個人的にプラスチックについて明るくなく、専門用語ばかりで混乱したりしましたが、「プラスチック」そのものは暮らしの中で大きな役割をしているのは知っているので、なんとなくあのことを言ってるのか…ぐらいはわかりました。
そんな感じで感想も書いていこうと思います。


※ネタバレありとありますが、今回は気になったところを上げていこうと思います。

---(ネタバレあり)----

プラスチックとは
初っ端あたりで「プラスチックとはなんなのか」という話題がありました。個人的にプラスチックとは、ペットボトルのような素材のモノ全般をイメージしてたのですが、それは半分正解で半分不正解な答えなんだそうです。

(前略)JIS-6900では、「高分子物質を主材料として人工的に有用な形状に形作られた個体である」と定義しています。すなわち、一般的にはプラスチック(Plastic)と合成樹脂(Synthetic Resin)が同じ意味の言葉のように使われてますが、定義的には「樹脂」はは原料であり、「プラスチック」は成形品を指しているのです。

となると、あのプラスチックのペットボトルは「プラスチック」で、ペットボトルの素は「樹脂」となるってことでしょうか。
今度からプラスチックの素を「樹脂」と言っていきたいです。

ところで引用に「高分子物質」という単語が出てきました。高分子物質とは、

高分子物質とは、一般的に分子量が1万以上ある物質のことですが、高分子物質の天然材料としては、木綿や麻のような植物繊維とか絹や毛糸のような動物繊維があります。ゴムの木から採取される天然ゴムも高分子物質です。水やメチルアルコールエチルアルコールとか石油を原料とするナフサやエチレンなどは低分子物質ですが、例えばエチレンを鎖の1つの輪(モノマー)として、これを鎖のようにつなぎ合わせると人工的に合成された高分子物質(ポリマー)のポリエチレンとなります(後略)

と、そんな感じです。

合成樹脂の性質の決め手
合成樹脂の性質の決め手は「化学構造」だそうです。こう考えてみれば納得できることなのですが、本に登場した色々な「プラスチック」を想像してみると、なんとも不思議な気持ちになりました。なにせ似たようなものなのに、全く違った性質のものができて、それからいろんな製品になっているんですからね。
それ言ったら、「同じ鉄でもいろいろあるぞ」とか言われそうですけど、なんというんですかね、その化学構造を人工的に作っているというところが不思議に感じる要因でしょうかね(それ言ったら鉄も同じなんですけど)。なんというか、いろいろな樹脂をかけ合わせて、なんでもかんでも素材を作ってしまうところがなにかのゲームの錬金術みたいに思えたんですよね。

樹脂の掛け合わせ
ゲームの錬金術みたい、と書きましたが、その理由が樹脂の掛け合わせによって新たなプラスチックが生まれているからなんです。
こう、説明だけでは難しいのですが、耐候性と透明度がほしいから、この樹脂とこの樹脂を混ぜ合わせて……よしこれだ! みたいな感じなことが起こってます(説明むずかしい)。
おもしろいことに、なんでも混ぜればいいってわけでもなく、樹脂には相性があったり、余計なものを混ぜると逆に欠点が大きくなったりするそうです。だからこう特性を見ながらニーズを考えて最適なプラスチックを探るんだそうです。この長所や短所考えながら混ぜ合わせるの、やっぱゲームっぽいですね。
今まで書いたのはブレンドの比率みたいなものなのですが、混ぜ合わせる方法や新たな素材など加えることで新しい特性を持つプラスチックができたりするそうです。すでにあるプラスチックに新たな特性がつくグレート(バージョンアップや改良版みたいなイメージ)もあったりして、これもまたゲームみたいだなぁと思いました。

樹脂の素性を理解してない人に対して
章と章の間にコラムがあるのですが、そのうちの一番目のコラムが「プラスチック産業にいるくせに樹脂わかってない人がいる(意訳)」的な内容で読んでてちょっとおもしろかったです。
まぁしかし、現場の人達にとってはおもしろくないことになるでしょうし、そんな経営側と開発側の「理解の差」からいろいろな問題が起こるでしょうし、なんというか、いろいろ面倒なことになっているのだろうな……、とか読んでて思いました(この手の話題は別にプラスチックの世界だけじゃないんでしょうね……)
このコラムは次の引用で完結すると思います。

このような入門的な基礎知識の習得やそのレベルアップを忘れて、新しく開発された樹脂・グレートや新技術を駆使した高性能な成形設備などのほうにのみ高い関心をもつことは基礎が強固でない砂上の楼閣のような知識とも言えます。

いろんな人、がんばってほしいです。

世の中プラスチックだらけ
プラスチックといえばペットボトルというイメージでしたが、この本を読んで周りを見渡せばプラスチックだらけだなぁ!? と思いました。
まずこの打ち込んでるキーボード、そしてモニターの周り、照明器具、時計、ボールペン、もっと言えば今かけている眼鏡だってそうでした。そんないろいろあるプラスチックの幅広さにびっくりです。
水族館のガラスもたしかプラスチックでしたし、家電のいろいろな部品もプラスチックで、車の外枠や飛行機の羽なんかもプラスチックなそうです。思えば、さすがにこの本では書かれてませんでしたが、プラスチックの銃だってあるそうですね。
もはやプラステックを触らない日なんてないかもしれません。これはすごいことですよ。なにせプラスチックが日本で本格に工業化されてからまだ70年ぐらいらしいですから。

【まとめ】
個人的に、プラスチックといえばよくわからないものの筆頭でした。そして正直に言えば読み終わっても2割ぐらいしかわかりませんでした。けれども多少は知れたかなと思います。それだけでこの本を読んで良かったのではないかなと思ってます。