とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

なれる!SE2 基礎から学ぶ? 運用構築

133冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

スルガシステムに入社した桜坂工兵は様々なトラブルに見舞われながらも、なんとか1ヶ月を過ぎようかとしていました。

そんな4月の終わり頃、室見は「飲み会の幹事を任せたいんだけど」と言ってきます。工兵はそんなこともするのかと思いながらも、次いで発せられた室見の「あんたの歓迎会」という言葉に驚きます。
驚いて流石に自分の歓迎会は……と反論しますが、上司でもあり教育係の室見が「これも社会経験よ」と言い、やがては言い包められ工兵はしぶしぶ引き受けることにしました。

初めて仕事での飲み会、初めての幹事、など不安要素がある工兵でしたが、同僚の力を借りるなどしてなんとか幹事をやり遂げます。しかしそれでも、当日になって「歓迎会の人数が増える(しかも増えたのが社長)」など予想外のトラブルがあったりしたものの、なんとかかんとか歓迎会の形はこなすことができたようです。

とりあえず一安心……と言いたいところでしたが、飲み会も和気あいあいと温まった頃、店にて経験の浅い新人バイトが食器を運ぼうとするも、その不安定な食器がついに欠落をし、あろうことか歓迎会最中ノートパソコン開いて仕事をしていた室見のもとに襲いかかります。
すかさず工兵はそれを防ごうと身を挺します。間一髪、なんとか食器の脅威から室見を守ることができましたが、工兵のスーツは汚れます。

スーツはいったん水洗いするために工兵はトイレに向かいます。やれやれとトイレで歓迎会を思い浮かべながらスーツを洗い終わると、出口付近に女性がうずくまっているのに工兵は気がつきます。よく見ると女性は泥酔しているようでした。
工兵は面倒を押さえて、その女性に声をかけます。妙な絡まれ方をしたものの、なんとか助けて歓迎会に戻って行くのでした。

ある日のこと、会社に到着した工兵は受付の前でおろおろしている女性を見つけます。
さてはカードキーを忘れたのだな、と工兵は思いながら女性に声をかけてみると、いつか泥酔していたあの女性だったのです。



---(ネタバレあり)---


自分幹事の自分の歓迎会
歓迎会そのもののインパクト強さで霞んでますけど、地味に自分の歓迎会の幹事をやらされるってシーンに複雑な気持ちと妙な生々しさを覚えたの印象に残りました。
個人的な話ですが、僕はあまりドッキリとかそういうのは好きではなく、どうしても「そういうイベントがあるなら先に教えて」的なことを周りに言ってます。なのでたぶん工兵と似たようなことを過去にしていて、たぶんその記憶が「妙な生々しさ」の原因なんだろうなとか思ったりしました。
と自分の話はおいておいて、この話はあくまで「個人的に」であり、工兵にしても世の大多数の人にしても、自分の歓迎会の幹事をするとなると、どうにも虚しさが感じられる出来事なのではないかなと思います。

歓迎会のこと
歓迎会すごかったですよね。まず、当日になって人が増えている点(しかも社長)、加えてそれほど和気あいあいとしてない点(社長の言動、採用担当者のセクハラ、室見の無視など)、それらの要素から新たな問題がでてきた点(主に室見の行動をカモメさんが叱る)など、数え切れない問題があの場にあった気がします。工兵からしてみれば、社長来てすでに「マジかよ」って感じなのに、加えて新人バイトの事故で「マジかよ」で、スーツ洗って帰ってきたとこにカモメさんが怒ってて「マジかよ」ってなってたことでしょう。
そしてなぜか飲み比べになって「マジかよ」、カモメさんが酒豪で「マジかよ」、酒に飲まれて記憶を失ったあとは「マジかよー!」でしたでしょうね。いや……まぁその……飲み会ってのは恐ろしいところなんだなと思いました(小並感)。

姪乃浜梢
この巻のキーマンであり、新しいヒロインってことでしょうかね。
こう読んでて、彼女の思い込みが強いが故の言動に個人的ひえっとなったシーンはいくつかあり、それは梢が最後見せたトラブルシューティングを差し置いても、工兵に同情してしまうようなことを今後しでかしそうな危なっかしさがありました。この子、室見とはまた違った傾向で図らずも誤解を招くような発言をしているところとか、あれですよね。
いやでもまぁ、外見かわいらしいし、なんかふわふわしてそうだし、一心に思ってくれそうですし、だから少々性格に難があってもなんとかやっていけるんじゃないですかね(適当)。

作中のSEとOS
この物語のSEとOSは対立してました。もう対立の溝は深く、その埋まらない溝を埋めようと伸びている時間が他の工程に影響が出ていて「もうだめだ」レベルでした。ただ溝の蓋を開けてみれば、わりと二人共「仕事に真面目」だったこと、「初めて受け持つ仕事」だったこと、などが要因で対立が起こっていたようでした。
読んでて「話し合えばいいのでは?」とか思うシーンがいくつかありましたが、あの二人が自主的に話し合うってのは難しいでしょうし、そもそも話し合うまでの信頼がもうないほどに関係修復不可能だったのかもしれません。やはり気難しいけど有能でもコミュニケーションが思うようにできない人材には、工兵くんみたいな両者に理解ある人が間に入らないとダメみたいです。

問題発生から解決まで
今回の問題はサーバーのメモリ不足のようでした。作中の様子でしか問題がわからないのですが、ここに書かれている風だと「なんら問題がないのに」「ユーザーが不具合を言ってる」という状態になる不具合のようです。もう文面だけで質の悪いトラブルだなぁと思いますよ。個人的にトラブルってのはどこかしらエラーが出るもの、あるいは反応がないものとばかり思ってました。
ところで前回に引き続き、今回も工兵の機転により問題が判明しています。幸運だったとは言え、工兵はなかなかやる人間だなと改めて思いました。問題がわかったあと室見が滅茶苦茶やった(ソシャゲっぽいゲーム稼働中のサーバー無告知で再起動させた)後処理もなんだかんだこなしてますし。

【まとめ】
今回はシステム運営ということもありちょこっと運営の話題が出るも、梢ちゃんパワーにより恋愛色が強かったように感じました。でも思い返せばこれはライトノベルですし、プログラミングとかSE的な話題に触れたいなら専門書でいい事に気がつきます。だから、こういうのラノベっぽくていいと思います。いいぞもっとやれ。
ところで「OS」という単語見た時、Windowsとかと思ったんですけど、システム運用のことを言ってると初めて知りました。
最近ではソシャゲなど、システム運営が大事そうなサービスも増えてきているようですし、そういうことに注意深く見てみてもいいかもしれません。