とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

大人のための読書法

66冊目
人の読書論って気になりますよね。

著者が行き着いた読書法が記された本になります。
タイトルにあるように、本書では(主に時間がない)大人に向けての読書法がかかれてありました。個人的には(本を読みたいのに)本を読まない人に向けて書かれた本であるようにも思えましたね。
とはいうもの、本書の内容をざっくり言えば「本を完璧に読もうとするな! 要点だけ読めばいい!」という主張が中心となっていて、それは作者自身が本に対して思っていた「気難しさ」を取っ払うための言葉だといえます。けっこう本に対して気難しさを覚える人は多いと思うので、そういう人の取っ掛かりをはずしてくれるかもしれません。
あとは効果的な読書法など書かれてあったので、時間がないけど本を(情報を)効率よく仕入れたいという人なんかにもお勧めできます。
まぁどれも、本を「楽しみたい」というより「活用したい」という人が読むべき本だと思いました。

(今回もネタバレありとありますが、個人的な考えを書いていこうと思います)

----(ネタバレあり)----


全六章をそれぞれ振り返ってみます。


第一章の本を読む動機について
著者の読書する動機については「(求めている)知識を得ること」として、本の選び方は「気になったやつ片っ端から買え」というものでした。
この「気になった本」というものには「(その分野についてまったく知らなかったら)プライドを捨てて入門書から買え」という言葉も含んでいるようで、たとえ役に立つと思ったら「サルでも分かる○○」や「高校生のための○○」という本をどんどん買ってゆけとのことです。
僕としてはここらのノウハウ「あ、ふーん(著者と同じようなことを考えていた)」程度でして、むしろ注目したのは、学びに対してプライドが高い人(自分を高く見積もっている人)が結構いるらしいということですよ。世間知らずなもんですから、そういう人がいることに驚きでした。
いや、彼らにどう言うということもありませんけど、なんかこう、そういう人って生き難そうな感じがしました。彼らにはぜひ、この第一章を読んでほしいものです。
あと、ハズレ本を選ばない方法として「作者を追って本を買え」というものがありました。これはなるほどと思いましたね。僕は作者買いというものをしないタイプでして、気になった本を作者関係なく買ってゆくんですよ。だから「こんな考え方もあるんだな」とか思いました。いや、そっちのほうが普通かもしれません。
まぁどちらにせよ、「いいから気になった本をたくさん買え」という結論に落ち着くんでしょうね。

第二章の本は必要な部分だけを読めば良い
作者さんのエピソード(完璧主義者ゆえに苦労した読書の記憶)をもとに「はじめから全部読もうとするな」という考えが書かれてありました。ついでに作者の読書量が飛躍的に伸びたとされる、最高率の読書方法(一部熟読法:全部読むという固定概念を壊して、必要な箇所だけ熟読していく読書方法)も紹介されています。
この著者が考えていた本に対しての「気難しさ」というもの。僕も以前ありました。これは関係のない話なので置いておくことにしますが、作者さんという「気づき」と僕の「気づき」というものエピソードこそ違えど、読書量を飛躍的伸ばした「気づき」という意味では本質的に同じようなものに感じました。なので(勝手に)親近感が沸いたりしましたよ。
ここで登場した「一部熟読法」については、「効率的な読み方だ」と感心する一方で、「贅沢な読み方だな」と個人的に思いました。これっていわゆるフルコースでおいしいとこだけ食べるみたいな感じですよね。いや、悪いとは言いませんけど、残っているのって(読み残しがあるの)気持ち悪くないんですかね。
けれどもまぁ、僕も将来いずれかで膨大な資料を読むことなんてあるかもしれません。そのときこの「一部熟読法」が役に立つとも思ってます。食べ残しさえ気にしなければ、この一部熟読法はこの上なく効率的でしょうから。

第三章の情報を自分の人生に生かす知恵
ここでは今までストックした知識をフローする薦めが書かれてあります。なかでも主張している「活用できない情報は無いに等しい」という主張は耳が痛いものがありますが、おっしゃるとおりだと思いました。
僕としても知った知識のアウトプットする(ブログを書く)のを実体験している身であり、その大切さというものを痛感しています。現段階では生かすというまで情報を昇華しているかどうかは不安なところですけど、こうして書くことで確かに知識としてまとまって情報が自分のものになる感じあるんです。だからフロー(アウトプット)は思ってる以上に大事なんですよ!
まぁ仮にブログ書いていない人でも、人に話すとか、プレゼンテーションのとき話してみるとか、ネットに考えを出してみるとか、そういう自分なりの考えを出す手段は様々あります。自分に合った方法を探してみるのもいいと思います。
ほかに薦められている比較読み(同じジャンルの本を同時に読んでゆく読み方)というのも、学ぶに重きを置く読書ならいい読み方になると思います。さらにフロー(アウトプット)なんかしでかしたらもう、読書で学ぶ方法としては最強だと思います。やったことないですけど。
話変わりますが、僕としては上に書いていたことよりも本を入れる英国製の鞄が欲しいと思いました。おしゃれな鞄に本入れたなら読書モチベぐんぐんあがりそうですよね。いいですね、ほしい(正直)。

第四章の知的生活を送る大人のための推薦図書
この章は主に著者によるお勧めの本が書かれてあります。
どうせですので、紹介された本の引用を(僕が検索しやすいために)ここに張っておきますね。
○自分を磨くための本

○知識を高めるための本
EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)

EQ こころの知能指数 (講談社+α文庫)

EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方

EQリーダーシップ 成功する人の「こころの知能指数」の活かし方

口のきき方(新潮新書)

口のきき方(新潮新書)

○教養を身につけるための本
世界一かんたんな経済学入門―50の経済学人生相談

世界一かんたんな経済学入門―50の経済学人生相談

「超」納税法 (新潮文庫)

「超」納税法 (新潮文庫)

失敗学のすすめ

失敗学のすすめ

○英語力を磨くための本
英語力を身につける (講談社現代新書)

英語力を身につける (講談社現代新書)

○「生きた心理学」の本
無責任の構造―モラル・ハザードへの知的戦略 (PHP新書 (141))

無責任の構造―モラル・ハザードへの知的戦略 (PHP新書 (141))

○ヘルス・ケア、メンタル・ケアのための本
成人病の真実

成人病の真実

中高年健康常識を疑う (講談社選書メチエ)

中高年健康常識を疑う (講談社選書メチエ)

実践・森田療法 (健康ライブラリー)

実践・森田療法 (健康ライブラリー)


第五章の本以外の情報源をどうやって活用するか
ここでは新聞の読み方や、ラジオやテレビなどその他メディアについてのことについて書かれてありました。
新聞はまとめ読みがいいとか、テレビは夜のニュースがいいとか、そんないろいろな情報がありました。けど、読み手の僕にひとつ問題がありました。そうです、僕は新聞も読んでなければテレビもほぼ見てないんですよ。(ラジオはたまに聞いてます)
著者さんは「新聞は最近似たり寄ったりだ(意訳)」や「テレビには有意義な情報がない(意訳)」とか言っている様子から、「あぁそうなのか」とも言えますけど、それすら言えないほどに僕は新聞とテレビというメディアに疎いんですよね。だからとくに言えることもなく、感想もないです。
ただこの章で得られたこともあって、それは月間総合雑誌というものがあると知ったことです。存在を知ってはいたんですけど、文章の雑誌というものはまったくの無知だったので、著者さんによる「要約した文章がいっぱいある。密度もある(意訳)」という説明がわかりやすくてよかったです。

第六章のインターネットという情報の化け物を捌く
ここでは著者によるインターネットの見方について書かれてありました。
インターネットには情報が山ほどあって、誰しも情報収集するだけで疲弊してしまうようなものですが、著者は自分ルールを作ってなんとか処理しているらしいです。
分かりやすい処理ルールがあったので(僕のために)抜粋をします。

(前略)たとえば、速報性に期待して最新のニュースを知るために使うなら、大手のプロバイダーや新聞社のサイトを除く程度にするのだ。客観的事実やそれに対する一般的な見方を知るぐらいならそれで十分で、詳しく知ろうとしてそこからさらにいろいろ調べ始めると、それこそきりがなくなってしまうので避けた方がいい。

むろんインターネットを利用する目的が、別の見方や新事実を見つけることなら話はまた別である。その場合は、一般的な情報を無視して、むしろ裏情報を中心に探すという方法をとるといい。このとき注意しなければならないのは、裏情報にはデタラメが多いというのが鉄則だということだ。たくさんのウソの中からまれにある事実を探すつもりなら、そのことを踏まえて接するべきである。(後略)

この二つは「ネットで調べまくってたら無駄に時間飛ぶぞ」「ネットの情報を簡単に鵜呑みにするな」という言葉にまとめることができると思います。
書いてみれば当然かもしれませんけど、ネットユーザーならいつも忘れてはならないことだと思いますね。
かの有名な「うそはうそであると見抜ける人でないと(掲示板を使うのは)難しい」という有名な台詞を思い出しました。

【まとめ】
本書に書かれた読書法とは、どれも効果的で有意義な読書ができそうなものばかりでした。
僕が思うのは、普段本を読まない人に一部熟読法を試して欲しいということです。本を読まない人って多すぎる気がするので、そういう人が思う本への「気難しさ」が壁みたいなものなら、この読書方法が壁を取っ払ってくれそうな気がするんですよ。
けれども僕としては読書法は自分自らで見つけて欲しいという想いもありますので、そこらへん各自で考えてくれたらと思います。
僕も効率的な読書方法を知り理解したうえでどういう読書法をするのかと聞かれたら、多分今までとほとんど変わらないでしょうし。読書法なんて十人十色ですよ。