とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

なれる!SE6 楽々実践?サイドビジネス

146冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

ブラックブラックしている企業、スルガシステムに入社した桜坂工兵は毎日にのように修羅場をなんとかくぐりくぐり抜けていました。
中学生にしか見えない上司の室見や、たまにしかいない藤崎、なんでもできるパートのカモメさん、あと問題を引き起こす社長などいろんな人たちに囲まれて、工兵は毎日終点生活を送っています。

そんな舞台のなれるSE!初の短編集になります。

・『やろう!副業!』:工兵が同窓会で再会したかわいい女子に副業を持ちかけられる話

・『試そう!怪しい新製品!』:新商品を物好きな工兵が検証する話

・『採ろう!有望新人!』:新人の面接を任された工兵と室見の話

・『できる!披露宴スピーチ!』:工兵が結婚披露宴スピーチでやらかした橋本課長の話を聞く話

・『するぞ!禁酒!絶対!』:姪乃浜梢が危ない目にあって禁酒を決意する話

ーーー(ネタバレあり)---





やろう!副業!
伊織という女性にそそのかされて工兵が大変な目に合う話です。
個人的に「オイオイオイ」「死ぬわあいつ」「ほう、口約束でアルバイトですか…」など思うシーンがちょくちょくあり、工兵の身を案じていましたが、やはりというか想像以上に四六時対応をしなければならない展開になり、もう読んでてどうなることやらでした。
工兵が倒れたあたり、やっと事情を知った室見が行動を起こしていました。その計画というの、なんと薬院に手伝ってもらうというので、なんやかんや薬院に手伝ってもらいながら、工兵の契約を解約していました。ここらへん本当に室見は準備がいい感が出ていて「プロだ…」と読んでて思いました。
この話のMVPは間違いなく室見ですが、休日返上(しかも仕事外)で協力してくれた薬院側もかなりいい働きをしていましたよね。工兵くんは恵まれています。

試そう!怪しい新製品!
もの好きな工兵が原因で冷や汗をかく話でした。
「冷や汗」と書きましたが、冷や汗どころではなく客が使っているようなブラウザすら対応していない新製品を商業的に利用するのだからもうめちゃくちゃですよね(主に社長が)。そんなむりゃぶりを工兵と室見が対応するはめになっているんですけど、まぁめちゃくちゃですよね。
そもそも新製品がぽんこつだったのが大きかったと思います。それぞれのスペックは悪くないんですけど、同時作業ができない。10時間稼働しつつけたら(変化がなければ)終了してしまうなど、おおよそ商品にはできそうじゃない代物です。それはもう室見が商品を壊そうとするレベル。
まぁそれでも「製品を二台併用させる」という荒業(裏技)みたいなので乗り切っていました。工兵がいい機転を回したといえるのですが、工兵の好奇心と社長への伝達ミスなどがこの危機を作り出したんですよね……。

採ろう!有望新人!
室見と工兵が新人社員の面接をする話でした。
例のチャラ男が工兵に「面接官やってみない?」と言われるのですが、その面接官を室見と共にするらしく、物語のしょっぱなから頭を抱える展開になっています。
その室見の圧迫面接というものは恐ろしく、隣にいた面接官工兵ですら恐怖で寝れないレベルだそうで(おそろしいです)……まぁでもこれにズタボロにされて入社をやめたとすれば、室見との仕事生活を前もって回避でいたってことだから結果的には良かったのではと思っちゃいますけど(白目)。
ところで例の有望新人なんですが、僕は初見で「あれこの人どこかで見たことあるような」と思いながら「あぁカモメさん」と気がついたんですけど、それでもカモメさんの知り合いだということまでは考えておらず、今後の展開に驚きました。この会社に来たのだからカモメさんに一声かけてもよかったのに、と思いながら別にメル友だからいいのかもしれません。しかし彼が新人として入っていれば……と思うと惜しい気持ちになります。

できる!披露宴スピーチ!
橋本課長がする結婚式場披露宴スピーチについて工兵が協力する話です。
橋本課長でも失敗はするのだなと思う一方で、橋本課長なんでそれやったんですか(むしろ部下がなんで頼んだんだ)ってまず思いました。けれども真面目な橋本課長だから真面目にスピーチをしてアドリブでギャグをかまして(戦犯)めちゃくちゃなことになったようです。
橋本課長、どうにもしゃべり方が固いようです。それは仕方ないにしても悩んでいるようで、まぁしかたないにしても……個人的には「別にそのままでもいいのでは?」と思うんですけど、それでも彼女は気にしてるんですよね。
そんな橋本課長に工兵は手伝いをするのですが、笑顔の仕草である口や目などの動きがまったくと言っていいほどできないようで、スピーチの技術的なものを勉強する展開になっています。ここらで橋本さんうっかり個人情報ばらしてましたけど、あれ(ギャップかわいいけど)危ないので気を付けた方がいいですよ橋本さん。
さて後日になって、工兵に「成功したよー(*^_^*)」的なメールが届いて(メールのギャップほんとすき)、それでも様子がおかしいとみると参考にしたのは某ナチスの方のスピーチだったそうで、なんとも「あっ…(察し)」となってしまいます。
いや気になるんですけど、これから橋本課長はどうなるんですか。彼女のことだから今後も結婚披露宴スピーチしていくんだと思いますけど、スピーチが某人のスピーチ(おそらく完コピ)ですからもう恐ろしいことになってるんじゃないですか。だれか彼女を止めた方がいいのでは?

するぞ!禁酒絶対!
梢が禁酒する話です。
禁酒できたらいいんですけど、なにかと飲み会が多い職場らしくそれは難しそうでした。別に多少の飲酒ならいいんです。けれども梢は酒に強いらしく、かつ飲んだら記憶が飛ぶやつだというらしく、それはそれは厄介な話だなと思いました。ああいう人は仮に周りに人がいてもいなくても飲んじゃいけない人のパターンですよね。
ただそんなことを梢自身も気がついているようで、それで禁酒する! と決意していました。まぁでも考えるたびことごとく禁酒失敗していて「運命すら禁酒を拒んでいるのか!」という偶然が続きます。
やっぱ職場周りの人、特にあの部長などに「禁酒してます!」と言った方が早いんじゃないですかね。そうすれば周りが止めてくれる……とはいっても梢のことだからストレス発散として別のなにかをやらかしそうだからやっぱいいです。
最後あたり、工兵とたまたま会ってそのまま飲み会に向かっています。梢にしては願ったり叶ったりといったところでしょうが、そこで離れていく視線の中で工兵を見ずに例の日本酒を名残惜しくとらえているように「この人禁酒無理なんじゃ…」と思ってしまいました。
そういえば梢は日々のランニングしているようで、それが活きているシーンがありましたよね。日々鍛錬したものが役立ってよかったです(その後の工兵の行方が気になります)。

【まとめ】
なれるSE初の短編集になります。今まで出てきたいろんなキャラがにぎやかに登場しました。
個人的に橋本課長が出てきてうれしかったです。あと意外な形で薬院が登場し、それでいい感じに活躍しててよかったですね。薬院と共に働いてるナイスガイズもかっこよく書かれてあって、それもよかったです。
ここで短編集とあるなら、これからまた話が進んでいくんでしょうか。ちょくちょく物語の進展(室見と薬院とか)もあって今後の展開が気になるものです。