とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

実録自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

156冊目
真面目で堅実なUFO本

実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

実録 自衛隊パイロットたちが接近遭遇したUFO

タイトル通り自衛隊が遭遇したUFO話を中心として、UFOそのものの歴史や文化、あるいはその周りの話など実に様々な話題に触れた本になります。
基本はもちろんUFOなのですけど、作者による妙な体験や調べたことの話や自衛隊現役時代の余談などがあって、その話達がまた興味深い内容となっています。超常現象とか好きな人ならびびっと来そうな話題もたくさんありました。

このタイトルの「自衛隊パイロットたち」ですが、これも実際のパイロットたちの話を作者さん(作者さんは元自衛隊空将)が後輩から集めてきたものです。一般市民の僕らからすれば自衛隊そのもが異世界な話なんですけど、加えて彼らが話す異世界の話なのだからもう浮世離れした話題ってかすごい話ばかりでした(小並感)。

ネタバレありと書きますが気になったところをあげていこうと思います。


ーーー(ネタバレあり)---



無関心さに危機感を持ってる作者さん
この本を書いてる動機というか、作者さんが現役時代に感じていた不満というものがしょっぱなに書かれてありました。それは「UFO案件ついてもっと真面目に取り組むべきだ(意訳)」というもので彼の言い分を読んでて「たしかに」と思いました。
前もって書いておくと、自衛隊の中では「UFO*1」という存在は「わりとよくある話」の一つだそうで、隊員たちの間でも「このまえUFOみたんだよ」「まさかw」など話題の種になっているらしいです。ただ一方で「UFOなんて非科学的なものを信じるなんて!」という考えも自衛隊全体にあるそうです。
作者さんによると空を守っている隊員たちは「どんな些細なことでも報告しなければならない」という義務を持ち、「どんな些細な機械トラブルも報告しなければならない」義務も持っています。それはたとえば不審な機体を見て見過ごすわけにもいかないし、些細な機械トラブルを見過ごすことで同僚を失うわけにはいかないからです。
そんな環境の中で「よくわからない光を放つ物体」みたいなのと遭遇するわけです。読む限りその奇妙な物体と遭遇した時は機械トラブルも頻発しているようで、隊員はそれらきちんとありのまま報告しなければなりません。ただし報告することで問題になったり、空を飛べなくなってしまったり、報告がうやむやになったりなどしてるらしいです。
それら踏まえて作者さんは「報告をうやむやにするなんてあってはならない、部下を守るためにもUFOという存在を真面目に取り組むべきだ」と言ってるわけです。「たしかに」って話ですよね。

序章のエピソードとか
序章に作者後輩によるいろいろなUFO遭遇話が披露されてるんですが、その密度たるやすごいものでした。
どこどこがどうとかあれがそうとか、それぞれのUFO話については検証できるわけではないので何とも言えませんけど、個人的に一番印象に残っているのは、

(前略)たとえば、私の三沢基地時代の同僚、T元一佐が、松島基地に勤務していた一九八三年頃、基地内で起こった事件が象徴的です。

一回目のトラブルは午前中でした。場所は三陸沖のD訓練空域。飛行高度は約一万五千〇〇〇フィートだったらしい。(後略)

訓練を終えた二人の隊員を乗せた練習機が、牡鹿半島の先端にある金華山方面に向けて帰投していたころのこと、上に書いた航空高度あるいはそれよりやや低い高度あたり、後方の隊員が「葉巻型」の形をした飛行物体を見かけたのです。前方の隊員は気がつきませんでしたが、その時、

さらに、この物体を目視する直前に、搭乗機T-2の内部のスポイラー(操舵翼面)と、外側のスポイラーの作動が不可能になり、コントロールに異常を感じたといいます。

このとき起きた、機体の電気系統と操縦系統の異常事態と、「飛行物体」との因果関係は不明でしたが、二人はトラブルへの対処に追われている間に、飛行物体を見失ってしまいました。ところがその後、機体の状態は正常に戻ったというのです。

このことを詳細に報告した(整備記録に記入した)をして行った点検でも異常なしとなります。その後「確認飛行」をするのですが、またしても「葉巻型」の飛行物体を見つけ、ほぼ同時にトラブルに見舞われ、さらには見失った頃に同じく正常になり、点検しても異常なしという結果になります。
ここまで来てしまったら「葉巻型の何かが出たときに異常が出た」と書かざるを得なくなるのですが、後日談として、その訳が分からない「葉巻型」を報告した隊員たちは上の人からこっぴどく油を搾られてそれっきりこのことについて口を開くことがなかったとかなんとか。

上の話とは別なのですが、似たような話もありました。

当時の同僚S*2が、入間から西に向かっているとき、名古屋上空で物凄く大きな葉巻型のUFOを発見しました。高度は二万四千〇〇〇フィートだったそうですが、「こんな大きな物体が空中に浮かべるのか⁉」と驚いたぐらい巨大だったそうです。

など作中でも「葉巻型の未確認飛行物体」という共通の特徴がちょくちょくありました。真偽はどうであれ、UFOと言えば円盤って感じだったので、こうした葉巻型というのは新しいようで、どこかで馴染みのあるような(なんかどこかで見た気がする)不思議な感じです。一度見てみたいものですね。

少なくとも侵略が目的ではない
UFOと聞けばエイリアン的なものであり、僕はあんまり思いませんが「UFOは地球を侵略しにきたのでは!?」と考える人がいます。そんな人へも作者さんは反論してて、それが「それはそうだな」って感じでした。
ちょっと場所覚えてないので引用できないのですが、「これだけたくさん目撃されているというのに攻撃してきていないどころか、隊員たちを助けるような働き(っぽいことをUFO? あるいはなにかがしてくれるの)もあったりして少なくともUFOは人類に危害を与えるものではないのでは(意訳)」的な考えを述べています。

同じようなことを、途中登場した作者さんの友人(超能力者でUFOに詳しい)も、作者さんが「良いUFOと悪いUFOあるらしいが」と聞いた時に行ってた答え、

(前略)するとSさんは、「私がよくメッセージを受けるUFOは、かなり知的な存在によって作られた乗り物らしく、その目的や意図、どこから来ているのかなどはわからないが、悪意や敵意は今のところ感じられない」といいます。

など言っていたりもいました。

読者から見ると「よくわからないが悪い存在ではない」と言えるんじゃないでしょうか。少し不思議な存在であるのは確かですし、人間の技術を超えているのも確かで、まだわからないですが確かなようです。ていうか、そもそもこの感想だけ読んでいる人は「超能力者UFOに詳しいってなんだよ!」って思ってるかもしれませんねw
なんというか感想書いてるこっちも難しいんですよ……。この超能力者さんの話題もかなり(めっちゃ)興味深いんですけど、引用してたらはてしなく長くなるので各自読んでくれたらいいんじゃないかなって思います。

超能力者の話を読んで
この本に超能力者っぽい人(てか読んだ範囲では完全に超能力者)が二人ほど登場しています。
彼ら超能力者がやったことなどは僕らが想像する「念写」とか「予言」とか「初対面なのに誕生日を当てる」とかそういったことで、この本にもその様子が事細かに描写されていました。興味深いのは、そんな高難易度? なことを彼らはこと何気にやっているところです。
もうUFOなど一通り読んでてかなりマヒしてるんですけど、これが現実の話で彼らが実在して超能力とか実際にあるだろうと思ったうえで書きますが、マジで浮世離れした人っているんだなって思いました。しかも彼ら特別とかそんなのしてなくて、それぞれ普通に働いていて、普通に良い人しているような感じがまたすごいですよね。
スピリチュアルな話になるんですけど、この本に「宇宙人は人間(地球人として)に同化して日常生活を送っている(意訳)」的なことも書いてあって、作者も「もしかして彼ら宇宙人なのでは……?」とか思ってたりもしてるんですよ。ということは、つまり僕らも知らないうちにそういう超能力的なものを起こせる人が近くにいたったことですかね(混乱)
現実世界もラノベさながらにぶっ飛んでるなって思います。いやまぁ、ほんとすごいなって、世界広いなって思いました。

懐の深さと日本への期待
作中にアンデスの人達の話が出てきます。彼らは「UFOは日常的なもの」と捉え、ごくごく普通にUFOを見たり、UFOを感じたりとかしてるらしいです。たまに見える虹みたいに、UFOが日常になっているみたいです。
作者さんはそれを「懐の深さが関係しているのではないか?(何事も受け入れる姿勢があるからではないのか)」と考えていて、その考えは日本に通ずるとも考えていました。なにせ日本は八百万の神を信仰している国なのですから。
UFOがいるいないはいったん置いておいて、仮にUFOがいるとして、国を含めたUFOを受け入れる姿勢っていうのはこれからかなり重要ではないかと読んでて僕も感じていました。いろんなことがこれからわかってくると思いますけど、超常現象的なことも頭ごなしに「そんなことは現実にありえない!」とか言うのではなく、真摯に受け取って、せめてもの情報を集めてほしいですよね。そこから新しいことがわかってくるかもしれないし……って言っても急に日本が「UFO!? 信じる信じる!!」とか国で言い出したらやべーので地味着実に陰で調べてほしいです。

【まとめ】
UFO話題以前に「そもそも空を見ていない問題」が発生していることに気がつきました。
現代人(僕含む)ほんとスマホばっかり見ていて、空とかろくに見ていない人なんかが大多数というか、空をよく見る人がごくわずかといった感じの現状ではないのかと思います。そんな彼らはそもそも星の名前すらろくにわかってないし、UFO話題なんて持ちかけたら適当な陰謀論の娯楽で片付いてしまいます。
でも、この本によるとUFOは人間が接触を試みようとしたら、すごい勢いで避けている感じがあるので、これだけ空を見ない現代人がいる世の中はUFO側にとっては都合よく、動きやすいかもしれませんね。

*1:あくまで未確認飛行物体として

*2:作者さんが話を聞いた船附三佐の同僚