とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

かいぞくポケット11 はねのあるキリン

25冊目
かいぞくポケットシリーズ一一冊目になります。
今までの表紙から考えられないほど、穏やかじゃない表紙にどきどきしながら手にとった記憶がありますね。

はねのあるキリン (かいぞくポケット 11)

はねのあるキリン (かいぞくポケット 11)

ある日突然、海賊のお頭になってしまった子供ポケットは大海原を航海していました。
前回のゴタゴタからしばらく、特に問題なく航海を続けており、仲間のネコ、アイコとじゃれあうほど暇を持て余していました。
そのときアイコがポケットに「こんどはいい宝が手に入るわよ」と言うのです。
アイコは魔法のネコであり、言ったとおりになるのだから、ポケットはうきうきで毎日海を眺めることになります。
ところが数日経とうが、なにも変わった景色が見れることはありません。そこでポケットは習慣の体操をして暇をつぶします。
一方、体操の参加を手下三人は渋ります。なにせ、今日五回目の体操だから、もう面倒で飽き飽きしてたのです。
嫌気が指している手下の一人ポンが「普段やらないことをしましょう」と言い出し、ポケットは「なにをするんだ?」と聞けば、「お頭が料理を作ってください」と言い出します。ほかの手下は賛成しました。
そう手下から言われるポケットですが、料理なんてしたことありません。「できないよ」と答えるポケットに「海賊にできないことはない。できないなら、海に吊るす」と強引にポケットをキッチンに運びます。
運ばれたポケットは料理なんてしたことないので困り果てます。ひょいとでてきたアイコと相談し、ポンに「やっぱできない」と謝ることにしました。
謝られたポンは許すことなく「約束通り海に吊るさせてもらう」とポケットを吊るすのです。
それからしばらくポケットは吊るされていると、全面に広がる海面から、なんと羽のあるキリンが飛び出してきました。
そしてあろうことか、キリンはポケットの吊るされた縄を切ったのです。



------(ネタバレあり)------




手下三人がポケットにしでかしたこと
手下三人がポケットにしでかしたことは結構悪いことだとは思います。思いますけど、正直ここまで子供ポケットの命令によく聞いていたなと思いますよね。そもそも突然お頭になった子供に、それぞれ有能な技量を持ちながらこうして付き従っているなんて、ちょっとしたプライド的なものも葛藤あったと思います。けど、子供にしでかしたことは、大人げないと思いますけど。
ところでこの巻では、ちょくちょくポンが苛立っているのがわかりますね。やるときはやるジャンや、いつも寝ているケンとは違い、毎日三回仕事がかならずあるという部分で大変さが苛立ちを大きくしたのでしょう。あたりまえのことですけど、やはり食事を作るというのは大変なことだというのが察して取れました。
いまこれを読んでいる君も思い当たる人が居ることだろう。もし思い当たる人がいるならその人に「いつもご飯を作ってくれてありがとう」とお礼を言うこと。もし自分でご飯を作っているのなら、食材を作っている人にありがとうと言おう。感謝の気持ちがあるのなら、次を読んでよろしい。

ケンという手下
ケンが大活躍しました。いつもぐーたらなケンがみんな引っ張っていくさまは、かっこいいの一言になりますね。
羽のある動物たちの弱点を見つけ出すという功績をみせ、かつ全員助けてしまったという素晴らしい活躍です。幼少期はケンはいつも寝てばかり居る無能など思ってた時期がありましたけど、もうケンは本当に有能ですよ。前回書いた記事紹介にてケンは無能の烙印を押していた人にこの巻を読ませてあげたいです。
ところで、アフカリでケンだけ別行動にさせられて、あのあと自力で脱出したのでしょうか。すごいです、勇気と力が。

注文が多いなんとか
某作品のごとく、もてなしを受けているのかと思ったら、逆に頂かれそうだったという展開になっています。
僕としては途中に予想はついていたのですが、そんな作品を知らない子供からすれば驚愕の展開になっていたことでしょう。
ポケットにひどいことをしたというのに、ポケット一行にもてなしをしている羽キリンはさぞ不気味に思ったでしょうし、いままでの普通のもてなしに意味があったと気がつけば「あっ!」となるのはほぼ間違えないと思います。
個人的にはこの展開のドキドキよりも、いつこのもてなしから脱出するのだろうかとドキドキしていましたね。
結果として計画を断つ、サイクルカットをしたのはケンでした。役割破壊をしでかしたあの時のケンはまさに救世主と言っていいほどであり、僕としても「夢オチかな?」とまで思ってたのだから、あのヒーローっぷりは痺れましたね。
しかし、アイコの呪文封じがこんなにも絶望感与えるとは思ってませんでしたよ。アイコ補正デカすぎです。

海賊ポケットシリーズ一一冊目ですね
今までいろいろあったけど、一番っていっていいほどやばかったですね。敵側も学んできたのか、人魚の時と同じく、アイコのをどうにか封じようとしているところがありました。今回のキリンは「掟を破ったから呪文は唱えられない」という縛りになったのですが、その掟というものをポケットい一行は知らないがゆえ、かなり不利な局面になっていました。やはり、掟は作る側が強いんですよ。
個人的には、「もういいから襲え、フライパンの中に入れろ」というあたりで、羽のある動物たちが逆に掟を破り形勢逆転するのではないかと思ったりしましたが、ケンが全部持って行きましたね。

注文の多い料理店 (新潮文庫)

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