とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

鉄人探偵団

52冊目
このタイトル見てなんとなく『鉄コン筋クリート』を思い出しました。

鉄人探偵団 (宝島社文庫)

鉄人探偵団 (宝島社文庫)

主人公の瀬尾太一はおもちゃ屋に向かって走っていました。目的はおもちゃ屋にあるアニメフィギュアであり、小学生が捻出したかけなしのお小遣いを手に急いでいます。
うっかりしたことに太一は寝坊をしてしまっています。焦って、売り切れではないことを願いながらおもちゃ屋に走って向かうのですが、このままではギリギリだと思い、知る人と知る近道を利用することに決めます。
近道を急いでいると、「ストーップ」と声が命令口調が飛んできます。太一は驚きながらも立ち止まり、さらには声をかけた一人にぶつかってしまいます。
太一がゆくのを阻んだのは二人の中学生でした。中学生は「フィギュアを買うんだろ? そのお金をくれよ。そうすれば返してやる」とカツアゲを言い渡します。中学生とは小さいもの、太一はまだ小学生、とてもじゃないが有無なしに恐怖していました。
太一は恐怖で立ち止まっていると、そこにふらりと中学生ほどの男子が現れます。その男子は太一に「助けてやる」と言い、なんと二人組と殴り合いをはじめます。ただ人数的に不利な男子は、二人にボコボコにされます。そして倒れた男子の横に、二人組は「おまえはどうする?」と聞いてくるので、びびった太一はけっきょくフィギュアを買うお金を奪われて行きました。
ここに一人の主人公、名前を大江和真がいます。和真は気分によってクラスメイトをいいようにする人でありました。陰ながら、王様と言われ、和真自身それが苛立って仕方なかったようです。というか、なににでもただただ気に食わないのです。
そんな苛立ちを吐くようにクラスメイトに当たるので、後ろをついてくる智明と拓二がいるも孤立していまいた。
この拓二という人は口が軽いこともあり、いろいろしゃべります。学校に行くまでのこと彼が、「今日転校生が来るらしいよ」と秘密のことを話します。「どんなやつなんだろうか」和真は思います。そして少し不安でもありました。
やがて朝のホームルームの時間、先生は拓ニのいうとおり「転校生を紹介します」と声を上げました。そしてやや大きな体の男子が入ってき、その時クラスメイトの瀬尾が「あっ」と声を上げました。いつもは物静かなやつなのに、と和真は疑問に思うのです。




----(ネタバレあり)----




鉄人探偵団の子供たち
みんな小学生らしいです。なので、というか、だから突っ走り純粋のまま「友達」と連呼してました。僕としてはその光景をヒヤヒヤとして眺めていましたよ。この危なっかしさが作品のよさかもしれませんけど、まったく、無事に終わって良かったです。
一人一人振り返ってみれば、まず太一。太一は物語初っ端からアニメフィギュアを買うとかなんとか言ってました。物語後半で和真以外はアニメを知っている知名度から、僕が想像した深夜アニメ系統ではなく『妖怪ウォッチ』とかそんなたぐいだろうと思いました。けれども2万近いのは流石に高すぎだと思います。
次に和真。和真は王様と言われるように、クラスメイトから疎まれているようでした。ただそれは愛情的なものに飢えているからの行動らしく、最後あたりは友達が増えてよかったといえます。個人的には彼は人に依存しそうなタイプなので「友達」に振り回されないよう祈るのみです。まぁ、大丈夫でしょう。
次に鉄人。語り手を踏まえても物語の中心人物になります。「復讐」という胸の内持ちながら「世界を変えてやる」という意思を持っている面白い小学生でした。面白いですけど、危なっかしさもあるようで、頭よりまず体が動き出している人でした。文字通り有言実行をこなす姿はかっこ良く、あくまで本気で目指しているんだろうなとか思いましたね。加えて彼のコミュ力カンスト思想な勢いであり、本当に世界を変えてしまうかもしれません。
次に義之。彼は本当に秀才でした。秀才というより、鉄人とは違った真っ直ぐさを持っているようです。彼の優秀さを記してゆくのも良いですが、注目すべきは小学生らしからぬ彼の知識量だと思います。もし「夕焼けはなんで赤いの?」という質問をしたら「光の角度が云々」と詳しく説明してくれそうです。鉄人と和真はうるさい顔をしそうですが、僕としては彼が一番お気に入りのキャラだったりします。
最後に千秋。物語にあまり参加しないようですが、作中一番と言っていいほどに境遇としては悪いといえました。けれども、いや、だからこそ気丈な女性でしたね。父親はああですけど、わりとまとものようで僕としては離婚してのびのびと過ごして頂けたらなと思います。ところでピーゴリと対峙する前のこと、学校内で「手分けしよう」と提案してそれに従ったと言うのは結構な幸運といえます。だってピーゴリロリコンなんでしょ、あれもし千秋一緒に行ってたら冷静さを失った義之とか出てきてもうゲームオーバーだったと思います。クトゥルフ神話TRPG的危機緊急回避を見たような気がしました。

鉄人探偵団に協力してくれた人たち
なんかいっぱい悪い人が出てきました。鉄人からすれば「良い人」なんでしょうけど、「いや、悪人でしょ」といいたくなるような人たちだと言えます。これは僕が大人になったから……ではなく、たぶん僕が小学生のころでも「いや、悪人でしょ」とマジレスしちゃうと思いますね。
さておき振り返ってみます。まず忍者さん。忍者さんはこの話の情報網と言っていい人でした。その情報網は幅広く、幽霊さんと一緒にいる様子からわりと重要な役割を持っているようにも思います。それなのになぜたこ焼き屋をしているのか……今度からたこ焼き屋をしている青年がいたら注意深く見ておこうと思いました。
次にピアスのチカ兄、サングラスのタマ兄。物語の足になりましたね。鉄人を「気に入った」と言い本当に弟のように快くいろいろなことを引き受けていました。優しいですね。友達のために何とかする尽力の力は大きく、彼らの外見をよそに仕事っぷりが清々しくて、仕事人のように思えました。ただその人柄がゆえ、わりと恨まれているようです。物語終わっても、喧嘩屋とその姉さんと忍者さんと殴られて……と、なんかいろいろごちゃごちゃ大変そうです。
あと喧嘩屋。彼は高校生ながら喧嘩屋(君たち、依頼されても喧嘩はだめですよ)に就いています。たぶんちょっとしたお小遣い稼ぎなんでしょう、1000円という破格の安さで仕事を請け負っているようです。そのぐらい喧嘩強いらしくて、県で有名の進学校に通う、無口、更には暗い過去……ラノベ主人公かな? とか思いました。
最後に仙人。すべてを悟ったようで、じつは黒幕と言っていいほどの人でした。こう言ったらあれですが、彼のせいで鉄人の父親は自殺をしてしまいました。ただ運命が巡るもので、仙人さんがこの物語のきっかけを作ったといえます。終わりは仙人さんが立ち上がりを見せるように、彼なりの「決闘」をしようとしてました。成功するといいですね。

通り魔と街について
作中登場した通り魔は三人いました。まず無職の男、次にサラリーマン、あとはピーゴリでしたね。
それぞれの思惑は別でしょうけど、立て続けに三人も通り魔が出るあの街っていったい……と思いました。加えて、サラリーマンとピーゴリは復讐から犯行に及んでいます。そして捕まって、襲った被害者のいわゆる「友達」にボコボコにやられるんですよね。やり過ぎとまでは思いませんが、こう、すごい街だと思いました。
僕の街が平和だからとか、知らないだけだとかあります。けれども、子供が決闘して、中学生が小学生のカツアゲをして、高校生が喧嘩屋をして、青年が警察まがいなことをして、大人が通り魔やってるなんてもう、ね。すごいっすよ。僕青年ぐらいの年ですけど、とてもあの街が怖いです。(小並感)
まぁ、とはいっても、鉄人が声をかけたのがたまたまそういったたぐいの人間であり、たまたまそのたぐいの人間と協力関係になっただけであって、すべてがすべてあのような野蛮な人たちだけではないといえませんといえます。

【まとめ】
そんな野蛮な人たちのおかげで悪を滅ぼしたといえます。千秋の父親とピーゴリは弱いものには強く出る陰険そうな人物なため、あの暴力はかなり効いたと思います。目には目を歯には歯を、暴力には暴力ですよ。それが好転すればと思います。
けれども僕はやはり、暴力だけでは解決しないと思います。あの場にいても速やかに警察に通報するでしょうし、常時テンションの上がらない義之君みたいな感じになると思います。はい、ぼぼ確実に場をしらけさせるやつですね。
あと、あとがきにあるように、この小説わりとキャラ立っているので、中学生編、高校生編、さらには大学生編とかあればおもしろそうだなとか思いました。

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