とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

かいぞくポケット20 ながれ星のひみつ

62冊目
ついに、ついにかいぞくポケットシリーズ最終巻ですよ!

ながれ星のひみつ (かいぞくポケット 20)

ながれ星のひみつ (かいぞくポケット 20)

ポケットという少年はある日突然、海賊のおかしらになってしまいます。
ジャン、ケン、ポンというみな優秀な手下をもち、加えて魔法が使える猫のアイコという仲間に囲まれて今日も大海原を航海していました。
ある夜のこと、アイコは寝言で呪文を唱えます。その異変を異変を感じたポケットと手下は目を覚まします。
「なんだなんだ」と集まって、そんな会話をして、そのまま一行は習慣の体操をします。体操が終わると、夜だというのに目が冴えてしまっていることに一行は気がつきます。そして不思議なことに、だれも眠くならないのです。
星が見える以外はなにもない夜、することもないので、それぞれひまをもてあまします。ジャンは大砲を磨きに行き、ケンはポケットに指示をもらおうとします。ポンはというと、持っていたフライパンをなんとなく叩きます。
するとどうでしょう。満天の星空だった星の光が色彩豊かに光りだしたのです。
光りだしたと思ったその光は、すぐに流れ星となって海に落ちてゆきます。ひとつふたつではありません、空の星がすべて落ちてきました。

----(ネタバレあり)----



流れ星
アイコの寝言によって実体化? した夜空の星達は七色の流れ星となって振ってきていました。これ、見ている分には綺麗だったんじゃないでしょうか。雷撃あったり、火事になったりととんだ災難に目をつぶってみれば、星の降る様は壮観な光景だったと思いますよ。
しかし流れ星が降ってきたあとに降ってきた火の雨は、あれ流れ星に入るんでしょうかね。あれはケンの寝言ですから、コロン(自称流れ星)の仕業なのか、あるいはあれもアイコの寝言なのか……それは分かりません。
しかし基本電撃が溜め込んでいて、加えて赤い星は熱いなんて、どんだけエネルギー溜め込んでるんだって話ですよね。マストに落ちたやつはマスト貫通させて埋まってるってもう、人にでも当たったら命に影響してしまいそうです。(とはいえジャンに直撃してたんですけど)

コロン
よく分からないダイヤモンド(自称流れ星)でした。僕としては最終巻に入って「まさかの新キャラ!?」とか思ったんですけど、普通に敵役というか、ポケットたぶらかすようなキャラでした。
たぶらかし方も結構さまになっていて「アイコはあてにならないわね?」「アイコじゃないわ、わたしの魔法よ」(書いていて彼女持ちを男子を誘惑する女みたいになったぞ)みたいに効果的に言っているんですよね。読者からしてみれば最終巻でこれなのだから「まさかすごいとんでん返しが!?」とか思ったんですけど、普通にポケットは「はいはいわかったわかった(意訳)」とスルーするんですよ。そしてアイコを終始探してる。と、そういうのすべて流すというポケットさすがだと思いました。

テレビ
流れ星が落ちてポケット号が燃えてコロンの力でなんとなった後のこと、ポケット号のテレビが唐突に点くという怪奇現象が起こります。
ここでコロンが「テレビ画面に触れてごらん」とポケットに言って、ポケットがテレビ画面を触るんですよね。そうしたらなんと、マークと同じ(草のマークだった)草がポケット号を覆ったのです。いや僕も書いててよくわからないです。
そのあとポンが「草を食べてもらおう」と像のマークを押すんですよ。そうしたらピンクの像(これ大丈夫なのか?)がでて来てポンをさらってゆくんですよ。いや、僕も良く分からないですけど。
そのあと青いライオンが出て来て、草が花になって、蝶が出て来て、蝶が草を食べて、ライオンのうんこが草を消す……意味分からんですよ。
まぁなんでしょうね。この作品のコンセプトが「アイコの夢」なので夢を体現しているとするならば、「あぁなるほど」と思います。あれはアイコの夢なんですよきっと。

アイコとコロン
夢だというのにアイコが目を覚まして不思議現象を体験しています。ならたぶん、夢が現実になっただけ(おそらく流れ星に自我を持たせたのがあの呪文)なんでしょうね。
終盤でアイコとコロンは戦っています。そして圧倒的力をコロンに見せつけていました。星の総攻撃を受けてなお「星は星らしく空に戻るべき(意訳)」など煽って、ポケット号が炎上してもなお、いつもの呪文で元通りにしてしまいます。本当になにもない元通りですよ。(すごい)
コロンとはなんだっただろうか。と、そんなことも思えないほど圧倒的な力、さすがアイコですよね。久々じゃないですか、なんかすごいピンチにふらっと出てきたアイコが一言で終わらせるという話は。

【まとめ】
この物語はここでおしまいとなります。とくになにも変わず、これからまたポケットは海を進むのでした。で、終わります。
この巻も夢の可視化、ある意味で夢落ちとなっていて、すっと唐突に終わってしまいました。そこにリングの指輪にコロン(宝石に変わった状態)をはめる描写もなく、アイコ(確か光物好きでしたよね)にひょいと奪われて、ふっと終わります。
思えばアイコの部屋(イカリの中)は一度もばれませんでしたね。分からないことは分からないでいいんですが、ポケットがなんで海賊を始めたのかを知りたい気もします。