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とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

サラマンダー ―無限の書―

トマス・ウォートン 冒険小説

75冊目
愛と幻想の物語ですね

サラマンダー―無限の書

サラマンダー―無限の書

この本の紹介は難しいものがあります。
読んでみたらわかるのですが、これがつかみどころのない物語なんですよね。
でも紹介しないわけにはいかないので手探りながら紹介していきます。

硝煙の残る戦渦が通り過ぎた町(ケベック)を馬で通過していたフランス軍のブーゲンウィグ中佐は崩れかかった書店にて女性を見つけます。
女性は若く美しく、けれども崩れかかった書店に一人でした。中佐は異様な光景に尋ねます「なぜここにいるのか?」。女性は答えます「ここが私の店だから」。
女性の返事は流暢なフランス語でした。フランス軍の中佐はなんだかうれしくなり、すこし雑談がてら女性と会話を始めました。
喋っているうちに女性は「終わりも始まりのない書物」の話を始めます。中佐は書物のことを聞いてみれば、女性は「一晩かけても語りきれません」と答えます。気になった中佐は任務をほったらかして、女性の話に耳を傾けるのです。

舞台は18世紀のヨーロッパ、イギリス、カナダ……などで、ジャンルで言えば冒険物です。
ロマンスも結構ありました。あとは、わけあって作ることになった「無限の書(終わりなき本)」を作ろうと奮闘する男も見ることができます。

そんな感じですかね。そんなのがなんか、いろいろありました。(投げやり)

----(ネタバレあり)-----


長いプロローグ
しょっぱなのこと、というかこの物語は「むりゃ振りされた職人がなんとか無限の書とやらを作る物語」だと思ってました。
しかしけれども、この城で行われるのはプロローグにすぎず、行われるのはやんわりとした監禁とロマンスでした。
やんわりとした監禁については金持ちの道楽として置いておいて、ロマンスはいい感じに三角関係で禁断の恋感がありましたよね。いろいろ紆余曲折(端折られているのであったのかどうか不明)あって結局は牧師でなくフラットとイレーナは結ばれたようでした。
個人的に初っ端あたりでいい思ったのは、

「今夜、時計の針が三時十五分をさすとき、わたしのベッドがあなたのベッドの横を通過します」

というフレーズあたりですよ。この文章だけだと甘い誘いとだけといえますけど、状況が状況(城がからくりだらけ)と相まって、今後の展開をよりいっそう浪漫溢れるものにしています。
そもそも、からくり城って男子の夢みたいなものじゃないですか。歩いているだけで楽しいのに、それに整備士のかわいい女の子が居て、「いついつに通過するわ」で、その時間に相手のベッドが流れてくる、飛び乗る。秘密の約束、秘密の空間、たまりませんな。

牢屋からの開放再開旅立ち
禁断の恋の代償はあまりに大きかったようで、そのまま11年とフラッドは牢に入れられたままでした。当時すでに城にほぼ誰も居なかったようで、フラッド虚しく一人で悟りの境地に入ったがごとく苦しんだようです。
このフラットのとらわれの11年あまり、物語最後辺りで分かることですがイレーナの出産と神父の話、あとは娘パイカの冒険ようなこと、などいろいろあったようです。
フラッドが動きが取れない間にも物語が進んでいたってことですよね。あの禁断の恋があったおかげでパイカが誕生し、運命がかなにか共に旅をして……という今後のことを考えたら小さな出来事一つ一つが重なっているのだなと、すべて読んだあとに思いふけたりしました。
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壊れたヴァイオリン
主にパイカの過去編が触れられていました。パイカは過去に身寄りがない子供達が集まる、ほぼ身売りみたいな修道院に居たようです。
美しいのにちょっとやんちゃ(周りの人と合わせられないなど)で問題児だったことが伺えました。おねしょするし、物隠すし、ほぼ確実に疎まれる存在だったと思います。
ときに不思議な病気(うわごとなどいうやつです)を患ったころ、ミルクの風呂にもぐって呼吸ができる(?)など意味わからない能力をパイカは得たようでした。おかげで無限の書の中に入っているときも呼吸ができたのか? と思ったりしましたけど、真偽は分かりませんね。なにせ自然と浮かび上がる活字がある世界なのですから。
のちのち分かってくる母親のパイカ出産に神父が絡んでいたということもここでは分からなかったため、「神父とパイカは面識があのか?」と(黒い服装の男がでたあたりは)謎が謎を呼ぶ展開でワクワクしていた思い出がありましたね。

物語の井戸
キリシュナーというおじさんから、秘伝の活字を教えてもらうとかいうところでした。
ルシュナーとは以前活字の機械をもらおうとして、返事になぞのスプーンを渡した人物でした。たしか「無限の本の政策をしているんだ」とフラッドが手紙を書いて、返事が「スプーンは肉汁の味はしないと父親がいっていました」といって登場したスプーンでしたよね。本人の言うように、今思い返してみてもあれは謎です。スプーンだけにさじを投げたみたいな感じでしょうか。
気になるのはここでもらった鳥肌活字ですよ。そもそも摩訶不思議な城がある世界なのだから、不思議な活字があってもいいとは思いますけど、いやはやすごい活字ですよね。いい表現が思いつかないですが、そのうつってゆくさまは魔法といってもいい光景だったでしょう。
ところでフラッドが活字を持って帰っているとき、まんまと襲われましたよね。早くも活字の一部がなくなったというわけですが、ここで物語一通り思い返しても、フラッドが万全の状態で本を作ったためしがないんじゃないかなと気がつきました。
井戸

女海賊登場
泣きインクやらジンの本名やらいろいろありますが、ここらへんで女海賊スノウが登場します。
そんな女海賊スノウは司令官(超能力開花させている)に追われているらしいく、ビー号でも二回ほど襲われていました。
女海賊について注目すべきは、行動力でしょう。船を制圧し、危ないところから逃げ切って、ビー号に無断で乗り込み、見つかってもなお助け合って、生き延びる。おそらくビー号で一番生存本能が強くて、戦闘力が高い人だと思います。
最後、船を燃やすとかなんとか言っていたように、ビー号を爆破させてました。そのときスノウは逃げ切れたのか(生きているのか)気になるところです。パイカ視線であやふやだったですからね。無事であってほしいですよ。
ある女海賊の愛と死―カリブの魔女
女海賊大全

ジンの冒険
ジンは途中で脱退しました。ジンはてっきり最後までついていくかと思っていたものですから、まさかのハニートラップ(正しくは森で真意を見つけたのでしょうね)くらって女中と一緒に暮らすことになって驚いたものです。
このジンの冒険については、ジンが高級薄い紙(名前忘れました)について調べるためにシナをからくり人形になって捜索してたわけですよね。作中に書いてましたけど、普通に危ないですよねそれ。死んでしまう可能性があるほどの危険な冒険だったでしょうよ。わずか20ページぐらいなのに、普通にここだけで本一冊できてしまいそうです。
個人的にジンが一番好きなキャラクターだったので抜けたのは寂しかったです。僕も寂しいですし、パイカもジンのことを気にしていたのですから、とても寂しかったでしょう。毎日、雨の日もジンを外で待っていましたし。うーん、ここでも切ないラブロマンスですか。

なにかと敵対する神父
しょっぱな恋のライバル的な存在かと思った彼は、「いわくつきの場所には神父あり」と言えるほどいたるところに登場しました。最終目的というか「時間」から逃れるというのが彼の目的だったらしく、時間を逃れるため無限の本をフラットから受け取る約束をしているようでした。
おかげで最後の最後でパイカに対して悪あがきという展開となり、司令官から追われている状況もあるから眺めているだけでひやひやしましたよ。とはいっても、「パイカが常日頃から本を持って居たらよかったのに」と思ったりもしました。
この神父、フラットよりまともに見えるのに「なんやこいつ……」と思ってしまうシーンがしばしばありました、考えてみればたぶん、にじみ出る異常さ(「時間への執着」と「イレーナを思う気持ち」)が相まったものでしょうね。
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驚異の小部屋
一行は目的地となるロンドンにやっと到着します。
長い長い道のりでした。途中いろんな話を聞いて、関係なさそうな世間話も聞いたり、死ととなり合わせだったり、なんども奇跡を起こしてロンドンまで来たといえます。
そのロンドンではフラッドの古い知り合いと会ったり、大道芸人さんたちはお金稼いで玩具を買ったりしていました。
いろいろは端折りますが、その玩具を買ったおかげで見つけた驚異の小部屋の主人こそイレーナでした。
まずパイカとイリーアが再開できてよかったですよね。母親に会うというのがパイカの最終目的だったわけですから、それが叶ってひとつの物語はハッピーエンドだといえます。
欲を言えば、フラッドとイレーナとパイカの三人でいろいろ話すのかと思えば、最後の最後でパイカとイレーナはフラッドを看病をし、まもなくフラッドは死んでしまいます。
フラットとイレーナとパイカがそろったというのにこんな結末なんて少し寂しい気もします。一度でも食事でもできたらよかったのに、と。

時間静止と無限
少し戻ってビー号がスノウが狙われた司令官の攻撃による砲弾を受けているころ、パイカが活字に巻き込まれて(?)時間静止の世界をさまよっていました。
個人的に走馬灯的な、あるいは死後の世界(パイカは死んでしまった)と思っていたものですから、普通に戻ってきたときは「え?」と再び時間が止まるシーンに戻ってみたりしました。たぶん、なんでしょうね、魔法の力に触発された? みたいな事でしょうかね?
時間静止の世界では自らが自由に動けて、周りの世界は止まっているようです。イメージするならスタンドのザ・ワールドといったところかな? とか一人思っています。
気になるのは外部に影響を与えることができるのか、というところですね。たとえば時間が止まっているときに相手の船に砲撃した場合、時間を戻したとき砲撃が相手に当たっているのかなどそういったところですが、まぁそんなこと考えるまもなく活字は壊れてしまいました。
この時間停止を体験したのはパイカと牧師とたぶんフラットも体験していると思います。彼らが経験して何を思うか、気になっても会話し考察することなくただ現象として捕らえているのがこの物語の特徴なのかもしれません。

アラム
作成された無限の書のタイトルでした。アラムという言葉に特別な意味があった、とかは見当たらない(作中書かれていたけど僕が忘れているだけかもしれない)ようすから多分単語の意味合いがあるんでしょうけど(知識浅いので)わかりません。
このアラムに対して残念だったのは、内容がほとんど分からなかったところです。
パイカがちょくちょく読んだ様子から、とても長い目次があって(しかも順序はばらばら)、風景描写がむちゃくちゃある、紙は1ページが判らないほど薄いと想像できます。けど、それ以外は神父が持ってゆき紛失してしまいました。
物語のもう一つの目的(無限の書をつくる)なので、無限の書とは? と、気になるところではあったのですが答えと言う答えは見つかりませんでした。
無限の書とはいったいどういったものなのでしょうか? たぶんこうした考えをめぐらせて追及する行為こそ、無限と言えるのかもしれません。(適当)
アラム語-日本語単語集 シリア語付き

【まとめ】
幻想的な話でした。しょっぱな感想で書いたように、ただただフラッドは無茶振りされて無限の書を試行錯誤して作り上げるとかいう話だと思ってたましたよ。でれども、開いてみれば愛と浪漫の冒険、一通り読めばすごい冒険したみたいになってます。
いまさら思いますが、やっぱフラッドは主人公じゃないみたいですね。物語すべてを見たら主人公はパイカのようです。こう見るとフラッドはジョジョの4部(父娘の関係とみると6部かもしれません)の条太郎みたいに思えてしまいます。
世界観と言うべき、現実的なのに幻想的な世界がまた不思議な感じがしました。ファンタジー? でなない現実的な「それ」がこの本の魅力かもしれません。

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