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とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

洞窟探検入門

99冊目
みんな大好き洞窟探検

地質調査としての洞窟探検ではなく、スポーツ(好奇心による)洞窟探検を行うことについて書かれてある本になります。
スポーツとはいっても「むやみに洞窟に入って環境を荒らす」ということではなく、あくまでルールを守って「行けるだけの洞窟探検をしてみよう。そして新しい発見を見つけたら報告しよう」みたいな冒険家であり開拓者ようなノリですね。
内容をイメージするなら……遠足に行く前にもらう冊子ってあるじゃないですか、この新書はあんな感じです。

とはいってもあくまで「洞窟探検」とあって書いていることの難易度が高いように思えます。
しかしそれはつまり僕らが洞窟探検について知るということでもあり、洞窟探検をしようとしている人達へのいい道標でもあるわけですよ。
洞窟探検についていろんな方面から端的に有益な情報が書かれてあるため、準備の面でも心構えの面でもこの新書の大きさからして気楽に読むことができる便利な本になるかもしれません。

洞窟探検について幅広く知ることができ、洞窟探検の様子を垣間見える事ができる本だと思いました。

※今回もネタバレありとありますが、個人的に気になったことを書いていこうと思います。

----(ネタバレあり)-----


洞窟を見つけるまで
洞窟探検を始めるには当然の事ながら洞窟を見つけなければなりません。
その洞窟をみつけるというのは僕が思っているよりも難しいようで(そもそも隠れてたり塞がっていることが多いそうです)、文献やら遠隔操作やら水脈探しやらなど様々な手段が取られ見つけるのだといいます。
そのいろんな手段の中に「聞きこみ調査」というものがあったんですよね。

(前略)まだ探検されていない地域では、住民に対する聞き込み調査が洞窟発見のための最初の手段である。猟師、漁師、牧童は、無尽蔵の情報源である。地方によっては、村の飲み屋とか村の重要人物の集会とかに行けば、探検の目的を達成するための知識や、案内人に関する情報を集めることができる。(後略)

前にどこかのTV番組で「秘境の温泉を探すにはまず聞き込みからだ!」みたいなこと言ったのを思い出しました。
その番組見ていた時と同じくこれを読んだとき「展開がRPGとなんら変わらないじゃないか!」というツッコミを脳内でしましたよ。村の人に聞いて洞窟を見つけて、さらにはそこで注意すべき洞窟の情報をもらうってドラクエかな? ですよ。
地方の人に聞き込みというのは、思う以上に効果がある理にかなった行動なんですね。

そこに行くのか問題
洞窟の世界は大きく2つに分けられるらしく、それは「竪穴」と「横穴」です。
「竪穴」については縦の穴、つまり底に降りるようなやつです。
「横穴」は僕らがイメージする「細くて狭い通路」以外にも、「岩で塞がってしまっている通路」「水が溜まって先に進めない通路」などいろいろあるらしく、この本にはそれら進みゆく方法やら、先に道があるのかという判別方法までざっと書かれてありました。基本岩と岩の間から風が通っているかで判別するらしいですね。
いやまぁ判別方法は理解できるんですが、「そこに行くのか」と言われたら「うーん」ってなりません? だって目の前に無数の岩が崩れ道を塞いでいるのだから、「もうここで行き止まりかぁ」とか思いますよね(無粋)。でも洞窟探検隊はからかすかな風を感じ取って勝算があるならば、(無理しない程度に)突破しようとするらしいです。
それは「竪穴」でも同じで、当然のように先は真っ暗の奈落の底へ降りていこうとするわけですよ。
今は降下だけでも便利な方法が確立してますが、当時はブランコ(木の板に人を乗せて、ロープで引っ張りながら降ろしてゆく)方法をしていたりして、「いや、わかるけど無茶苦茶じゃない?」とか思ってしまいました。
でも全体を読んで分かるのは、そういう無茶苦茶なことをしているしている人がいるからこそ新しい技術や道具が生まれるってことです。極限状況に入ると限界やら危険や失敗が目の前に出て、「こういうふうにしたら便利なのに…」というのが明確にわかるから、でしょうかね。

水没した洞窟を探検する
水没した洞内の通路のことをサイフォンというらしいです。
このサイフォンを想像してみてください。真っ暗の洞窟の中に通路の先に突如として現れた水面。あたりを照らし、澄んだ水面を覗いてみると、通路はまだあるようです。
ここまででは幻想的なイメージで「あぁ綺麗だな」とか思ったりできますが、現実的に考えて「その先に果たして空気はあるのか?」「実は行き止まりではないのか?」「そもそもどこまで続いているか?」などそんなこと考えますよね。
自分が潜水すると考えてみてくださいよ。まず真っ暗ですよ真っ暗、真っ暗の水の中に入って、先にあるかわからない空気を探して歩く。さらに言えば仮に空気のある場所にたどり着いても、空気が淀んでる(ガスが溜まっている)可能性もあるのです。
閉所恐怖症なら絶叫ものです。そもそも密閉された空間(洞窟)そのもの場が怖いのに、そのうえ真っ暗の中で入水してあるかもわからない空間に歩いてゆくんですよ。おそろしいことです。
まぁ過剰に怖がっているのは僕だけかもしれません。なにせ文章読む限りすごいエピソードがいくつかありましたし。

十九世紀、オットネリが、一九七八年に最初の試みをボキュリューズの泉で行なった。当時は、洞窟環境に適合するとはまったくいえないような、水面から空気のチューブがつながった錘りつきの潜水服を使用していた。

一九二二年、カステレは、モンテスパン洞窟(オートギャロンヌ地方、フランス)のサイフォンを、無謀勇敢にも、息をこらえて(素潜りで)通過している。しかし、本格的な洞窟潜水は、一九四三年にクストーとガナャンによるアクアラングの発明まで、ほとんど進展することはなかった。(後略)

アクアラング*1が確立したあたりから洞窟探検はまた飛躍的に進歩したらしいです。
それまで、それ以前のサイフォンアタックはさすがに、むちゃくちゃじゃないですかね……ゲームとは違うんですよ!
しかし、彼ら本当に「冒険家」って感じします。仮にですが、仮に万全の準備で万全の練習をした万全の体制だとしても、僕は目の前にある洞窟潜水は躊躇っちゃうかなぁ……。

凍土から熱帯まで
当然のことですが、洞窟探検は北から南まで洞窟探検です。その「洞窟探検」には寒く凍った氷土、あと蒸し暑い熱帯まで、本書ではそれぞれの注意事項がざっと書かれてありました。
まずは氷結した洞窟のほうですが、氷が張り付いた石灰洞はスリップと壁と氷塊のみ注意すれば通常の技術とアプローチでなんとかなるらしいです。問題は氷河内の探検だそうです。

氷河内の探検はもっと複雑である。氷河は動いている塊であり、その塊のなかの部分は、圧縮されたり、引っ張られたり、つねに変化している。(中略)ピッケルの一撃、あるいはアンカーの打ち込みだけで、開いた割れ目が、探検している空洞部の氷の表面全域に亀裂を伝播させてしまう。

いや……なんでそんなところ入るんですかね……。

次に熱帯ですが、こちらは湿気と雨と病気などで大変らしいです。
それに草木が生い茂る未開の土地みたいな場所に洞窟があったりもするので、その「洞窟」にたどり着くまでがまず大変だというのです。
たまに『イッテQ』などそういう未開の土地に行く番組を見るんですが、そういうジャングルの見る範囲でも「たいへんそうだ」と思う僕ですから、その上で洞窟探して探検とかもう大変どころじゃないですよ。
本の方にはそういう大変な部分をいかにして無事に乗り越えるか、など書かれてありました。病気について、寝る方法、料理をすればいろいろ生き物が寄ってくること、サソリに注意しろとか、いろいろ書かれてあり読んでておもしろかったです。
氷河も氷河ですけど、熱帯も熱帯で大変そうでしたね。

科学の進歩と洞窟探検
科学の進歩によって事前にたくさんの情報を仕入れることができたり、遠くの人と一瞬で連絡が取れたり、立体的な洞窟の地図が表示できたり、あるいはこうして家の中で洞窟を閲覧できたりできる時代になりました。
これはある意味「外部」からの情報としての進歩になりますが、「内部」で使う道具の進歩も目覚ましい発展を遂げているようです。
効率、効率、安全といろいろな方面で探検家の万全を期すために、一人でだいたい大体全てこなせるようになっているなんて、本当にすごいと思いました。だからといって高性能さを競うのに夢中になるのはどうかと思いますが。
ここまできて個人的に思うのは、これからの洞窟探検ってどうなるんだろうな。というところです。
地球上にある(人間が入れる範囲での)洞窟はあらかたすべて踏破してしまったのではないか。と思うんですよ。そうなったら洞窟探検はどこに向かうのか。まぁ、とりあえずは洞窟内の3D地図をつくることに力を入れるかもしれませんけど……洞窟学はどこを見据えているのか気になります。

【まとめ】
個人的に上に書いた「遠足に行くまえにもらう冊子」という表現が気に入っています。
そんな表現をしたように、遠足に行く前の冊子を眺めているようわくわくかんがこの本にあったのは確かで、「こわい」「なんでそんなところにいってしまうのか…」という困惑を超えた先にある景色を眺めたいなど思う自分もいたのは確かでした。
バーチャル洞窟を探検してみようと思います。いやぁ、いい時代になりましたよね。

サイトリスト
日本洞窟学会:日本洞窟学会
バーチャル洞窟(Google):The European Quartet Blog: バーチャル洞窟探検

*1:世界初の自給式水中呼吸装置

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