とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

なれる!SE 2週間でわかる? SE入門

130冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

主人公の桜坂工兵は焦っていました。なにせごくごく平凡の問題ない人生を送ってきたのにもかかわらず、ここに来て、「就職」という壁にぶつかったからです。工兵は内定が取れないまま5月、6月、7月と時間を過ごします。同級生はすでに先に進んでいて、親からも心配からの電話がかかってきたりして、工兵はひどく焦っていました。

その焦りのせいか、あるいは機転か、工兵は普段は気にも留めない求人に気が付きます。そこは聞いたこともない企業であって、求めているのはシステム開発システムエンジニアのようでした。
これも普段なら見逃すものですが、そこに「まだ見ぬ君の可能性を求めて――」など書かれてあり、工兵の目をひきつけます。そして会社名を検索してみれば、Yさんという人物と企業とのドキュメンタリーな文章が綴られていました。
これが弱っていた工兵の心を鷲掴みにし、工兵はその企業にエントリーすることにします。

それから、驚くほどトントン拍子に物事が決まってきます。あれだけ就職に難航していたのに、面接をした時点でもう内定が決まるなど……それは工兵にとって違和感を残すほどに簡単なのでした。

----(ネタバレあり)----



桜坂工兵
主人公です。彼はなんというか、いろいろなことが重なってしまいブラック企業に務めることになりました。
彼に関しての慰めをいくつか浮かんでいる僕ですが、彼ならなんとかやっていけるんじゃないですかね。みたいなたくましさ? のようなものを読んでて彼から感じていました。初めあたりは仕事に対して甘い考えみたいなものがあったようですけど、身近にいる室見さんなどに感化されて立派な戦士になっています。終わりあたりにキツネ男と対峙したときは「頼もしいなぁ!?」と思ったものです。
ところで、なんというか(プログラミングあんま知らない僕が言うのもなんですが)、始めの室見さんとOJTで投げかれたれたコンフィグ作りのあたりで、まるっきりなにも知らないというのによく、パソコンでググり基本中の基本は学習できたとこすごくないですかね。いや…人の勉強方法に口出すってわけじゃないですけど、こう、一夜漬けのググった知識でやれちゃうってところが彼のすごい。地頭ってやつが良いのでしょう。

室見立華
大体のスキルを美貌とプログラミングに当ててしまった、(中学生ぐらいにしか見えない)スーパーな人でした。
彼女はすごい人のようで、なんかよくわからないけど「すげぇ!」って感じでした。すげぇ! の極めつけはやはり最後のコンフィグ書き直しですよね(思えばずっと設定してましたこの巻)。……たしかおおよそ4分ぐらいで完成させたようで、間違いなく、正確なのが、すごいことなんじゃないでしょうか。そもそも4分でできるものなんですかねコンフィグは(よくわかってない)。
気になったことは彼女の素性についてです。年齢についても「室見さんから聞いて」など言われてたのでどうなのかと思ったら、それっぽいことは聞いたもののなにもわからず物語が終いとなっています。作中、唯一謎の部分なので気になるところです。
あとどうでもいいですけど、ツナ缶って開けて食べて、そのゴミどうしてるんでしょうかね。まさかそのまま……。

スルガシステム
あーもうめちゃくちゃだよって感じでした。部下たちはみんな優秀な人達ばかりだというのに、当の社長がダメ……いや、ダメってわけじゃないですけど「無茶苦茶」でしたよね……いやぁ、よく部下たちついていってますよ……それさえ良くなればいい会社だと思うのに……。こういう無茶苦茶なことをしでかしても部下たちがついてくるパターンはだいたい「給料がいいから」「設備がいいから」に完結しそうですが、どうにも特別いいような環境だとは思えないんですよね……しいて言えば「個人主義で好きなようにやれる」ってところですかね。
かくして仕事のモチベーションは各自登場人物それぞれになってしまいます。そこら辺もこの先にわかってくるんでしょうか。
まぁでも六本松社長はもっと部下を大切にするべきだと思います。

個人的に難しかった話
この物語に登場したプログラミングのうち2割程度しか理解できませんでしたが、なんとなく比較的簡単な初歩的なものをしているのだろうな…という雰囲気はつかめました。たしか機材を交換するから、IPアドレスとルータの再設定するとかみたいな感じでしたよね(あってるだろうか)。
個人的にそれ以上に難しかった話といえば、麻雀の話題でした。あの機械の周辺器具とかはググったら「このこと言ってるんだな」となんとなくわかったりしたものの、麻雀の工兵とカモメのくだりはもう、わかんないですよね。あれこそ「日本語でおk」ですよ。まぁ僕がやってないだけで、慣れ親しんだりすればもっと身近に感じるのかもしれませんが。

システムエンジニアの仕事環境
システムエンジニアが実際どんな仕事内容をしているのか知りませんが、この本を読んで「システムエンジニア大変だな!」と思いました。そして作者のあとがきに、

『SEだけはなるな』

そうゼミの教授に言われました。(後略)

から始まっているのおもしろかったです。
システムエンジニアは上流工程だそうで、あとがきの後ろの解説を見てみれば「顧客と話し合ってどういうソフトにするか決める」という作業があるそうです。もうこれ読んだだけで、顧客とか会社とか板挟みされているようで、大変そうだなぁと思っちゃいますよね。
あくまで偏見ですが、プログラミングする人たちってコミュニケーションに難ありって人が少なくないでしょうから、日常的にこういう話し合いってのは大変そうです。でも僕が知らないだけでそういうコミュニケーションが円滑にできるような、そんなシステムがあるのかもしれませんが。

【まとめ】
某アニメ化されたマンガのように、キャッキャウフフしながらゲーム作り的なノリでするのかと思えば、普通に笑えない(笑える)ブラックブラックな内容でした。ギャグっぽくされて、かわいい女の子が登場してますけど、笑えないこと結構起こってましたし、それはそれはもう……戦場かな? みたな感じでした。
まぁ、現実にはこの物語のような劣悪な環境もないでしょう(さすがに過剰に演出されてます、よね?)。

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