とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

まめぼん 世界で一番ちいさな盆栽

番外編
かわいく癒されるまめぼんはいかが?

実際に「まめぼん」という単語は盆栽業界にないわけですが(あるかもしれない)、作者はとても小さな盆栽を「まめぼん」と呼び、その世界を紹介してくれています。

まめぼんとは片手に乗る程度の盆栽、あるいは指に乗る盆栽、10センチに満たない盆栽といったところでしょうか。こればかりは実際に見てもらうほうが早いと思いますが、見てもらうとわかるようにかわいらしくて癒されるような風合いがあります。
この本には盆栽についての知識も多少書かれありますが本の主役はあくまでまめぼんであり、まめぼんについてのコラムと写真がつらつらあります。その写真には盆栽が何センチか書かれてあるんですよ。写真だけだと普通にいい盆栽かと思えるそれがわずか数センチとか書かれてあって、いやはやまめぼんすごいなぁと思うわけです。
そんなまめぼんの世界が少しばかり触れる本ですね。

※今回もネタバレありとありますが、個人的に気になっているところを書いていこうと思います。

----(ネタバレあり)-----

まめぼんについて
まめぼんの魅力はなんといってもその可愛らしさ、手軽さでしょう。まめぼんはだいたい片手に乗る大きさですのでどこにでも運べます。机の上に載せたり、玄関においたり、車のフロントフラスに載せたり……ちいさな生きているミニチュアみたいに飾ることができます。(まぁ盆栽も生きているのでそこにずっと置いておくことはできませんが)
それにミニチュアのように、とあるように収集癖のある人なわかると思いますが、こうたくさん集めてゆくことだってできます。それに小さいので沢山の種類を集めることができたりします。いやぁいいですねぇ。
ネックとしては小さいがゆえに乾きやすかったり、温度差に弱かったり、栄養が足らなくなったり(これは肥料でなんとかなります)、などあるそうですけど……まぁ手のかかるのは動物も同じなのでそれぐらいあってないようなものだと思います。

まめぼんに魅了された人たち
(ぼくもそのひとりですが)たくさんいるそうで、その人達のエッセイ的なものが書かれてありました。だれもが小さな盆栽に夢中であり、なにがどう魅力なのか話してくれています。
どれも気になるところですが、個人的に作者による「まめぼん中毒」たる話題がおもしろかったので引用します。

そうかと思うと、春先にやられるのが「強迫増殖症」とも呼ぶべき挿し木発作。これは剪定後の切りくずみたいな小枝すら捨てるに忍びなくて、「誰かにあげると喜ぶかもしれないから」という意味のないいいわけをブツブツいいながら挿し木しまくってしまう症状。
ただでさえスペースがないのに、全部一人前に育ったらどうなるというのだろう。もらってもらえるまでに、どう少なく見積もっても十年はかかりそうな小枝なのだ。

また、調子よく剪定している最中に急用で呼び出されたりすると、とたんにソワソワして落ち着かなくなることがある。よく切れるはさみで枝を切るときの、あのパチンパチンという軽快なサウンドは強烈な陶酔作用と多福感を生むので、それが中断されるために惹起される症状である。こうした禁断症状を抑えるために、私は小さな花摘みばさみを常に携行し、症状が出そうなときはトイレに駆け込んで水を流しながらパチパチすることにしている。今のところ、それで問題になったことはない。

など冗談か冗談でないのかわからないようなことを言ってます。実際そういう状態を想像すると、悩ましいながら少し羨ましい気もしてきます。ただトイレに木を流すのは……ちょっと控えたいですね。
ときに盆栽とは10年20年育てるというのが普通の世界らしく、なにかと成長速度が早い現代からして見ればとても緩やかな成長になるわけです(とはいえ暇というわけでもなく、実際は一年中世話してるでしょうから忙しいと思います)。そんな我慢強いことを彼らは嬉々としてやりながら「あと10年すれば良い感じになる」とか言い合う世界なのですから、盆栽とはなかなかに頭おかしい(褒め言葉)趣味だと思います。

まめぼんに添える小道具
まめぼんに限った話ではないですが、盆栽に小道具を置くことがあるらしいです。それは演出として使えるならなんでもよく、たとえば石や砂利、この本に登場する小さなカニや五重塔の置物などあります。あと作者さんが書いていましたが、それはチョコエッグの玩具だっていいそうです。ようは自由なんですよ。
僕だけかもしれませんが、こういう小さなコレクションて眺めているだけでも楽しくないですかね? 集めるとなお楽しいでしょう。そして集めた小道具を育ててきた盆栽に合わせたらとても楽しそうな気がするんですよ。わかりませんかね……男子特有のあれですかね……。
男子で思い出しましたけど、線路とか電車のミニチュアなんか置いたらいい雰囲気ある盆栽できそうですね! 廃線っぽくしたら……そう廃線といえばミニカーだって置けるのでは……。
と、まぁそんな感じで妄想するの楽しいです。

まめぼんの鉢
まめぼんは小さい盆栽なのでそれに入れる鉢だって小さいわけですよね。
その鉢というもの、これ本当に小さいんです。本に多少載っていますが、それでもびっくりするぐらい小さいです。あの表紙の帯みたいな鉢がたくさん登場してくるんですよ。おちょこだって大きいぐらいの鉢が登場するんです。
さてそんな小さな鉢でも名器なんてものがあるそうで、それは恐ろしく高いとかなんとか書かれてありました。こういい鉢ときくと、昔のツボで結構大きめのを想像するのですが、まめぼんを入れるような小さな器でも名器があるそうなので驚きでした。
少しだけその名機たちが本に紹介されていましたが、小さいことを忘れるぐらい精巧なツボで「美術館のかな?」と思いました。そんなツボに好みの木を合わせると考えるとテンション上がります。
ちいさな鉢なので収集癖あれば、こう宝石のように並べて眺めることもまた一興かもしれません。
ときに鉢をべつに自分が作ってしまってもかまわないのだろ? ということもあり、自作の鉢でもいいというのが盆栽のおもしろいところです。そういうなら小道具だって自分で作っていんですよね。いやぁ考えるだけでワクワクします。
たぶんそういう自由度とカスタマイズ性が盆栽全体の魅力なんでしょう。

【まとめ】
この本、個人的に読んでいた本なのですが、引用した盆栽中読者の文章がおもしろかったためこうした記事を書きました。
実は盆栽そのものを僕はまだいじってないんですけど、いつかしてみたい趣味の上位にランクインしているほどやってみたいものだったりします(現在、盆栽についてなにも知らないのでいまいろいろ本を読んでいるところです)。
今回この本を読んで新たに「まめぼん」というジャンルを知り、盆栽の幅広さにまたテンション上がってしまいました。小さな小さな盆栽はかわいらしいし、眺めてて楽しげでした。いつかそういう展覧会とか言ってみたいですね……。
そんな盆栽の話でした。盆栽やってもないのにテンションが上った記事になりました。