トコトンやさしい ねじの本
103冊目
ねじの種類から力学まで
注意すべきは、トコトンやさしいとあるものの、レベル的には中級者向けに感じたところでしょうか。ただ、それでも僕みたいな素人でも読めるぐらいにはわかると思います。(僕が中級者だと言っているわけではありません)
とはいうもの、本の内容がとても多方面から見られたものでして、ただ「ねじの存在理由と種類を説明しただけ」ではなかったんですよね。力学から規格の話とかも含まれています。
多少内容は難しいですが、理解できればねじについて広範囲に理解できる本だと思いました。
※今回もネタバレありとありますが、個人的に気になったところをあげていこうと思います。
-----(ネタバレあり)-----
続きを読む色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
102冊目
理由も告げられず絶縁された過去に向き合う男の話
男3人(つくるを含む)と女2人の計5人グループはなにかとあれば共に過ごし、なにかとあれば語り合う、「仲の良い」と表現するのがおこがましいほどに完璧なグループです。互いに分かち合い、輝かしい未来を眺めていました。ずっとそのまま仲良く過ごすのだろう、彼らはそう信じていました。
高校卒業後つくるだけ都内の大学に進学(ほかメンバーは地元進学だった)しました。なおグループの交際は続き、仲の良いのは相変わらずでした。
大学生2年生の夏休みのこと、つくるは毎回のように帰省することをグループに伝えます。しかし誰もが着信に出ることなく留守でした。それは何度かけても同じでした。
次の日も同じです。つくるは家族に言伝を残し、奇妙な感覚を覚えていました。
その夜のこと、メンバーの一人から電話がかかります。友人は前置きもなく「悪いけど、もう誰のところにも電話をかけてもらいたくないんだ」とキッパリ言い切られます。つくるはなにもわからず混乱します。辛うじて「理由を知りたい」と聞くと、友人は「俺の口からは言えない」と言った後「自分で考えろ」と続けて電話は一方的に切られました。
それっきりつくるはメンバーと接触をしてません。なんで自分だけ除け者にされたのか分からないまま。
それから十数年と時は過ぎます。
つくるには知り合い、いい関係になりつつある木本沙羅という女性がいました。彼女に対し、つくるはメンバーの話を打ち明けます。
これをきっかけに二人はさらに親密になるのですが、ふいにつくるの家に行くことを沙羅は拒否します。
「抱き合っているのになぜか壁がある気がする。あなたは心の問題を抱えていると思う」
つくるは「わからない」と答え「抱き合っているときは常に君を考えていた」と自らを内省しながら答えますが、沙羅は「でも私には感じ取れた。これから付き合うとしたら、私は『それ』に耐えられない」と言います。
壁となるそれ、心の問題となればおそらく確実にあの4人の事件になるでしょう。
「つまり、そろそろあの4人に会って話せってこと?」つくるは聞きました。
「そうね。そろそろ疑問を解消したらどうかしら」沙羅は答えます。
かくして巡礼の旅が始まるのです。
----(ネタバレあり)-----
続きを読む公園・神社の樹木 樹木の個性と日本の歴史
101冊目
樹木の歴史と東京の歴史
ただ注意すべきなのは話題の中心が「東京」であることです。東京であるがゆえ、地方民としては「ふーん」程度の話で(興味深い話でありますけど)終わってしまい、この本の楽しみを楽しみきれないもどかしさを覚えることになります。
逆に言えば東京都民はとても興味深い本になると思います。読んで公園や神社を歩きたくなる、そして痕跡を見つけたくなる、そんな本だと思いますよ。
僕は東京に行ったことがなくイメージもざっくりしたものだったのですが、こうして樹木の本を読むなり「(キレイに整備された公園があると知り)いいなー」と素直に思いました。羨ましいです。
近頃ポケモンGOも話題ですが、どうせ公園に行ったなら樹木を見ましょうよ! って話です。
※今回もネタバレありとありますが、個人的に気になったところを上げていこうと思います。
-----(ネタバレあり)-----
続きを読む黒冷水
100冊目
兄弟喧嘩兄弟喧嘩アンド兄弟喧嘩
それは兄が外出した時を見計らって、兄の部屋に行き、兄のプライベート空間を漁るというものです。
漁るのは兄の秘密であり、あるいはエロ本でもあります。
この日もミッションコンプリートとばかりに満点のあさりを完璧にこなしたのでした。
一方兄の正気は弟のあさり癖を早くから見抜いていました。
今回もトラップ(戸棚を開けたらバレる仕組み)が作動しており、「またやったのか」と陰険な気持ちになります。
その陰険な気持ちはある種、皮肉げな心配となり、吐き気のある怒りになります。それらが募って積み重なっていて、正気は修作のことが嫌いで嫌いで仕方ありませんでした。
修作も(劣等感などで)正気のことを嫌いに思っています。ただそんな二人は互い憎みあいながらも正面からぶつかることはなく、ある意味で冷戦状態が続いていました。
----(ネタバレあり)----
続きを読む洞窟探検入門
99冊目
みんな大好き洞窟探検
スポーツとはいっても「むやみに洞窟に入って環境を荒らす」ということではなく、あくまでルールを守って「行けるだけの洞窟探検をしてみよう。そして新しい発見を見つけたら報告しよう」みたいな冒険家であり開拓者ようなノリですね。
内容をイメージするなら……遠足に行く前にもらう冊子ってあるじゃないですか、この新書はあんな感じです。
とはいってもあくまで「洞窟探検」とあって書いていることの難易度が高いように思えます。
しかしそれはつまり僕らが洞窟探検について知るということでもあり、洞窟探検をしようとしている人達へのいい道標でもあるわけですよ。
洞窟探検についていろんな方面から端的に有益な情報が書かれてあるため、準備の面でも心構えの面でもこの新書の大きさからして気楽に読むことができる便利な本になるかもしれません。
洞窟探検について幅広く知ることができ、洞窟探検の様子を垣間見える事ができる本だと思いました。
※今回もネタバレありとありますが、個人的に気になったことを書いていこうと思います。
----(ネタバレあり)-----
続きを読む廃墟建築士
98冊目
不思議な世界観の建物のはなし
それぞれのあらすじを書いていきます。
『七階闘争』:だれかがなにげない事件の法則を見つけた。それは決まってビル7階で事件が起こるということに。いつの間にか噂は街の周知の事実となり、いつしか市議会にて「7階という場所は事件の温床となっている。どう対処するおつもりですか市長」とまで言われる事態となった。一方市長は「7階を撤去する」と答える。かくして市すべての7階が撤去されることになるのだが、当然7階に住んでいた住民は反発を始める。
『廃墟建築士』:廃墟の美しさを建築する、という職業が世界中にあった。ただ世界中とはいえ日本は遅れており、主人公はそれを嘆きながらも、目の前にあるビルを眺めていた。それは自分の弟子だった人物が作り上げた、日本が廃墟最先端の国なるべく作られた巨大な廃墟ビルだ。主人公の会社をでた弟子は成功し、随分と差をつけられてしまったようだ。
『図書館』:本を「調教する」職業を持つ人がいる。主人公もその一人であり、今回夏休みの子供達に夜の図書館を体験させるべく地方にやってきた。館長の催促を受けながら、主人公はまず「夜の図書館」ができるかどうかの確認を始め、時間に追われながらゆっくりとした調教、というより図書館との対話がはじめる。
『蔵守』:長年破られていない蔵があった。そこを何十年も昼夜問わず守ってきた蔵守の前に、蔵守見習いが現れる。彼女(女性でした)は蔵守と反発しながらも蔵を守ることの大切さを学ぶ。時を同じく、蔵に自我があった。蔵も蔵守と同じく蔵の中を守る一心で長年過ごしてきた。そして彼らは気がつく、略奪者が近くやってくる事に。
基本的な情報として摩訶不思議な世界観で(本が空を飛ぶなど)、不思議なことが起こる、そういう世界観です。
----(ネタバレあり)----
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