とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

なれる!SE9 ラクして儲かる?サービス開発

155冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

いわゆるブラック企業(スルガシステム)に就職してしまった桜坂工兵は連日多忙な仕事に追われていました。

近くあった大型案件の防衛戦にてなんとか案件を守り抜いたものの、いままで契約していたいくつかの案件の打ち切りを受けて、スルガシステムはなお存亡の危機が目の前にあるままでした。
ある案件で使う予定だったサーバーを使うことなく契約打ち切りが大きく、実質的に損害も甚だしく、これからのことを今一度考えるべきかもしれない、と思っているころに危機感を持った社長が部屋を借りて全社員同時ミーティングをする機会を設けます。

社長は壇上に上がるなり、スルガシステム全社員に向かって喝入れます。そして今まで無茶苦茶言ってきた社長がまた無茶苦茶なことを言うのかと思えば、「新サービスを始める」と誰もが思ってみなかったことを言い出すのです。そして「これからサービス開発の責任者を探したい。明日の提示までにメールすること」など残して去ります。

工兵は全体ミーティングを終えて日常に戻り始めていました。
大変な仕事は先輩に任そう、さすがに新人社員では荷が重すぎる、いったいだれがサービス開発の責任者になるのだろう、など考えながら。



ーーー(ネタバレあり)ーーー

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EGR3

154冊目
妙なロボットがうちにやってきて

EGR 3

EGR 3

現代から少し未来のこと、世界にはたくさんのロボットが人の助けとなり働いていました。
朝起こしてくれるロボットから、体調管理をするロボット、朝食の準備するロボット、登下校の送り迎えをするロボット、バスの運転をするロボット、場所によっては工場の資材を運ぶ、危険な作業を代わりに行う、などありとあらゆる場所にロボットが見られるようになります。

ロボットは主にライフ社が作っていました。このライフ社というのは今や世界へ食料の配給をはじめ、あらゆる場所で働くロボットの統制、その他もろもろ幅広い仕事をしていて、人々の生活を支えるうえで国レベルでかなり重大な存在になっていました。
ライフ社はみなをより便利に安定した社会を作り出している一方で、ライフ社の人間は優遇されるような社会の仕組みになっており、それを理由にかなりの貧富の格差が生まれているのも事実でした。

ベル家は「プロフェッショナル区域」に住んでいました。ライフ社の関係者が住んでいるテクノクラート区域ほどではありませんが、シティ区域ほど生活に困るほど不自由な生活はしていません。
ただ最近、ベル家には困ったことがありました。それはベル家に長く勤めていた家庭用ロボット「クランプス」がどうにも「おかしい」のです。
なぜおかしいのかは「タイマーが壊れているから」と気がついたのですが、タイマー回線は回路の奥の方にあってやみくもには調整できないのです。クランプスはタイマーが壊れてしまったら、夜だというのに朝食を作ってきたり、妙な時間に活動したりなど、家族はどうにも不便を強いられていました。

「クランプスも家族の一員よ」という母の言葉もあり、ベル一家はそれでなおやっていったものの、とうとう生活に支障が出てきて、クランプスを廃棄するかどうかまで考えはじめます。
けれどもまずは修理をするだけしてみよう、ということで、ロボットに詳しいオグデン教授を父が相談してみたところ、教授は「逆に会いたい」と言い出したのです。

オグデン教授は会いに来た父と息子(ガヴァン)に向かって「私が作った新しいロボットをクランプスのお手伝いとして使ってくれないか」と言い出します。
それを聞いた父と息子(ガヴァン)は戸惑いましたが、その話を受け入れることにしました。


ーーー(ネタバレあり)ーーー

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なれる!SE8 案件防衛?ハンドブック

153冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

なれる!SE (8) 案件防衛?ハンドブック (電撃文庫)

なれる!SE (8) 案件防衛?ハンドブック (電撃文庫)

ブラック企業に就職してしまった桜坂工兵は今日も連日の忙しさに追われていました。
ただこの頃、なぜか「暇よね?」と上司の室見が言うように、なんだか忙しいのは忙しいんですが「以前ほど切羽詰まった忙しさ」というものがないような空気がありました。それは工兵も覚えがあり、妙な感覚を持つのです。しかしそれも感覚を持つ程度、実際は細々とした締め切りがあったり、業平産業との大きな仕事が控えてたり、大型案件のコンペが近くにあったり、と忙しいことには変わりありません。

ここ最近、アルマタ・イニシアティブというベンチャー企業が勢いを加速させていました。
その勢いは目覚ましいもので、案件をガンガン軒並みとってゆき、ある案件に至っては真正面から大企業とぶつかってかつ奪ってゆくなど、ほかの企業の間ではなにかと噂にになっているようでした。

工兵がいるスルガシステムもその風にあおられ、いくつかの案件をアルマタに奪われてしまいます。

動揺を隠せないスルガシステム側、調べてみると、どうやらアルマタは悪い言い方をすれば卑怯な方法(上層部を抱え込む)ことで仕事を奪っていたと知ります。
かといって奪われてしまったものはどうしようもなく、これからを考えているうちにもどんどんアルマタに仕事を奪われてゆくのです。

彼らはいよいよ会社が存在できるかどうかの危機に直面していました。

ーーー(ネタバレあり)---

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駈込み訴え

152冊目
ある男が駈け込んで来たようです

駈込み訴え

駈込み訴え

ある男の訴え、もとい独白が続く作品になります。
読んだらわかるのですが、語り部がずっと訴えた理由や経緯などしゃべっていて、その喋りの内容によってさまざまな人物様子などが明らかになってくるようになっています。

殺したい相手は聖人に近いほどできた男であり、語り部も彼を愛していました。なのに「殺してくれ」と頼むまでに至った理由とはいったいなんだったのか。語り部自身、その男をどう思っているのか。ここにあるのは一人の男の人生かもしれません。


ーーー(ネタバレあり)ーーー

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日本林業はよみがえる 森林再生のビジネスモデルを描く

151冊目
日本林業の今までと未来

日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く

日本林業はよみがえる―森林再生のビジネスモデルを描く

一言でいうと日本林業の今までと、これからのことが書かれた本になります。

この本では海外の林業(主にドイツなど)と照らし合わせてみながら、日本林業の現状、あるいはこのまま進んでしまったらどうなるのか、などつらつら書かれてありました。日本林業というと現在「荒廃」した状況にあるそうです。
比べると書いたら「比べてるだけ」なんですが、感想としては「(比べるまでもなく)これはひどい」といったもので、読んだらわかるんですけどほんとめちゃくちゃなんですよ。かといってどうしようかということも(民間の関心の少なさなど相まって)これといって見つからなく、なんとも読んでて無力な印象を受けました。

林業の現状を知るためにも、国産の木材を使うことに関してなど、林業のこれからを考えるにはいい本だと思います。


※ネタバレありと書きますが、気になったところを挙げていこうと思います。

ーーー(ネタバレあり)---

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なれる!SE7 目からウロコの?客先常駐術

150冊目
ブラック感ある仕事系ライトノベル

いわゆるブラック企業に就職してしまった桜坂工兵は連日多忙に追われていました。

ふと電話が鳴り、工兵は受話器を取ると、金山という男が馴れ馴れしく話しかけてきます。
なんだかんだ電話応対に自信を持っていた工兵も社会常識ない言動に驚きつつ話を聞いてみると、どうやら金山は工兵を上司の藤崎と勘違いしたらしいのです。工兵はそんな彼に出端くじかれて飲まれてしまい(本来は電話を回すかどうか前もって確認するというのに)「今ここに藤崎がいる」ということを金山に伝えてしまいます。
話の流れが止まらず、電話変わって藤崎になり、藤崎は珍しく固い声で強く断っている姿を工兵は見ていました。

どうやら仕事の斡旋らしく、二人ほど月稼働率100%で働けるか、という話だそうでした。現在弱小企業であるスルガシステムの従業員は今でさえかつかつだというのに、二人も抜けてしまったらそれこそ仕事になりません。よって「無理」ということを藤崎は金山に言ったらしいのです。
ほどなく、金山については「どんな話でもすぐに断ること、場合によっては着信拒否」という藤崎の伝言を工兵は受けるのでした。

それから仕事をしていると昼休みあたり、またしても金山から電話がかかってきました。工兵ははじめは対応をしたのですが、食いつきがしつこくやがて面倒になりながら「藤崎に伝えておく」とだけ言って用件を聞くことにとどめることにします。
要件だけ聞いてメモをして紙を藤崎のデスクに張り付けておきました。
そして昼休みこれ以上面倒はごめんとばかりにそそくさと職場から出ようとすると、唐突に社長が現れて、社長は「最近の稼働率が下がっている」と大声で言いだします。金山ほどにしつこいのですが、そんな言葉もちょうど電話を終えたパートのカモメがいいように言いくるめて、社長はしぶしぶ藤崎に「要件をメモに残しておく」ことにとどめました。

そこで社長はあるメモに気がつきます。工兵は天を仰ぐのでした。


ーーー(ネタバレあり)---

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