とある書物の備忘録

読書家ほどではない青年が本の感想を書くブログ

『人間失格』を読んでふと思ったこと。

話題は変わりますが、『人間失格』を読む高校生の話です。
夏休みになり、読書感想文としてこの本を読む人は出てくるでしょう。しかし、簡単にこれを読んでいいのか? と思ったわけですよ。
人間失格』の記事を書いている時にも思ったのですが、これ意外と高校生に悪い影響及ぼす気がしてしまいましてね。

※『人間失格』についての過去の記事、ネタバレもあります。
dokukiroku.hateblo.jp

-----(ネタバレあり)-----



なぜそう思ったのか
この『人間失格』主人公葉蔵は人間失格だとはいえ、途中までほんとやれやれ主人公のごとく、やれやれと物事をこなし、人と関わっています。思想もけっこう共感できる部分があって、大人になると「あぁこれは悪手だな」という行動も高校生だと気がつかないものもあると思います。
これが問題そのものです。下手に憧れて、下手に自己投影したものなら、現実でも苦しむことになると思います。
この本を読んだ高校生は考えて欲しいです。特に男子。
お前は成績優秀なのかと、人を笑わせるコミュ力があるのかと、「キスするぞ」と言って女性の顔を赤らませるほどのイケメンなのかと、投影するのはいいけどまぁ落ち着けと。
余計なお世話かと思いますが、これは葉蔵の話だと心してほしいです。
つまりなにがいいたいのかというと、夏休みの読書感想文に『人間失格』読む人いるだろうけど、あれ高校生が読んだら下手な残虐小説より悪影響ありそうだよなと。(厨二病的な意味で)


ところで展開としてこの作品、けっこう不純なものありますよね。そこがこの作品の良さでもあるんですが。
高校生読者はおそらく中盤まで「同じような考え持ってるわー似てるとこあるわー」と思わせておいて、大学・社会人の主人公のクズっぷりに「私はこんなことしない。私はツネ子(恋人)を殺さない。私ならヨシ子(愛人)を他の男に抱かせない」なんて思っているでしょう。おそらくその描写に失望したり、葉蔵を見下すかしていると思いますね。喪失感すごく、展開に恐ろしさも感じるでしょう。
夏にピッタリですね! これで読書感想文書く人は頑張ってください!(同情の眼差し)

こんなこと書いていてなんですが、悪影響になるから読むなということを言っているわけではないのであしからず。

人間失格

人間失格