ひみつの校庭
171冊目
だれも知らない秘密のフェンスの向こう側
- 作者:吉野 万理子
- 発売日: 2015/11/24
- メディア: 単行本
昔、植物園で植物が多いこの小学校にはちょっと特別な課題を渡されます。それは学校内にある植物の担当を決めて卒業までの6年間、観察してノートに記録をするというものです。ノートは植物観察ノートという専用のもので課題を考えたのも植物好きな校長先生でした。
主人公の葉太は小学5年生。彼も例に漏れず植物ノートをある時期から放置していました。数年ぶりにその話題が持ち上がり、彼の担当の木ハカラメを思い出します。実は小学1年のときに唐突に枯れてから怖くなって観察をやめた過去を振り帰るのです。
ある日のこと、机の中からハガラメの葉っぱが出てきます。長い間整理しなかった机の中だとはいえ気がつかなかったはずがなく、なのにハガラメが枯れてなく瑞々しい青色をしています。葉太は久しぶりに自分の担当の木を見にいくことにしました。
ーーーーーーー(ネタバレあり)ーーーーーーー
続きを読むスメラギガタリ~新皇復活篇~
170冊目
大正浪漫帝都東京陰陽師活動劇
1984年帝都東京、和風と洋風の文化が交わる首都で奔走している陰陽師たちの話です。陰陽師は陰陽寮という機関に所属し、陰陽寮は日本国内の霊的な案件に対処する宮内所属の組織になります。
この陰陽寮の将来を有望視されている才女こと土御門晴見は「産道の迷い人」という事件を追っていました。それは出産中の女性から、その子供を産み出した直後だという場所から、子供の右手が出てくるという怪異の追跡です。晴見は解決のため異界と繋がる「門」を人工的に設置し、相手がこちらにくるのをひたすら待つのです。
一方、呪的業界から忌み嫌われていた家系「芦屋」の名をもつ芦屋道代は、一方的に権力を行使する陰陽寮に日々不満を募らせていました。彼女はある計画を練っており、それは彼女が違反をした取り締まりがやってきた当日に決行します。それはこの腐敗した陰陽界隈全てを敵に回す革命が目的の宣戦布告でした。
晴見はその前代未聞の報告を受けて芦屋の調査を始めます。彼女自身も陰陽師界隈に変化を求める一人ですが、彼女は陰陽寮の一員なので取り締まる側として動きます。ただ取り締まるにしてはたくさんものを晴見は抱えていました。普段の仕事に加えて、彼女は何をするのか分からない芦屋道代の行動を注意深くうかがい始めるのでした。
ーーーーーー(ネタバレあり)ーーーーーーーー
続きを読む諸事情により、しばらくブログを休むよという話。
近況報告とかそんなの
5日に1回更新を心がけつつ、ちょくちょく休みを入れながらブログ更新してきた僕ですが、ちょっとの長い間(1か月~2か月ぐらいを目途に)更新を止めようかと思います。読者さんには申し訳ないですが、リアルが手いっぱいになってきてるので、これはもうしょうがないことです。責めるなら僕の要領のなさを責めてください。
リアルが忙しくなってきた、を具体的に言えば就活をしています。さらに具体的なことを書くことはあまりよろしくないと思うので書きませんけど、初の社会生活を目標とし、いろいろ行動して、いいようになるよう動いています。世間は(友達は)これをやってたのか…と驚くことも最近数多くあります。慣れないことをしているので気力も削がれています。
なぜ今どき就活を? と疑問に思ってる方も多いでしょうが、理由は僕自身が長年引きこもりをしていたからであり、いろいろ経由して今この瞬間が僕の中で就活時期なのだというふうに理解してください。まだ引きこもりに毛が生えた程度ですけど、いろんなことがなんとかこなしています。いいようになっていい感じになりたいです。
あ、この数か月の動きがどういう結果になろうが、数か月で収まらずブログ停止期間が伸びようが、僕は残り約30冊記事も書くつもりでいます。もし楽しみにしている方などいましたら、気長に待っててください。
異郷の友人
169冊目
暇を持て余した神々の遊び
- 作者: 上田岳弘
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/01/29
- メディア: 単行本
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主人公の僕こと山上甲哉、あるいは「吾輩」は妙な特性を持っていました。
特性を一言でいえば「同じ意識を持ちながら何度も輪廻を繰り返している」といえ、幾度のなく彼は「吾輩」という意識を共有しながら、この地球上で様々な人間になって生き続けていたのです。吾輩が入っている人間、それは歴史の裏方だったり、その偉人の当人だったり、あるいは世間を動かせるような影響力を持つ人だったり、「吾輩」はいろんな時代でいろんな経験をしていました。
そんな吾輩も今回入っている肉体(山上)では「ゆっくり生きてみよう」と、ごくごく平凡な生活を目標として生きることにします。おかげで小中高と問題なく通過し、企業に勤め、今や転勤して札幌の小売業の営業を行っています。
そんな吾輩は長年生きてきた中で、今回初と言えることを体験します。発端は中学生時代のころのこと、全く関係ない人生である人物(しかも海外の人物)の見たもの体験した出来事そのものを「あたかも自分が体験しているような感覚」に陥るという現象です。しかも関係ない人物(対象)は一人ではないので、吾輩もさすがに混乱をするのでした。
けれども仕事を務めだしたころには成長していて「それもそれもおもしろいのでは」と面白がる吾輩がいました。
ところである雪の日のこと、山上は営業終わりに歩いていると一人の男性から声をかけられます。山上は「はて?」と疑問に思い、男性は「どこかでお会いしましたな」とにこやかに言うのです。(当時大雪だったので)最寄りのスターバックスに入ることになりますが、山上はすでに混乱しています。やはり誰だかわからないのです。男性はなおにこやかに座っているのでした。
ーーー(ネタバレあり)ーーー
続きを読む最新データで読み解くお天気ジンクス
168冊目
「巨人が勝ったら売り」みたいな話
- 作者: 村山貢司
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2007/08/01
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (3件) を見る
「〇〇だったら今年は暑い」みたいなジンクスを聞くことがあります。
そんな話を天気が詳しい人が天気の情報をと共にいろいろ考えてみるという新書になりますね。
ジンクスと言ってしまえば所詮はジンクスなので、あんまり参考にならないような情報も数多くあるかもしれませんが、読んでみるとそれら迷信を踏まえて何かを感じることがあると思います。
注意するべきはタイトルに「最新データ」という文言があるところです。これの初版は2007年の9月5日なので、およそ11年前の話ということなり、話題の中がちょくちょく過去があるってところですかね。
※ネタバレありと書きますが、個人的に気になったところを上げていこうと思います。
ーーー(ネタバレあり)ーーー
続きを読む知の孤島
167冊目
この島は金と知恵がすべて
- 作者: 小前亮
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/06/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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東京湾に浮かぶ「瀬切島」という人工島に山城工科大学(通称:YIT)というかなり異質で特殊な大学がありました。
どう特殊なのかと言えば数え切れないほど特殊な場所で、島という隔離された場所のうえ、偏差値レベルがとてつもなく高く、世界最高レベルの研究水準を誇り、YIT生と言うだけでブランド価値を持ち、卒業生は各業界で多大な影響を持つほどになるなどあります。なお異質なところが際立っているのは入学試験二次試験であり、それは支払った寄付金の額によって入学が決まるというもの。『知は金なり』をモットーとしていて、研究した成果をお金に変換することに重きを置いている私立大学になります。もちろんそれだけ異質な状態を保てる成果は出ていて、世界最高水準の研究費をゆうに賄えるほど「学校が儲けている」のです。
そんな異常な大学で斎藤哲哉という男子学生が自殺をします。
第一発見者は清掃をしていた男であり、男は「YITではよく見る自殺者」として大学側に通報します。大学はいつも通りに処理をしろと清掃の男に指示をしました。
ところが奇妙なことに遺体は目撃したその20分後には消えてしまいます。学校側は一度自殺が見られたということから警察に通報(確認)しているものの、(死体が消えたというのは生徒がやったいたずらだと捉え)「誤報だった」と自らの通報を否定しました。ただ両親は「遺書がメールで送られてきてから連絡がつかなくなった」と言っており、齋藤が行方不明なのは変わりないのです。
ーーー(ネタバレあり)ーーー
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